虫の洞窟へ向けて
◆◆◆虫の洞窟へ向けて◆◆◆
壁での移動中は危ないので離れることになった。本当に残念だ。そして夏海ちゃんは暴れ足りないから魔物を倒しながら走って移動するらしい。テイムした魔物たちも派遣に出しておいた。
「そういえば、なんで俺は日本人って即バレするんだ?髪の毛はみんないろいろだし、黒い人もいるんじゃないの?」
「そもそも、髪の毛は得意属性の影響が出やすいのでカラフルになるんです。」
「黒は加護無しだからーってやつか?」
「逆ですね。たくさんの色が混ざるとだいたい黒になるんです。得意属性がたくさんあるって自慢しているようなものですよ。」
「え?金色とかって何を混ぜたらああなるの?」
「金色は単純に光属性ですね。青は水、赤は炎です。」
「なんか、よくわからん属性がたくさんあるよね?あれは何色なの?」
「数が多いから個別には説明しませんが、灰色だったり濃い赤だったり、水色だったりと原色じゃない色になるみたいですね。といっても、赤と青で紫になったりするから、複数属性だったって場合もあるんですけどね。無色のものもありますよ。斬とかがそれで、白髪になるそうです。」
「それじゃぁ、ネネリムちゃんはそういう系統なんだね。」
「違います。私たちは銀髪で、聖属性なんですよ。」
「聖か、強そうだな。」
「ええ。使えないんですけどね。」
「え?使えないの?」
「使えるようになる方法は簡単です。主神に願い、許可を得ればいいんです。」
「うむ。何に使うかわからぬが、許可するのじゃ。」
「あ、あぁ。反応がないんだったっけ…。トリアテ様ありがとうございます。」
話を聞いててトリアテ様ならすぐOKしてくれそうだと思ったけど、空気読んで!
「勇者である私たちは、他の神に鞍替えができませんから。やっぱり期待外れですよね?」
「大丈夫だって。今はほら、魔が100万くらいあるだろ?どんな属性を使ったって無双できるさ。」
「ええ、そうですね。それに、今はこの九尾がありますから。」
「うんうん。それ凄いよね。」
「そうなのよ!その鎖鎌、なんか九尾のダンジョンマスターを材料にしているみたいだから、きっと2回くらい変身できるのよ!そんなのを材料にできる悪魔の塔のダンジョンマスターはさぞ強かったんでしょうね。」
「あの程度、将太さんにかかればただの雑魚だよ。虫の洞窟で解るんじゃないかな?」
「そう?なら楽しみにしているわ!」
「将太さんは、識別付与をまだ入門にしていますよね?」
「ああ、そうだけど?」
「支援系スキルは伸ばすと凄く強くなりますよ?達人級や英雄級スキルっていうのは、それを持っているだけで達人級や英雄級になれるっていうようなスキルなんです。直接攻撃力がない分効果が大きいんですよ。」
「ま、待つのじゃ!取るスキルはわしが選ぶのじゃ!ま、まぁ。識別はいつか上げたほうがいいとは思っていたのじゃが…。」
「ゴミスキルほど伸ばすと凄いってことか。俺、そういうの結構好みだな。」
「まぁ、伸ばしても戦闘には役に立たないスキルとかはありますけどね。でも、識別はおすすめですよ。特に達人級からが本番です。」
「ネネリムちゃんがそこまで薦めるなら取ってみるよ。」
俺は識別付与を達人級まで上げた。
「おお、簡易MAPが出てきた。地形までも識別できるのか。魔物っぽいのが勝手に赤に識別されているし、この青点は夏海ちゃんかな?HPゲージっぽいのが見れるのは素晴らしいな。」
味方が青になるのだろうか?この遠くにいるダンジョンの門番っぽいのが緑だから、そうでもないのか?
「友人以上の関係の人は青、人類なら緑、魔物なら赤が初期設定のはずです。いろいろ増やせますよ。」
ちゃんとミレイが青くなっていることから、識別の優秀さが伺える。
「悪人とかは色を変えれないのか?」
よくありそうなものだが、やり方がよくわからない。
「そういうのは見分けがつかないんですよ。組織でも作っていればある程度は識別できますけど、それがまっとうな組織なのかどうかは解りませんけどね。」
「まぁ、なんにせよ便利そうだ。」
「次のダンジョンでは、きっと大活躍してくれますよ。」
「はは、期待してる。」
~ダンジョンについて知ろう ダンジョンの命名~
基本的にダンジョンの正式名は機械的に付けられる、なぜなら多すぎるからだ。
長期にわたり討伐がなされないダンジョンや資源場については便宜上の名前が付けられ、
そちらのほうが多く使われるため、正式名を知るものは少ない。
例えば地下魔王城と呼ばれているダンジョンの正式名は魔族系主体洞窟系ダンジョン8627号となっている。
冒険者ギルド ダンジョン対策課 ソミラノ・バクルガウス