次行こう、次!
◆◆◆次行こう、次!◆◆◆
悪魔の塔入口の人に帰還報告を済ませた俺たちはそのすぐ近くの開けたところに集まっていた。
「マカちゃんマカちゃん、アタシの槍見てくれよ。」
「ええまぁ、得体も知れない武器を使われるよりはいいしね。」
どうか大して強くありませんように!
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エレメントミスリルランス 耐久6841981/6841981
ダンジョンマスター渡辺美沙が作り上げた槍。4種の属性付与がエンチャントされている。
基本性能 1489
スキル 炎属性付与[達人級] 水属性付与[達人級] 土属性付与[達人級] 風属性付与[達人級]
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「良かった。なんとかなりそうだ。」
「そんなわけが無いのじゃ。達人級は耐性の70%を無効化するから耐性90%相当になるのじゃ。」
「ええっ!なんで防げないんですか?!」
「所詮は上級じゃ。達人級を90%も軽減できるなら十分大健闘じゃ。」
「そんなぁ…。」
「全員の魔を上げるからそうなるのじゃ。諦めてもう一段階身体強化を上げるしかないのう。」
「このままだと単純計算で100発食らったら死ぬのか…仕方ない。」
【身体強化付与[上級]を強化しますか?50SP】Yes No
Yes。
【どのスキルに適用しますか?】霧+毒付与[入門] +識別付与[入門] +麻痺付与[入門] +睡眠付与[入門] +身体強化付与[上級] +効果時間延長[入門] +MP拡散付与[入門] ログ[入門] 魔物調教[入門] 硬化攻撃[入門] 耐性マスタリー[初級]
霧についている身体強化付与[上級]を選択。さすがに1000発分の猶予があれば回復が間に合うだろう。魔と攻を上げるのは無しだ。…やっぱり自分の魔だけは上げておこう。
「速はやっぱり増やせないかぁ…。」
「それは英雄級じゃ。今なら強化中の成長値が増えるから一瞬だけ上げれるやつを全部強化した方がいいのじゃ。」
「これからみんなのLv上げだし、それは必要かなぁ。一瞬だけ、一瞬だけ。」
「それと、魔物調教を達人級にすれば数の制限がなくなるのじゃ。」
「なんでそれを先に言ってくれないんですかーッ!」
「教えるとおぬしが魔物を集め始めるからじゃ…。」
俺は素早く魔物調教を達人級まで強化した。かかったのは95SPだ。まだ240もある。
「もう406Lvじゃし、進化してしまったらどうじゃ?」
「確かに、もう当分あんなLv上げはしないでしょうし、そうしますか。どうやって進化すればいいんです?」
「進化可能って出ておるじゃろう?それじゃ。」
ぽちっとな。
【進化先を選んでください】中級ハイヒューマン 下級魔族 下級悪魔 下級仙人 下級天使
中級ハイヒューマンは進化回数が1つ減りそうで嫌だな。魔族と悪魔は無いだろう。天使ってガラでもないし仙人だな。
下級仙人を選択。
―霧の勇者が光を放っている。
「え?ちょっと?いきなり進化しないでよね。」
「フッ、また一つ、封印を解き放とうというのだな…!!」
「このダンジョンは魔物を放出していないから大丈夫だよ。」
「隊長は困ったやつだなぁ。アタシがしっかりと見といてやるぜッ!」
「壁する。」
―進化が終わった。
「あれ、何この壁?」
「アンタがいきなり進化するからよ!」
「困った隊長だぜッ!」
「おはようだ、我が下僕よ。新しい力はどうかね?」
「ああ、そっか。何秒か無防備になるって言ってたな。ごめん。えーっと、ステータスはちょっと増えただけだなぁ。」
「問題ない。」
「気をつけなさいよね!」
「そーそー。」
(そうだよ、心配したんだからね!)
「フッ、ならば供に、さらなる頂点へと励もうではないか…!!」
「なんだー?ユラちゃんもまた修行するのかー?」
「ごめんなさい私はしません許してください。」
謝罪はえぇ…。
「そっかー、なら隊長とやるからいいけどなー。」
俺に拒否権はないのか?ないんだろうなぁ…。
強化状態は維持されているみたいだけど、念のためもう一度全部強化しておこう。あれ、なんか1人多かったような?
(マスターが何かスキル取ったんじゃないの?意思の疎通ができるようになったんだよ。)
え?もしかして俺の考えていること駄々もれ?
(私について考えているからじゃないの?試してみたら?)
今日も魔王様は可愛いなぁ…。どう?聞こえた?
(ぜんぜん。察しはつくけどね。)
えっと、ミレイって転生者?
(てんせいしゃって何?)
死んだ後に生まれ変わった人…かな?
(うーん、じゃぁわからないかなぁ。記憶が無いだけかもしれないし。)
「ねぇ、ちょっと!将太!聞こえてる?!」
「あ、ごめん。全く聞いてなかった。」
(次はどれに行くかって話をしてたよ。)
「なんで聞いてないのよ!次はどこにするか決めないと身動き取れないでしょ!」
「いや、なんかミレイと意思疎通できるようになったから話してて聞いてなかったんだよ。」
「え?そうなの?!テレパシーが使えるなんてやっぱり転生者だったのね!」
「いや、俺が魔物調教を強化したのが原因みたいなんだけど。」
「それを先に言いなさいよ!ねぇ、転生者かどうか聞けたの?」
「聞いてみたけど、違うみたいなんだ。」
「隠してるだけなんじゃないの?木にしては頭が良すぎるじゃない。言葉もわかるみたいだし。」
(私270歳くらいだよ?さすがに覚えるって。)
「270歳くらいらしい。」
「え?こんなに背が低いのに?」
(ひどい、Lv上げたら大きくなれるもん。)
「Lv上げたら大きくなれるらしい。」
「ああ、それで変形発動なんて上げてるのね。」
(それは動きやすくするためなの。ほんとだよ?)
「ああ、そうだね。俺はミレイを信じるよ。それに、あんまり大きいと建物の中に入れなくなるからね。」
(あ、うん。そうだよね。ちっちゃいほうがいいのかなぁ…。)
「うんうん。ミレイは今くらいがちょうどいいぞ。」
(そっか、えへへ。)
「はいはい。それで。達人級の加速は何なの?」
(マスターにLvを上げてもらってからは早くなったけど、もともとはすっっっごく遅かったんだよ?たまたま近くに来た人にもすぐにおいて行かれてたんだから。SPで加速っていうのが取れるって言ってる人がいたから、取ってみたの。それからずっと使ってたからもっと早くなったんだよ。)
「移動が遅すぎて困るからたまたま聞いた加速を取って、ずっと使い続けてたら達人級になった。って事かな。」
(うんうん。)
「あーなるほどね。200年くらい使い倒したらさすがに上がるか…。」
「もしかして、ミレイが通った後の草とかがしおれているのって加速用のMP吸ってるの?」
(えへへ、実はちょっとだけ。)
「吸ってたのか。」
「え?フルーリがMPを吸うなんて聞いたことないわよ?」
(MPが足りなくて、なんとかしようって頑張ったらできるようになったんだ。)
「ああ、なるほど、魔法か。」
「魔法ねぇ。もともと栄養は吸い取れるらしいから、草から吸い取るくらいならスキルが無くてもできる、か。でも、今は魔が高すぎるからおかしいんじゃないの?」
(マスターのおかげでMPは吸わなくても良くなったから栄養しか吸ってないんだ。)
「栄養しか吸ってないかららしい。もしかして、血を吸ってたのって…。」
(えへへ、結構あれおいしいんだよ?)
「おいしいのか…。」
「きっと前世は吸血鬼ね!」
「それ転生者じゃない気がする…。」
「それもそうね…。まぁいいわ、とりあえず、次の目標はここよ!」
「あれ、この一番近い奴じゃないの?」
そもそも俺の意見聞く気ないよね?
「そこは虫が出るってネネが言ってたわ。だからパス!」
「そっか、まぁ、どこでもいいか。行こう。」
「我が闇の波動にひれ伏すがいい…イビルストライク!!」
―闇ビームが魔王様から空に向かって放たれた。
「うーん、こうじゃないなぁ…。」
「秘儀ッ火炎滅ッ殺ッ撃ッッ!!」
―炎の槍が夏海ちゃんの槍から空に向かって放たれた。
「あいつら、やっぱり仲いいな…。」
「そうみたいですね。」
「ううむ、どれを取ったらいいか決まらぬのじゃ。しばらく保留にするのじゃ。」
「まだ考えてくれていたんですね。ありがとうございます。」
「うむ。わしが導いてやると決めたのじゃから当然じゃ。あ、そうじゃ、忘れていたのじゃ。治癒の勇者にはあまり効果が無いかもしれぬが、毒と麻痺と睡眠の耐性減退付与を取っておくのじゃ。場所はのう…」
それぞれ入門だけ取っておいた。無いよりはマシだろう。SPに余裕があるので他の状態異常付与も全部取った。おかげで霧の名前がやたら長くなってしまったけど。今の所こんな感じだ。
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中川 将太 Lv1 EXP0 下級仙人 男性 クラス:観光客 HP1426+999999999 MP1428+999999999 攻586+1041891 守510+99999999 魔1142+99999999 護1317+99999999 速78
状態:効果時間延長[入門]+99999 アーマーSP+9999999 自然治癒強化[上級] 攻低下の呪い[無効] 守低下の呪い[無効] 跳躍[中級] 健脚発動[初級]
耐性 炎300% 水300% 風300% 土300% 冷300% 雷300% 闇300% 光300% 毒300% 斬5% 打0% 突0% 衝300% 命0% 霊0% 時0% 無0% 死20% 魔0% 気5% 波50% 重20% 滅0% 血0% 空0% 聖0% 暗闇300% 沈黙300% 毒300% 麻痺300% 炎上300% 混乱300% 睡眠300% 出血300% 忘却300% 魅了5% 支配0% 酔い300% 気絶0% 石化300% 無音0% 無臭0% 無味0% 無痛300% 鎮静0% 激怒0% 悲哀0% 歓喜0% 有頂天0% 即死300% 滅び0%
スキル 霧+毒付与[入門] +識別付与[入門] +麻痺付与[入門] +睡眠付与[入門] +身体強化付与[達人級] +効果時間延長[入門] +MP拡散付与[入門] +毒耐性減退付与[入門] +麻痺耐性減退付与[入門] +睡眠耐性減退付与[入門] +暗闇付与[入門] +沈黙付与[入門] +炎上付与[入門] +混乱付与[入門] +滅び付与[入門] +出血付与[入門] +忘却付与[入門] +魅了付与[入門] +支配付与[入門] +酔い付与[入門] +気絶付与[入門] +石化付与[入門] +無音付与[入門] +無臭付与[入門] +無味付与[入門] +無痛付与[入門] +鎮静付与[入門] +激怒付与[入門] +悲哀付与[入門] +歓喜付与[入門] +有頂天付与[入門] ログ[入門] 魔物調教[達人級] 硬化攻撃[入門] 耐性マスタリー[初級] SP215
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進化で増えたSPは5で、滅び・出血・魅了・支配・気絶・石化は2SPだった。強化値が増えてきたのか早くもステータスがカンストしている。
「おーい、みんなー!そろそろいくぞー!」
俺たちは次のダンジョンへ移動すべく壁に乗るのだった。
~ダンジョンからあふれ出るモンスター~
友好的なダンジョンマスターの協力で以下の事が解っている。
・階層が多いほど吐き出すモンスターの総戦力が大きい。これはノルマと呼ばれている。
・ノルマ達成の為に吐き出したモンスターは野生化する。
・階層補正は1階層扱いになる。
・ダンジョン内と同様に、野生化した魔物も経験値を稼げばLvUPする。
・ノルマの周期はダンジョンごとに異なる。統一ボーナスなどで周期が長くなる。
・階層補正は強化できる。初級を習得できる補正6の一歩手前になる補正5からは調査対象。
ダンジョンについては判明していないことも多く、判明しているものでさえ、我らがそう誤認しているだけの可能性もあることを留意してください。
冒険者ギルド スタンピード対策課