蟹の勇者
◆◆◆蟹の勇者◆◆◆
「よっしユラちゃん！ユラちゃんも一緒に行こうぜ！」
治癒の勇者が一緒だったから簡単に敵の所まで行くことができた。味方？普通に道を開けてくれたよ。俺じゃなくて治癒の勇者にね。
「フッ。我の助力を得たくば、汝の力を示せ…!!それと、我はユラではない。我こそは魔王ユレイラ・Ｆ・キャンサー！蟹を統べるものだ…!!」
治癒の勇者に挑むとはすごい自信だな。ケガしないといいけど。
「アタシとやんのか？いいぜ！かかってきなッ！」
「お、お前ではない！そこの黒髪の奴だ！」
結局俺かよ。まぁ、この様子なら治癒の勇者より強いってことはないんだろうし大丈夫かな。
「我こそは蟹の魔王ユレイラ・Ｆ・キャンサー！魔物である蟹すらも統べるものだ…！あまつさえ、それらの能力すら我がものとする力を恐れぬのなら、一騎打ちを申し込む！！」
あぁ、仲間にするだけじゃなくて自分も強化できるのか。もしかして、ステータス同じくらい？やばかったら降参しよう。
「っていうか、魔王とか言ってるけど大丈夫なのか？」
「こやつは普段からそう言いふらしておるようじゃから大丈夫じゃろう。」
「そうなのか…。我こそは霧の勇者中川・将太！トワイトライの盾と治癒の勇者を打ち破りし武を持ってお相手仕る！いざ尋常に勝負！」
「ちょ、ちょっと待って。夏海ちゃんに勝ったの？」
「ああ、すごいんだぜッ？アタシの究極奥義を食らっても傷一つねーんだッ！」
めっちゃ風穴空いたわ！くそっ。普通の人間なら即死だったぞ…。
「うわ、人間じゃない…。すいません。降参します。」
「え？あ、はい。」
意外とこの人、常識人だったよ。っていうか、俺はＨＰが高いだけだからね。
「なんだ？もう終わりか？まいっか、さっさといこーぜ！」
絶対こいつがおかしいんだよ。俺、治癒の勇者にだけは攻強化を使わないって決めたんだ…。
「おい、待てよ！そんな勝手は許されないぞ！」
指揮官っぽいのがなんか言っている。治癒の勇者に喧嘩を売るとはいい度胸だな。
「あ、そうだ！お前ッ！こいつらが鉱山奪ったってゆーの嘘じゃねーかッ！どーゆーことだッ！！」
「馬鹿が！騙される奴が悪いんだよ！鉱山が動くなんて常識だ！」
「あーそーかよ！だったら、おめーらとは絶交だ！文句あんなら力ずくで止めるんだなッ！」
―敵兵が一斉に俺らに向かって構えた。
えー。こいつら言うこと聞かされてたってやつじゃなくて、加担してた方かよ。
「仕方なくそっちについている奴は武器を捨てて投降してください。俺たちがなんとか便宜を図ってみますから。」
「ハッ誰が咎人のいう事なんか聞くもんか。」
「勇者を倒したからって調子こいてんじゃねーぞ。」
「戦争は数だってことを教えてやんよ。全員、攻撃用意だ！」
げっ、俺とミレイは大丈夫だろうけど、他の2人はわかんねぇぞ。
「2人は先に逃げてくれ！ここは俺が食い止める！ミレイは、2人を守ってくれ！」
「なにカッコつけてんだよ！そんなことできるわけねーだろ！」
「俺の硬さは知ってるだろ！さっさと行け！」
「おぬし、それは、ここは任せて先に行けというやつではないか！おぬしもやるようになったのう！」
「うるせぇよ！お前も親指たててんじゃねぇよ！さっさといけって！ミレイ、そいつらもう運んでしまえ！」
―ミレイが素早く2人を捕獲した。
「たのんだぞ、ミレイ。」
「本当に戦う気かや？」
「攻撃開始！！」
「当然だよ。世の中には、どうしようもない奴がたくさんいるんだ。日本では構成の余地があるとか言われていたけど、10年20年30年と生きていて、未だに治ってない奴らなんだぜ？暴力振るってきたり、商品盗んだり、そんなやつらに何が期待できるって言うんだ！俺は何も期待していない！だから片っ端から警察送りにしてやった！その中には社会的に死んだ奴もいるだろうな。だから今更だ！」
―矢が、ナイフが、魔法の球が、槍が、いくつも霧の勇者に降りかかっていく。
「ここは戦場で、俺とやつらは敵同士！今攻撃を受けている真っ最中で、逃げ道も示したのに踏みにじられたッ！だったらもう！俺に会ったが運の尽きってなぁッ！！」
くそっ。前の世界の事を思い出すとイライラする。だいたい、治癒の勇者でさえ、初撃は足なんて狙ってたんだよ？なんでこうやって、他人から奪う事しか考えられないんだよ。
「効いてないぞ！儀式魔法を使う！魔法を使えない奴は攻撃を続けろ！」
毒麻痺睡眠ＭＰ拡散付与を起動。
「「「「その光は我らの為に」」」」「「「「その紅蓮の赴くままに」」」」「「「「火之加具土」」」」
はは、霧が少し削られてしまったみたいだな。
「な、馬鹿な！なぜ霧なんかに？！」
「最後まで、逃げなかったな。」
霧が届いたら終わりなんだよ。
「こ、この霧に触れたら溶けるぞ！」
「毒だ！猛毒の霧だ！」
「どけっ！邪魔だ！！」
そういう奴は逃がさないよ？あれだけ殺そうと攻撃してきていて、自分だけ助かろうだなんて認めない。
―トワイトライ軍は敗走した。
【偉業：一騎当千を達成 1億DPが贈られます。】
「わざわざ性格の悪そうな奴を狙ったのにそんなにいたのか…。」
指揮官と周りにいた奴、逃げ足の速い奴、味方をかき分けて逃げる奴、馬に乗っている奴、近くにいた奴は巻き添えを食らったかもしれないが、だいたいは当たらないようにしてやったんだ。ダメな奴が多すぎるんだよ。そっちこそ咎人の町トワイトライなんじゃないの？
「なぜわざわざ細くして攻撃するのじゃ？まとめてやってしまえばいいのじゃ。」
「強制参加させられている人や、命令に従っているだけの人もいるでしょう？逃げてくれるならもういいですよ。気に入らない奴は仕留めましたからね。」
「まぁ、好きにすればいいのじゃ。」
「こいつら倒して、Lv上がったりするのかなぁ。何か上がってそうだなぁ。」
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中川 将太 Lv52 EXP22 下級ハイヒューマン 男性 クラス：観光客 HP334+999999 MP215 攻101+99999 守85+99999 魔172+99999 護195+99999 速17
状態：効果時間延長[入門]+99999
スキル 霧+毒付与[入門] +識別付与[入門] +麻痺付与[入門] +睡眠付与[入門] +身体強化付与[初級] +効果時間延長[入門] +MP拡散付与[入門] ログ[入門] 魔物調教[入門] SP43 進化可能
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「え？なんでこんなに上がってんの？」
「なんでも何も、騎士を倒しておったじゃろう？やつらは領内の魔物の討伐をしておるのじゃから、Lvが高くなるのは当然じゃ。」
「ああ、なるほど。Lvの高い魔物が出ても戦わないといけないなんて大変ですね…。トワイトライが魔物に潰されたりしませんよね？」
「大丈夫じゃろう。デストリンドとは違って守備隊くらいは残してきたはずじゃ。」
「それもそうですね。SPの使い道と進化が気になるけど、こんなところでやることじゃないだろうし、さっさと帰ろう。」
「進化は、まだしない方がいいのじゃ。」
「そうなんですか？」
「進化するときに、能力値とSPを引き継げるのじゃ。上げれるだけ上げたほうが得なのじゃ。」
「行き詰まったら進化ってことですね。いや、もしかして限界Lvとかあります？」
「無いのじゃ。進化には少し時間がかかるから、あの時進化しておけば！とかならなければ大丈夫じゃ。」
「あー…。そうならないように気を付けます。あ、そうだ。たくさんDPが手に入ったので、トリアテ様に贈りますよ。」
「もう1000万くらいもらったから必要ないのじゃ。」
「あれ、でも1億超えてますよ？」
「敵を倒したじゃろう？それで増えたのじゃ。」
「人を倒しても増えるのかよ…。」
「日本での賞金よろしくちゃっかり引かれておるから大丈夫じゃ。」
「あれ、ミレイ達だよね？待っててくれたのかな？おーい！」
―ミレイがこっちに気が付いて駆け寄ってきた。
「どうしたんだ？気になって待っててくれたのか？」
「いやぁ、それもあるんだけどさぁ。アタシ達って一応さっきまでは敵じゃん？どうしたらいいかわかんなくってさ。」
「フッ、出迎え御苦労。」
「さっきみたいに切り開いて通るわけにもいかないしな。考えてなかったよ。」
「ま、お前も無事だったみたいだし、良かったってことで！いこーぜ！」
「我が陣営に加わることを認めてやろう…!!」
「はい、喜んで！！」
リアルゴスロリ最高です！え？一騎打ちの時？眠らせてお持ち帰りする気満々でしたけど何か？
「え？いいの？…ゴホン。くるしゅうない！」
とりあえず2人の防御系統を強化しながら進むとしよう…。
～治癒の勇者～
ソライナ・ミリッツェ 又の名を遠藤夏海
泣く子も黙る治癒の勇者様とは彼女の事。
身長158cm 16歳 赤髪で短髪
愛用武器は迷宮産マジックシルバーの槍
耐久値増大[中級]と自動修復[初級]、毒耐性[初級]がエンチャントされているらしい。
