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オルゴール  作者: 柚林檎
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二人は出会い 1日目

こんにちは。柚林檎です。初投稿となりました。『オルゴール』です。思いつきで書いた文なので稚拙な部分も出るかもしれませんが鼻で笑って見逃してくださいw

一人でも多くの人に楽しんでいただけるよう頑張りますのでよろしくお願いします。

仕事が終わり、俺はいつも通りの道を通って帰る予定だった。しかし今日は何だかもう一方の方の道に何か“悪いモノ”がある気がして、昔からそういうのを惹きつけやすい俺は、引かれるようにして遠回りのその道を歩いて行った。

_________________

(何かある気がしたけどなんもねえな。)

唯一気になるものと言えばこんなところにあったのか、数十メートル先にコンビニがあった。俺の直感は外れたように見えた。

「無駄に歩いてしまった…ビールでも買って帰ろう。」

そう口に出し、何気なく路地裏に目をやった時だった。その少年がいたのは。

(!?なんだ、あの子は?)

よーく目を凝らしてみると中学生くらいの少年が体育座りをしてうずくまっている。

自分で怪しいことをしているのを承知でその少年に声をかけた。

「あの…大丈夫?家に帰れるか?」

少年はヒッと声をあげて俺の目を見た。そしてすぐにそらし悲しそうに顔を歪めた。

「家には‥帰れないんです…もうあれは僕の家じゃないから…」

その言葉を聞いて、俺はピンときた。この子は何か訳があって家から逃げてきたのではないだろうか。と。

「そうか…辛かったな…」

俺はその少年を抱きしめていた。少年は最初こそびっくりしていた様子だったが段々と嗚咽が漏れ始め、温かい滴が俺のスーツの肩を濡らした。

人通りの少ない道なので心配になり、俺は少年にこう言った。

「ここじゃ寒いだろ。俺の家においで。」

「……‥」

少年は少し考えたあと、黙って頷いた。

俺たちはすぐに家へ帰ることにした。コンビニに行くことすら忘れて。少年は歩くのが辛そうだったので俺が背負って行くことにした。


「さ、着いたぞ。」

俺は背中の少年に声をかけた。が、いつの間にか寝てしまったようで返事がなかった。

(相当疲れただろうな。そのままベッド行きかな?)

そう思い、寝室へと足を踏み入れた直後だった。重心が突然後ろに傾き、俺はバランスを崩した。

(おわっ!起きたのか?)

少年に振り返ると少年はガタガタと震え、耳を塞いで“ごめんなさい”と繰り返していた。

少年に歩み寄り声をかけるも少年の耳には届いていない様だ。俺はふぅっとため息をつき、リビングに向かうと俺のお気に入りのオルゴールを手に取った。それは仕事でストレスが溜まった時に気持ちを落ち着かせるのに使っているものだった。ネジを巻くと落ち着いた曲調のメロディーが聞こえてきた。少年はぴたっと動きを止め、こちらを見た。

「大丈夫か?あ、そーだ。俺、中里晴陽(なかさとせいよう)っていうの。君の名前は?」

「あ、あぁっ…ぼ、くは…洋海(ひろうみ)…で、す。」

少年は小さな声で言った。俺は聞き取れなくて訊き返してしまった。

「ん?ひろみ?」

「あ‥あの…洋海です…」

「あ、洋海ね。ごめんごめん。」

俺がそう言うと洋海は俯いた。

「どうかした?」

「あっ…!や、な‥んでもないです。」

「そう?んー、そんじゃあとりあえず一緒に飯食うかぁ」

「た、べても、いいんですか。」

「え?当たり前じゃん!今用意するからちょっと待てよー。」

「……」


飯を食べ終わって、片付けを済ませ、いつもならビールでも飲むところだが、洋海もいることだし風呂に入って寝ようと洋海に声を掛けた。

「洋海〜今日はもう風呂入って寝ようか。」

眠そうにしながら一瞬、『風呂』という単語に反応したがすぐに頷いた。

「はい…」


in 脱衣所

洋海がなかなか服を脱がない。いや、言い方が悪いな‥というか少し震えている。やっぱり初対面の俺と風呂に入るのは抵抗があったか。

「洋海〜?どうした。やっぱり嫌か?」

「あ、の僕…迷惑じゃないですか。」

「え?全然大丈夫だよ。風呂、一人で入る?」

「僕…邪魔ですよね。」

「いやいや、そんなこと言ってないよ。ほら入るぞ〜」

そう言って俺は洋海の服の裾をつまんだ。

その直後だった。

「いやっ!!!!」

洋海がパシッと俺の手を払った。

「あ、う‥ご、めんなさい!…め‥んな‥さ、い…」

「いいよ。やっぱり嫌だったよね。ごめんごめん。」

「あ、ちが…あ‥ごめんなさいぃ……」

そう言うとぐずぐずと泣き出してしまった。仕方がないので抱き寄せて、背中を規則的にぽんぽんと叩いた。

「いいのいいの。洋海、今思ってること全部言ってみな。」

「く、うぅ…お、こらない、ですか?」

「うん。大丈夫だよ。俺、気持ち悪かったな?」

「いや、ちが‥い…ます。僕、お、風呂…こわ、く…て…」

「うん。わかったよ。もう今日は風呂入らないっ。」

俺は洋海に向き直って言った。

「やぁっ…ごめ…んな…さ、い…」

「いいのいいの。もう寝ような。」

そう言って洋海を抱き上げ、寝室へ向かった。


in 寝室

寝室のベッドに洋海を寝かせてやると、洋海は起き上がりベッドから勢いよく降りた。

「ん?どした?」

「あ…の…晴陽さんが…ベッドで寝てください。」

「え?俺はいいよ。洋海、ベッド使いな。」

「や…でも…僕はベッドに寝たら…ダメだから…」

ベッドに寝たらダメ?誰がそんなこと言ったんだよ。

「んー。じゃあ一緒に寝ようか。それでもいい?」

洋海は少し不満そうな顔をしたが、こくん、と頷いた。

「俺ももう少ししたら寝るから先に寝てな。」

そう言うと洋海はもう一度こくん、と頷き布団の中にもそもそと入って行った。

それを確認し、俺はある人物にメールを打った。

_________________


夜遅くに悪い。明日とかちょっと

俺ん家来れる?


返事は5分もしないうちに帰って来た。


うん。いいよ。何時頃がいい?

てか、どうした?具合でも悪いのー?


いや俺は大丈夫なんだけど、ちょっと診てもらいたい奴がいるんだよね。


え?動物とかじゃないよね?俺動物は免許持ってねえよ?


ちげえよ!実は、なんか子供拾ってさ。


はぁ?子供?本当かよそれ。親は?


わかんない。路地裏で倒れてた。


そうか。まあ詳しい話は明日聞くわ。


了解。よろしく。

_________________

そこまで打って送信すると、俺はすでに洋海が眠っているベッドにそっと入った。


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