苦手科目
「テストと言えば、レンって歴史は比較的悪いよね。比較的悪くても教科ごとの順位で上位だけど」
教室で、ひとしきりお祈りが済んだユイが、思い出したように尋ねる。
「歴史はね……前の世界の知識が邪魔しちゃって」
「どういうこと?」
「今の世界と、前の世界って、かなり似てるんだよ。そうなるように作られた言うのが正しいのかもしれないし。そもそも、この世界の歴史って2年ちょっとしかないって言うのが、ソラとわたしの見解なんだけど」
「なんかすごい話をされた気がするんだけど。私達高校2年よね?」
「その辺は今となっては、たいして重要じゃないと思うんだけどね。
結局、近代より前の歴史が微妙に違うんだよね。今の世界だと794年にあったものが、昔は785年だって言われていたり、名前も微妙に違っていたりで、立ち悪いんだよ」
いっそ、全然違えばまだわかると思うのだけれど。今となってははっきりとしたことは言えないが、実は全く同じ歴史であるのに、残っている資料の関係で異なっているのではないかと、考えている。
おかげさまで、2年前は散々だった。他の教科は軒並み上がっていたのに、歴史だけ異様に下がっていたせいで、歴史の先生に謝られた。
「昔の世界は、近代以降何があったの?」
「近代って言って良いのかわからないんだけど、今から見て100年以上前に、天使が度々現れるようになったかな。わたしみたいな感じの。
天からいっぱいやって来たから、天使って呼んでいただけで、今の天使像とは見た目しか一致していないと思うけど。たぶん、別のタイプの天使が来ていたら、呼び方も変わっていたんじゃないかな」
「天使ってどういうのがいたの?」
「人形のほかには、鳥とか獣っぽいのと虫っぽいの、あとは竜っぽいのかな。竜っていうより、ドラゴンの方が近いかも」
「その虫って言うと……大きさは……」
「小さいので小型犬くらい」
何を想像したのか、ユイが身を震わせて、嫌悪感を示した。
今言った大きさでも、現代の人ではそれなりの武器を持たないと勝てないだろう。でも、ユイのそれは、相手が強いが故の嫌悪感ではなさそう。
セクティムが攻めてきたときのユイは、戦々恐々としていたし、昔から虫が駄目だってことか。




