第八話:影の情報
「細胞バンク……これって「影」の管轄だろ。それを俺達にやれって言いたいのか」
一通りのデータを見終わった快は義臣に意見する。
自分はいいとしても、チームメイトにこの任務は危険過ぎる。
「ああ、そうだと思うがな。翔達に細胞の盗みの任務やらせちゃったし」
そこまで言うと、義臣の前髪がパラリときられた。
「ふざけてんのかクソオヤジ!」
青い闘気が快の手を覆っている。それが義臣の前髪を切り落としていた。
「いやいや、ふざけてはないよ。それにあの三人にやらせた理由も後から分かるから。
それより今回のチーム編成なんだが、龍二と咲、それに陽子を付けようと思うんだが」
「それはかまわねぇよ。龍二はともかく、咲と陽子はかなりの手練だしな」
龍二がいれば間違いなく飛び蹴りの一発は入る返答をする。
「それだけどな、陽子には気をつけておいてくれ。アメリカの影達からの連絡でな、陽子は細胞バンクの奴らと関わりを持ったらしい。
その実態を明らかにするためにも今回はお前と組ませる。もちろん、援護は安心しろ」
僅かばかり義臣は陽子を疑っていた。本来なら疑いたくないのだろうが、TEAM全ての命を守るためには厳しさだけは捨てるわけにはいかないのだ。それがたとえ自分の息子でもだ。
「分かった。こっちも期末前で忙しいからな、出来るだけ早く下調べしてくれよ」
ケチだけ付けて、快は社長室から消えた。
「いいのですか、社長。快さんにこちらの任務を手伝っていただいても」
「気配の消し方、さらにうまくなったな、咲」
天井に潜んでいたのは咲だった。快に気配を悟られないものなど、早々いるものではない。
「とりあえず大丈夫だ。あいつはもともと影に入った方がいいぐらいだしな」
「いいえ、そちらの方ではありません」
咲が心配する意味はこのあと語られる。消して日の当たることを望まない、影の情報として……




