第三十四話:赤月
お互いのことが好きだと分かったのは、おそらく小学五年生の時。彼氏と彼女、冷静な修でさえ少しはにかむような気持ちを持った。しかし、そんな二人は今から命を賭けて闘うのだ。
「やめてよ! 修ちゃん! 陽子ちゃん!!」
翡翠は激突する二人の間に入りたいが、あまりのレベルの高さに止める術を見出だせなかった。
「その通りね。SHINさえ殺せば私達は戦わなくてすむのに」
「TEAMは殺しが禁止だ。影でもそれは変わらないだろう?」
冷静な口調が激しい闘いと対比している。そして、陽子は一旦修と距離をとる。
「やっぱり、修を相手に普通の剣じゃ意味がないわね。修、これが最後よ。SHINの危険性は十分理解してるわよね?
造られた人間がコントロールされた場合、特に社長の実の子供であるSHINが敵に回ればいくらなんでもTEAMに隙が出来る。
だからこそ影がいるのよ。TEAMを守るためにリスクファクターを消す任務を遂行するために」
悲しい瞳が修に向けられる。
「それはあくまでもこの戦いに負けてSHINを奪われたときの話だ。お前だってTEAMの一員なら社長達の強さも分かってるはずだ。それでもSHINを消さなければならない理由があるのか?」
修は陽子に尋ねる。お前は殺しなどしたくはないのだろうと。
「そうね、私も今回の勝利は信じている。もちろん社長の強さだって分かってる。
だけど、この戦いの背後に隠された事実があるの。その鍵となるSHINを消しておかなくちゃ掃除屋界そのものの存亡に関わる! だから邪魔はさせない!」
「あっ!!」
翡翠の目に映ったのは赤い死神の鎌。陽子の最も得意とする戦術、遠近距離戦。
「赤月か。久しぶりに見たよ」
「そうね、だけどこれでおしまい。死んでもらうわ!」
重量にして一トンはあるだろう赤月を陽子は軽々と奮う。
「翡翠っ!」
「うんっ!」
翡翠はSHINを抱えて陽子が繰り出した攻撃の直線から離れる。
「厄介なもん出しやがって!」
修の後ろに出来た床がえぐられた痕がその破壊力を物語っている。
「まだまだ!」
「させるか! 水壁!」
水の壁が陽子の斬撃距離を縮める。少しでも翡翠達から陽子を遠ざけるようにしながら、陽子を気絶させる方法を考えていた。出来るなら傷つけたくはない。
「修、影を甘く見ないで頂戴」
「なっ!」
首筋に赤月の刃が突き付けられる。
「快や翔だったら見破ってたでしょうね。赤月の持つ能力はなにも物理攻撃だけじゃない。幻覚を見せ、相手の隙を突くことも出来る。
修、これで本当に最後の警告よ。翡翠を連れてここから消えなさい! 邪魔をするならすぐに首を落とす!」
「お前が出来る訳無いだろう、陽子」
入口から一人の少年が入ってくる。
「……遅ぇよ、快」
陽子は強い覇気に動けなくなるのだった。
すみません! ようやく再開です! またよろしくお願いしますm(__)m




