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第三十話:ルーレット

 勝率半分以下の戦闘に勝つ方法はあると言えばある。

 一瞬の隙をついて大どんでん返しを狙うか増援の到着まで粘るかだ。

 しかし、橘大地には間違いなく両方の可能性が低い。


「うおっ!」


 辛うじて岩崎のメスをよける。

 勝率はもはやゼロに近かった。

 体力が少しずつだか失われていくことを大地は感じていた。


「思ってた以上にしぶといね。

 新しい研究材料としてはもってこいだ」

「へっ、細胞バンクお抱え医者の実験材料なんて死んでもゴメンだ。

 あんなもの医者として造る手助けなんかするもんじゃない」


 微かに大地は笑った。


「ほう、高校生バスターとしてはよく知っているな。

 橘太陽からの情報か?」


 興味深そうに岩崎は尋ねる。


「いや、俺は昔っから情報収集は得意分野なんだ。

 社長達が何も教えてくれないなら自分でつかみ取るしかない。

 そしてようやくここに来て真実に辿り着けた。

 おまえ達は快のコピーを造り出したんじゃない。

 快の弟を作り出したんだろ、しかもれっきとした人間をな!」


 岩崎がにんまりと笑った。

 まさに大地の言ったとおりだった。


「素晴らしい! ここに侵入してそれだけの情報を集めていたか!

 一体どんな能力を持っているんだい?」


 歓喜きわまりなく岩崎は叫ぶ。

 侵入した場所に入っただけで情報を掴む能力など滅多にない。


「簡単だ。呼吸をしているものから情報を得てるだけだ。

 ただし、自分より明らかに強いものからは感じ取ることが出来ないが」

「なるほど、だから私の弱点は聞き取れないわけか」

「いや、それも違う」


 大地はスッと腕をあげた。


「俺の直感は勝率二十パーセントとなってる。

 どんでん返しを狙うのも得意じゃない。

 だが、俺には運の良さっていうものがある。

 生まれてこのかた、俺は大吉しか引いたことがないんだ」


 快辺りがいれば運の無駄遣いと言うだろう。


「そうか、だが幸薄い人生だったようだ」

「それも違う。俺には出来過ぎた彼女がいるし、

 料理の腕もこの歳で厨房に立てるぐらいだ。充分幸運なんだよ。

 だから今回も運に任せてみようと思ってね」


 大地はニッと笑うと、一気に力を上げた。

 そして地面にルーレット版が映し出される。


「全ては運次第。命懸けのルーレットだ。

 負ければその場で命を絶たれる召喚術だ。

 俺の運とあんたの運、どっちが強いかね」


 大博打の始まりだった。




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