第十一話:宣戦布告
快の部屋は至ってシンプルで比較的に物がない。あるのは机に本棚、寝心地が良さそうなベットに木製のテーブル、そして高校生達がゲームで遊びに来る時以外、滅多につけないテレビだ。因みに服はすべてクローゼットの中である。
そんな部屋に今、親友の修はサラサラとペンを動かしながらこの部屋の主に尋問しているのである。
「で、社長は陽子の動向を探れと言ってるるわけだ」
「ああ、そういうことだ。あいつらの前で言ったら大騒ぎになるからな」
修の陽子に対する思いを知っているからこそ、快は全てを打ち明けた。だが、いくら任務のためとはいえ、自分の彼女が監視されているのはあまり気分が良くないだろう。
「まっ、仕方のないことだな」
「なんだ、あまりショックを受けた感じはないな」
修の意外な反応に快は少し驚く。
「まぁな、陽子に昼間聞いたからな。向こうで任務に失敗して俺と連絡が取れなくなったってな」
「失敗って……、陽子の性じゃないだろう。あいつの隊の隊長がミスって陽子は目を付けられたんだ。連絡も取れなくなるほどのことなら親父が動くだろう」
快の言うことはあくまでも理論的だ。しかし、修だから分かることもある。
「結論はな。だが、心はそうはいかないだろう。あいつは生き残ったんだからよ……」
その頃、陽子は義臣に呼び出されていた。それは尋問を受けるため……
「なるほど、これが三年間の成果か。かなりの情報を提供してくれたもんだ」
「ええ、細胞バンクの支部ですから。本部の情報を掴みやすかったです」
あくまでも調査報告に陽子は徹しようとしていた。しかし、義臣が全てを見抜けないはずがない。普段は緩い社長でも、彼は掃除屋界最強のバスターだ。
「陽子、今いくつの盗聴器が付けられている? いや、術もあるんだろうが」
「さあ、分かりません」
「だろうな。だが、答えは簡単だ。全て消せば数える必要はない!」
巨大な水泡が陽子を飲み込むと、水泡は光弾けた!
「ゲホゲホッ……!」
陽子は噎せる。そして水を滴らせながら彼女は泣いた……
「細胞バンクに宣戦布告だ。三年前に何が起こったのか全てを話せ。TEAM本社が動く」
義臣は宣言した。




