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プロとして

短いです。区切りが難しい。


「マジでここはどこだ?勘弁してほしい」


轍のついた道を道なりに歩く。

目を開けた場所で30分ほど待機したが、やることが無さ過ぎて暇なのでヤメた。


「マジでクソ田舎だな、舗装もされてないし電柱もない。さては……グンマーだな?」


グンマー、日本に唯一残された秘境、そこは古代と現世が融合している世界。

グンマーのある部族を見習い落ちてた聖剣(木の棒)を装備したから、あと1時間は楽しく歩けそうだ。


「あぁー、のどが渇いてきた。自販機くらいないのか?……あぁ、財布もない、交番でもないかな」


上下の黒のスウェットに家用スリッパ、さらに先程拾った聖剣(太い木の枝)をプラスすると、溢れんばかりの不審者オーラが出ていることだろう。


「警察は不味いか?少女に棒をフリフリからの穴へ誘導されたら気付けばスウェット&スリッパで森とかジャンキーだろ。上級者過ぎる」


警察に出会ったら職質を受ける覚悟はしておこう。

大丈夫、最悪何日かお泊りすればいい。

ケ・セラ・セラ、ナンクルナイサ。



20分ほど歩いて、そろそろカブトムシでも探しを始めようかという衝動と戦っていたら集落が見えてきた。

飲み物を貰って現在地の確認をしなければ。


「携帯電話くらいはもってるだろ、金は借りれないだろうな」


ピュアで奥ゆかしい俺は世間の注目を集めることを良しとしないので、集落の一番外側のボロ屋に決めた。

ボロさ加減から住人の所得の低さが伺えるが、水くらいは出してくれるだろうと期待。

ちなみに俺は水道水ではなくミネラルウォーター派だ。


「ちっス!誰かいないっスか?いやぁアレがアレなんで、ちょっとアレしてもらえると助かるっス」


俺の中に眠る後輩魂に火を着け、完璧なフレンドリーさをアピールしながら入る。

田舎にはインターホンを使用する文化がないようなので、その作法に従った。

郷に入っては郷に従うのだ。


「た、たす、助けて!」


女性がオッサンにのしかかられて、胸元をはだけさせながら声をかけてくる。

オッサンはケツ丸出しのまま、こっちを向いてフリーズしている。


俺は学生であり、健全な精神を育み将来に向け様々な事柄を学ばなければいけないのて、女にかまけて勉学を疎かにする訳にはいかず、理性で本能を抑制する事で人間の社会性を健全な健全で健全だから、俺には女性に対して免疫は強いて言うならない方に属する可能性が或いはあるかもしれない。


だが、俺は生粋のジェントルマンでもあるので生おっぱいで動揺などしていられない。

女性にだけは優しいと、じいちゃんに褒められた事もあるのだ。


「……お嬢さん、その格好では風邪をひきますよ」


先祖直伝のアルカイックスマイルで女性に服の着用を遠回しに促す。

できる男は見えていることを直接指摘はしないのだ。


「あの、ったす、たすけて、きゃあ!」


オッサンが女性を平手打ちして、立ち上がりこちらを威嚇する。


「テメェ、何見てんだクソガキがぁ!」

「……オッサン、お前はやっちゃいけない事をした」


俺が怒りのあまり震えながら話していると、オッサンは嬉しそうにニヤニヤしながら。


「はぁ?何言ってんだぁ?何したって?」


反省しない、このオッサンには完全に堪忍袋の緒が切れがキレた。


「馬鹿野郎ぉ!男はサイズじゃねえ!硬さだ!」


滑るように肉迫し、手に持った聖剣(太い枝)でオッサンの股間を叩き上げる。

聖剣(植物)は砕けながらもオッサンの胡桃をジェノサイドした感触を伝えてきて、オッサンは白目を剥いて気絶した。

その感触に俺のジュニアも縮んでしまったのは秘密だ。


「これは罰だ」


オッサンは立ち上がって以降、オッサンジュニアも立ち上って俺をずっと威嚇し続けていた。

そのサイズはまさにキングコブラと言っていい。


「ふん……全世界の平均を上げるゴミめ……」


泡を吹いて痙攣しているが当然の報いだろう。

平均サイズに僅かに届かなかった絶望と、握りしめた定規の感触を今でも俺は克明に覚えている。


「あの、ありがとうございます!」


ハーフだろうか、打たれた頬は赤くなってるが赤毛とソバカスがマッチしてチャーミングだ。

何より整えた胸元の兵器は素晴らしい。


「いえ、アレだけのサイズです。さぞ平均を引き上げていた事でしょう。社会正義のためです。それよりお怪我は?」

「え?平均?……大丈夫です、押し倒されただけです。盗賊から救っていただきありがとうございました!冒険者の方ですか?」


女性の距離が近いのが気になる。

女性馴れしてないのではなく、あくまでパーソナルスペースの問題だ。

そう、パーソナルスペースなのだ。


「そうですね、男はいつでも冒険者かもしれない、そしてある時は旅人なんでしょう」


テンパって何も出てこなかったので、意味はわからないがそれっぽい事をアンニュイな感じで言ってみた。


「い、いろいろあるんですね……」


引きつった顔でサラッと流され、ちょっと傷ついた。


「そんな事より!村を、村を助けて下さい!コイツだけじゃなく、沢山の盗賊に襲われているはずです!」


胸元にすがりついてくる女性。

拘束具を付けていないであろう胸元のクッションは正にテンピュール超えだろう。


「安心して下さい。俺はプロてすから」


そう、俺はプロ。きっと何かのプロだろう。

なんのプロか明言しなければ問題ない。


「ありがとうございます!でも、武器が……」

「まぁプロですから……」


女性は辺りを見渡して、オッサンの元に向かい棒を取ってきた。

オッサンはどうでも良いがクッションが離れてしまった。


「盗賊が持ってたショートソードです!これを使って下さい!」

「ええ、プロですからね」


ああ、女性の胸とはこんな感触だったのか。

名残惜しさを噛み締めていると、女性が俺の手を掴んできた。

少し荒れてるが温かい。


「では、こちらです!急いで下さい!」

「ああ!プロだからな!」


テンションが上がってきた。

何か頼まれたのはわかるが、何すれば良いかわからん。

今は、この手の感触を堪能しよう。


グンマーとはフィクションです。

田舎も大好きです。バカにするつもりはないです。

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