トンネルのを抜けるとそこは
不定期更新になると思います。
主人公はズレまくっているので共感はできないかもです。
初めて書いた文章なのでチグハグですが何卒。
「はぁっ!はっ!吹き飛べぇ!」
馬で戦場を駆け抜けながら、雑兵共を吹き飛ばす。
仲間は攻城戦に向かっているが、俺は町中の雑魚を駆逐している。
「むぅ……どこに隠れてる?」
馬上から周囲を見渡すが、周囲は肋屋ばかりで人影が無い。
大通りを左に曲がると、突然馬が崩れ落ちる。
「っぉお!」
馬から飛び降り顔を上げると敵兵に囲まれていた。
大通りを曲がってくる敵兵を待ち伏せていたのか。
すぐさま腰に佩いた刀を抜き放つ。
「5、6……十人以上か……良いじゃないか……行くぞっ!」
攻撃を回避しながら相手を品定めするが見事に雑魚ばかり。
大技で一度に吹き飛ばそうか。
相手の大振りを避けて、軽く腰をおとし体を限界まで捻る。
「……“戦技 大円斬”!。」
捻り込んた身体を開放するように、腰元に狙いを定めて水平に振り抜く。
「ぎゃぁ」「うおぉ」「ぉお」
刀身から伸びたオーラが敵兵の上半身と下半身を切り分け、辺りに臓物が飛び散っている。
「よしっ!しっかり吹き飛んだな」
この『戦国YAMATO』は、いわゆる無双系ゲームと言われていて、上手くやれば数十人を吹き飛ばす事も可能だ。
PvPや攻城戦などもできるが、醍醐味は吹き飛ばした時の爽快感だろう。
「うん、10人じゃ足りないな。もっと集まっ……おお?」
目の前にウインドウ現れ、悲壮感溢れるBGMが聞こえる。
『自軍敗北。陣地に帰還まであと10』
数字がカウントされていく。
「あれ?負けた?俺まだ城にもついてないけど?」
カウント終了と共に体が白く染まり、視界もホワイトアウトしていく。
目を開けると自軍将兵達が集合している。
「やってくれたな……」
「え?なんスか?ヤバいんスか?」
戦団のリーダーが声をかけてくるが、額には青筋が浮いてる。
上の立場の人間は高血圧が多いとじっちゃんがいってた。
リーダーの健康が心配だ。
「俺は言ったよな?市街戦は意味がないから城内でやれって」
「もちろん聞いてましたよ。話をちゃんと聞くのは人として基本っスから」
失敬な、俺が話を聞かない人間だと思ってるのだろうか。
非常に心外である。
「ジャア?ナンデ?マチデタタカッタ?」
「あっはっは。聞くのと実行するとでは別問題みたいっスねぇー。いやいや、僕としても大変遺憾な結果……ぎゃあ!」
コイツ切りつけて来やがった。
戦闘区域外だからビックリするだけて済んだけど。
「何するんスか!今日一ビックリっスよ!」
「黙れ!今までは対人戦に無駄に強いから見逃してたが、数々の命令無視にはもう許せん!だいたいお前は……
リーダーの目は俺に何かを真剣に諭そうとしてる。
自称エアリードマスターの俺にはわかる。
ただ、そんなことよりリーダーの口から飛び散る飛沫が気になって仕方ない。
ダイブ型VRの再現度は素晴らしいが、精神的にいやだ。
キタナイキタナイ。
……らお前はそうなるんだ。わかったか!」
「はいリーダー、俺もこの再現度には驚きです」
「はぁっ!?そんな話してねえよ!」
ジョークも通じないなんて、少し疲れてるようだ。
無理させても可哀想なので、今日の所は休ませてあげよう。
出来る部下は上司に気遣いもできる
「リーダー、お疲れみたいですね。今日は休んで下さい」
「だぁらぁ!意味がわからん畜生ぅ!もういい!二度と俺のま」
「ログアウト実行」
眠りから覚めるようにゲームから現実に戻る。
軽い空腹を感じながら身体を起こした。
「いやぁ、今日も怒ってたな。いつも元気な人だ」
凝り固まった身体をほぐしていく。
カプセル型ハードじゃ寝返りを打てないからな。
「んー、やっぱりゲームは無双系だな。他のゲームも嫌いじゃないがストレス解消にはコレだな」
時計を見ると7時前で、夕食には良い時間だ。
昨日から仕込んでおいたハヤシライスがあるので、今頃はきっと酸味が飛んでマイルドになっているだろう。
「ハ、ハ、ハヤシ〜ハヤシって誰♪そう、それは何を隠そう」
自作の歌を歌いながらキッチンに向かうと視界がグニャりと歪んだ。
「あ、あれぇ?」
倒れていく身体を制御できない。
景色が傾いて床が近づいてくる。
来るであろう衝撃に目を瞑るが、衝撃は来なかった。
(あれぇ?part2!)
目を開けると、何故かトンネルの中を歩いている。
一本道だが土が剥き出しなので洞窟のよう。
トンネルの壁は全体が淡く光ってる、不思議体験だ。
(ってか何か身体が勝手に動いてんだけど!オートパイロット実装?俺バージョン2?)
目は動かせるが身体は勝手に歩く。
トンネルの先にには小さな明かりが見えるので、そこに向かっているんだろう。
(駄目です、制御できません!まさか、暴……ってバカ!)
アニメネタからの一人ツッコミは思った以上に寂しかった。
ボチボチ歩いてるが光はまだまだ先にある。
(どこに向かってんだー。ん?女の子?)
ヘルメットを被って首にタオルをまき、ニッカポッカを履いた少女がいた。
手にはツルハシを持っているが、空いた手でこっちに向かって何故かオーライしている。
(おおー髪がメチャ長いな、膝まであるんじゃね?今どきパツキンも気合が入ってるな!)
まだ遠いからよく見えないが、金髪がユラユラ揺れている。
勝手に動く足は少女に向かっていく。
(ちょ、なんか壁殴ってる!ツルハシ使えよ!)
ツルハシを左手に担いて右手で壁を殴りつけているが、結構な威力を秘めているようで壁がボロボロ崩れている。
わかります、ツルハシは飾りなのです。
(まさかのドロップキック!?って、おお。穴があいた!さすがっス姉さん!)
フィニッシュブロー(?)を決めて、タオルで汗を拭き2Lのペットボトルから豪快に水分補給してる。
半分以上一気に飲むでから、首の後ろの襟元に手を突っ込んでゴソゴソしていると背中から赤い棒が出てきた。
(近づいて見るとメチャ美形だ、目も赤いし外人さんかな?)
美形少女は誘導棒をフリフリして、先程あけた穴に誘導してくる。
(金髪に赤眼、作業服を着た外人の女の子か……ありだな!コレは新しいジャンルかも。しかし、そんな少女に穴に誘導される……ゴクリ)
自分が新たなステージに上がったのを確信。
馬鹿な事を考えているうちに、身体は少女の誘導通りに穴へ歩く。って言うか穴の先は真っ暗でその先に落ちた。
(お、おろ、落ちてる!落ちてる!あー、玉がヒュンヒュンして気持ち悪い!)
落下してるのに相変わらず身体は動かない。
精神は次のステージに上がったが、身体は落ちるとはこれ如何に。
ダメだ意味がわからん。
(ヤバいヤバいヤバい「ヤバいヤバいーって、ん?」
声が出て、浮遊感もなくなった。
何時の間にか瞑っていた目を開ける。
「あれぇ?part……もういいや。で、何だここ?」
周りは木ばっかり、鳥の鳴き声も聞こえる。
じっちゃん……トンネルのを抜けても雪国じゃないようです。