2-23 ヴァレリのルド王国侵攻作戦
「ヴァレリ中将殿、魔王様の許可がおりましたわ」
「ついに来たか!ブランカ・アブロ中級尉官!」
俺の名はヴァレリ・バーコフ。
魔人軍の中将だ。
昨年、ここツイーネ王国を殲滅したまでは良かった。
だが諸事情によりルド王国との国境線を越えられていない。
事情は幾つかある。
まずガウンムアからの物資が思うように届いていない事。
ガウンムアの農民を殺しすぎたが故に作物の収穫が激減してしまった。
南の大陸からの支援を期待してツイーネは文字通り殲滅してしまったので
新たな収穫はまったくない。
魔人の国本国からの支援も距離があるので時間と労力がかかる。
だが昨年のウチにルド王国を落としてしまえば、
食糧不足などという情けない理由で
人員を削減する事にはならなかったはずだ。
そして魔王様からの侵攻ストップ命令。
ただし戦線は今の位置で維持せよという。
完全に覚醒しきっていない魔王様が最後の一つの能力を手に入れるまで
時間がかかるからだろう。
しかし魔王様は完全復活なされたのだ。
そしてルド王国への侵攻命令が下ったのである。
グレイン少将が受け持つパールバディア側の戦線を下げ、
魔王討伐軍というふざけた名前の軍隊モドキをを王都から離しておく間に
我が軍がツイーネから侵攻を開始する予定だ。
兵達が戻ってきた。さらに人数を増やして。
食料をはじめとする物資も大量に届いている。
ガウンムアで調達したテイマーも魔物を数多く引き連れてきている。
陸路と海路の部隊に分け一気にたたみかけるつもりだ。
エスタンにはルド王国の討伐軍と正規軍が常駐しているが
正規軍は敵にはならないだろう。
対人間同士の戦争に特化した兵などデク人形に等しい。
手強いのは多数の魔法使いを擁し魔物を倒す訓練を受けている討伐軍だ。
だが今常駐してる討伐軍のリーダーはまだ16才の小僧と聞いている。
本隊がクルトフ奪還作戦にかまけている間に黄泉の国へ送ってあげよう。
「諜報部隊の情報だとエスタンもウーファも港の警備は手薄だそうだ。
海路部隊にはテイマーと魔物共を多めに配置しろ。
俺は陸路で行くぞ。
ブランカは陸路と海路、両方の部隊の進捗を見極めてバランスを取れ」
「了解しました中将殿。今回は殲滅ですか?普通の侵攻ですか?」
「普通の?なんだそれは」
「皆殺しで良いかどうかの確認ですわ」
「分かり切った事を。男は殺せ、女は犯せ。
食える物は奪い尽くせ。以上だ」
夜が明けると同時に侵攻作戦が開始された。
国境を越えていく大量の魔物共は一気に敵の見張りの部隊を飲み込んだ。
港では殺戮が始まった。
けなげにも切れ味の悪い剣を振り立ち向かってくる男共は
一矢を報いる事も出来ずに魔物共の餌となっていく。
エスタンの手前の街道で討伐軍と正規軍が迎え撃って来た。
だが両軍とも統率が取れていない。
いつもの討伐軍なら一般兵は魔法部隊の援護に徹するはずなのだが
正規軍の鎧を着た部隊は集団で突っ込んでくる。
「まずは弓。次に槍、最後に剣の乱戦、だったか?
古典的な騎士道精神にあふれる美しい部隊じゃないか!
礼には礼を持って尽くそう!
おまえら、遠慮しなくていいぞ!殺せ殺せ殺せ!」
魔法部隊が放つ石弾の雨、部隊ごと焼き払う巨大な火球。
大量のつむじ風が巻き起こす埃まみれの突風に耐えきれず
顔を覆っている間に屠られていく人間共。
なんと弱い事か。
ボイドが近寄って来た。
「中将殿、討伐軍は正規軍の援護をせずに
エスタンの町中まで撤退して行きました」
「なるほど、味方を見捨てたか。
思い切りの良い采配だ。小気味良いな!」
「感心してる場合ではありません。
今のところ我々が屠っているのは魔法が使えない普通の人間共です」
「おお、そうか。こしゃくな魔法部隊を温存しとるのだな。
もしかしたら港に応援に行かせたのかもしれん。
おい、ブランカ副官!情報ははいってこんのか!」
ブランカは報告を受けるとすさま駆け寄ってきた。
「はっ!中将殿!お察しの通り港は苦戦しております。
港から中心部に向かう丘を確保できていません!」
「なるほど、わかった。ボイドの部隊は港で暴れてきてくれるか?」
「御意に」
ルド王国の正規軍はあらかた殲滅したようだ。
「全軍前進!」
エスタンの町はもぬけの殻だった。
あらかじめ疎開できる連中は逃がしておいたのだろう。
先ほど殲滅した正規軍と港で戦っている一部の魔法部隊は
全滅覚悟の足止め部隊だったらしい。
ボイドが戻って来た。
「港を制圧完了後、丘を越え役場付近まで侵攻しましたが
町はもぬけの殻でした」
「うむ、ご苦労だった。
今回の働きに応じて貴君の昇進を少将に進言しておくぞ」
「有り難きお言葉」
「今夜はここで休むぞ。
明日の朝夜明けと共にウーファに向けて出立する!」
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私の名前はブランカ・アブロ。
ヴァレリ中将の副官を務める魔人軍の美人上級尉官よん。
今回は兵站の調整が難しいのねん。
ガウンムアから小麦を運んで来るんだけど
もはやガウンムアの物資も底を尽きかけている。
情報によればエスタンからウーファに向かう穀倉地帯は豊作だったので
大量の糧食が手に入るはずだった。
だけど街道沿いの村々はもぬけの殻。
ついでに穀物倉庫もすっからかん。
穀物を積んだ馬車は大陸の中央部を目指していったらしい。
おかしい。これは情報がもれていると見なければ。
考えてみれば我々も諜報部隊を活用して敵の状況を探ってきた。
あちらさんもスパイを活用してないはずはないだろう。
それでも置いてきぼりにされた家畜や
港に水揚げされた魚介類は貴重な食料となった。
ルド王国正規軍の死体はそのまま魔物共の餌となる。
悪いことばかりじゃないのねん。
そしてウーファの城壁線が始まった。
ツイーネ王都の城壁線を経験してる我が部隊は多少手間取ったものの
難なく城壁を突破。
市中へなだれ込んだ。
だが、討伐軍の温存されていた魔法部隊は手強かった。
魔人の部隊もかなりの人数を減らされたが、
何とか敵を殲滅することに成功する。
城壁は同時に三カ所を突破したため
逃げ遅れた住民はどこに逃げても魔人部隊の餌食となる。
唯一北へ続く門だけが逃げ場となっていたため
それなりの数の住民に逃げられてしまったが、まあいい。
目的は達成した。
後はウーファを基点に周辺の農村から略奪をするだけだ。
ここでいったん体勢を整えてから王都へ侵攻する予定だ。
「中将殿、素早い侵攻さすがでございました」
「ブランカ副官、君もよく働いたな。今夜はゆっくり休め!」
「・・・・・はい」
あらら、今夜は私を抱かないのかしら。
さすがの中将も疲れたのねん。
中将のテントを出るとすれ違いに数人の集団が入っていった。
兵士が一人ずつ手を縛られた女を連れている。
どれもこれも金髪美形の巨乳ばかり。
「ちぇー、飽きられちゃったかな?
そりゃまあここのところ暇に任せてやりまくりだったしね。
私もたまには新兵喰いしちゃおっかなあ。
いや、喰う!」




