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宇宙からの勢力のその後


~~ボイパ船長~~


「船長、今まで一番大きな爆発です!」

「記録は取ったか?」

「ええ、バッチリですよ」


 マリアンが送ってくれた映像と現地で計測したデータ

を元に解析を行った結果、例の爆発はやはり魔石を燃料に

した圧縮爆発であると予測がなされた。


 この爆発は次元の揺らぎを起こし

火球の範囲内の物質をすべて消失させている。

そこにあったものは中間空間に一気に引きずり込まれたのだろう。


「なら出口があるはずだが」

「いえ、船長。爆発の規模と揺らぎの量が

釣り合わないんです。

つまり消えた物質はすべて

中間空間に留まっているのかも知れません」


 これはもしかしたら凄い発見かもしれない。

中間空間に任意で留まることが出来るようになれば

例の空間収納バッグの解明にもつながる。


 宇宙船クラスの巨大な質量を一時的に中間空間に

逃がしておくことが出来れば通常の宇宙空間から

一瞬にして姿を消すこともできる。

もしかしたら光速に達していなくてもハイパー光速航行

をもっと短距離で利用できるかもしれない。

さらに言えば・・・・


「ほぼ完全な状態での物質転送装置ができるかもしれん」

「船長、おっしゃるとおりですが実験はどうします?

今回は近くに星間パトロールがいなかったのですが

感づかれたらやっかいですね」


「そうだな。その他にも検証しなければならない事が

たくさんある。ま、しばらくはデータを元に理屈を蓄積

していき予測をたてていこうか」


 この惑星は実に面白い。

飽きることがない。


~~マチルダ~~


 マリアンとボイパ船長から報告があった。

魔人共は一体なにを開発したのだろうか。

TNT火薬10t相当以上の爆発を任意にしかも大量に

起こせるのだとしたら我々に勝ち目はなかった。


 誰かがドアをノックした。

念のためプライベートスクリーンを閉じる。

「入りなさい」

「失礼します。女王陛下、閣僚の招集が完了しました」

「ご苦労様。すぐ行くわ」


 さあこれからは戦後処理だ。

大量に生産した魔道銃に冒険者ギルドから買い取った大量の魔石。

それに万を超える軍隊の食料等、戦費はルド王国の財政を圧迫した。

魔人の国に残っている財産をごっそり受け取ったところで

幾ばくにもならない。

すなわち大赤字なのである。


 武功を立てた者には勲章と名誉で我慢して貰うしかない。

農村の復興は基本的に村人達のマンパワーに期待するしかない。

復興が済むまで税の免除も検討しなければならないので

王家も貴族もしばらくは緊縮財政だ。


 それと重要なことがもう一つ。

戦後処理にある程度の目処がついたら

アレックスに王位を継いで貰わねばならない。

戦争で荒廃し疲弊した国を立て直すのが最初の大事業と

なるアレックスは気の毒だ。

私もしばらくは最大限のサポートをせねばならないだろう。


「あ、そうだ、もう一つあった。息子の嫁問題。

どうやらセシリア嬢は落とせなかったみたいだけど

クロエ嬢とは良い感じみたいだし。

どうなってるのかしら?」


 夜遅くに会議が終わり自室にこもってから

まだ魔人の国にいるマリアンを呼び出す。


「出ないわね。寝るにはまだ早いしなにやってんのかしら。

メッセ残しておくか・・・・あ、出た」

「あ、先輩。すいませんいろいろ忙しくて」


「ふーん。エドといちゃいちゃしてたんじゃないの?」

「・・・・・・・うふふ」


「あらあら、ごちそうさま。色っぽい話ついでなんだけど

ウチの息子はどうなの?クロエ嬢とは進展あったのかしら」

「はい、最近は人目もはばからず一緒に居ますね」


「それはなにより。でもあの子童貞よね?

大丈夫かしら?」

「どこの馬鹿親ですか、先輩。そう言うのはお付きのスケベ士官

がそれとなく教えるものですよ」


「あらそうなの?そう言えば私の陛下もやけに手慣れていたし。

なにか秘密の男性ネットワークが構築されてるのかしら」

「先輩・・・・勉強ばっかりしてきたから

案外そう言うことに疎いんですね」


「まるで自分は世間を知ってるかのような口ぶりね」

「はぁ・・・マジで言ってるんですか先輩。

あのですね・・・・・・・」


 マリアンから講義を受けた。


「なんというか複雑な思いだけど。

まあ息子もちゃんと大人になったってことね」

「そうですよ。いつまでも『アレックスお坊ちゃま』じゃないんです」


「まだ私から見たらヒヨッコだけどね」

「先輩、いい加減子離れしてくださいよ。

それにまだ若いんだから再婚したっていいんですよ?」


「わ、私のことはいいわよ。

マリアンこそどうするのよ。

エドはスフィーアに帰るのよ?」

「もちろんついて行きますわよ」


「私の副官は誰がやるのよ」

「ボイパ船長に相談しましょう。

また活きの良い新人をだまし・・・スカウトして貰って」


「まあいいか。ルド王国内だけで集める魔石も限りがあるし

採取範囲を広げる意味でもあなたをスフィーアに行かせるのは

良いアイデアかもね。それは私からも船長に言っておくわ」

「ありがとう御座います。ご祝儀弾んでくださいね!」


 これは戦後は結婚ラッシュね。

ご祝儀だけはケチらないようにしないと。


 私の執務室には前国王陛下であり私の亡き夫、

ウォルター・ボ・ルドウィンの肖像画が飾られている。

少々美化されているその絵を眺める。


 私の陛下。

 私の夫。


 戦争は終わりました。

これで仇を取った事にしてちょうだいな。

それにあなたの、そう私達の息子は立派に成長しています。


「さてさて、アレックスが国王になってくれれば

私も多少は自分の時間が持てるはず。

なにしよっかなー。

しばらく長期休暇なんて取ってなかったもんね。

あら、あなた。羨ましいの?」


 肖像画の夫が少しむっとしたような顔に見えたが気のせいだ。


~~ラヴェイル諸島~~


 2万年の長きにわたり稼働を続ける機器が

ガウンムア大陸における次元の揺らぎを観測した。

岩石に偽装された人工衛星を経由して。


 今回の件だけではなくこの惑星の地表で起こる顕著な

現象はすべて記録されているのである。


 とうの昔に主人を失ったAIは感情を持たず

ただ淡々と日々の業務をこなしている。

酸化による腐食を防ぐため窒素で満たされ他にも様々な防腐処理が

施されている秘密の地下室で。


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