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ダレスとラーチャのその後 


~~ダレス~~


 土魔法を使える人達が魔王城を取り巻くバリケードの一部を

撤去してくれたおかげで

僕とアケミさんは魔王城の外に出ることが出来たんだ。


 数人の兵士に囲まれて僕たちは殿下がいる南の陣に

戻ってきた。

そこでアケミさんはかつての仲間達と再会した。


「シェリー、エド、ギルバート、ウィリー。久しぶりね」


 シェリーがアケミさんをハグした。

「アケミ。見ない間に大人になったわ」

「シェリー・・・・姫様も」

「いいわよ、シェリーで」


 僕はその場を離れた。

お邪魔だからね。

 

~~


 エリックがいなくなってしまったし魔王も倒したので

勇者のパーティは仕事がなくなった。

僕は元々スフィーア亡命政府の預かりだったので

元に戻りシェリー姫様たちとスフィーアの復興に

本格的に取り組むことになった。


「ねえ、エド。これからどうするの?

一度ルドアニアに帰るのかな」

「そうだな。改めて女王陛下にお礼を言わねばならないし」


「僕も?」

「当たり前だろ。

勇者のパーティの一員として魔王と戦ったんだ。

お前は人類を救った英雄の一人だよ」


「えっ。そんな大げさな話なのかな」

「ダレス。自覚ないのか?

いいか、エリックはもういない。

エリックと一緒に魔王と直接対決をしたお前が

エリックの代わりにルドアニアに凱旋するんだ」


「そっか、そうだよね。

でもギルバートやアリアやセシリアも一緒だよね?」

「そうだな。勇者のパーティのみんなは

歴史に名を残すことになるな」


 ここまで夢中で戦ってきたのでそんなことは

考えても見なかった。

でも断るわけにもいかないよね。


「エド。ルドアニアに行く前に寄り道したいんだけど」

「おう、いいぞ。どこにいくんだ?」


「ガウンムアの西部の町だよ」

「そうか。老師に運んで貰うか?」


「いや、ドワーフのミスリル鉱山経由の街道があるみたいだから

走って行くよ。みんなとはルドアニアで会えるようにする」


 剛力を持っていて良かった。

いつもよりかなり速いペースで山脈と国境を越えて

目指す町にやってきた。


 町は綺麗に片付けられていて戦闘の跡は

ほとんど残っていない。

役場前の炊き出しも撤去されていた。


 冒険者ギルドに行きラーチャの消息を尋ねる。

「ラーチャなら依頼をこなしに行ったがソロソロ

帰ってくるはずだよ」


「ここで待たせて貰っていい?」

「もちろんだよ。剛力のダレス」

「えっ、僕のこと知ってるの?」

「おいおい、有名人がなにとぼけてるんだ?」

「うへー。目立つこと出来なくなっちゃったなぁ」


 そうこうしているウチにラーチャとマキシーが帰ってきた。

「やあ、ラーチャにマキシー」

「ダレス、無事だったのね。良かった。

お茶のみに行きましょう」

「うん!」


 お茶を飲みながらラーチャに聞いてみた。


「ラーチャはこれからどうするの?」

「ツイーネに師匠のシャリファが居るの。

戦後の後片付けが終わったら会いに行くつもり」


「それなら一緒に行こうよ。

ツイーネ経由で僕はルドアニアに帰る」

「かなり遠いわ。船で海を渡って陸路で何ヶ月かかるか」


「大丈夫だよ。僕が抱えていくから」

「えっ。どうやって?」


「お姫様だっこで。僕の剛力ならペースを落としても

一週間くらいでつくよ」

「ありがたいけどだっこされて街道を移動するのは

ちょと恥ずかしいわね」


「じゃあ恥ずかしくならないようにしよう」

「どうやって?」


「結婚しよう」

「・・・・はい?」

「結婚しよう」

「・・・・うん。私で良ければ」


「じゃあ決まり!まずはツイーネに行って師匠に会って

ルドアニアの教会で祝福を受けてまたここに帰ってこよう。

それから一緒にスフィーアに付いてきてくれる?

もちろんマキシーも一緒に!」


 ラーチャのお母さんは涙を流して喜んでいた。

この娘は狼と結婚するんじゃないかと思ってたって。

「あはは、ごめんねマキシー。って・・・・」

マキシーは僕の足に軽く頭突きをかました。


 それからツイーネでシャリファ師匠に会い

数日一緒に過ごしてからルドアニアに行った。

マキシーはさすがのゴールデンウルフ。

僕のペースよりは遅いけどちゃんと走ってついてきた。

でも時々マキシーをおんぶしたけどね。

狼を背負い女の子をだっこして街道を風のように走り抜けた。


 王都での凱旋パレード、女王陛下との謁見式。

ひととおりの式典が済んでから王都の中央教会で

結婚の儀を執り行って貰った。

セシリアが用意してくれた純白のウェデイングドレス

はラーチャのサイズに合わせて仕立て直してくれたいた。


「セシリア、ごめんね、そしてありがとう。

本当はエリックとの式でこれを着る予定だったんだよね」


「いいのよ、ダレス。考えてみたら私もエリックもお互い

結婚しようなんて一言も言ってなかったのよね。

このドレスは私の先走りよ。

ラーチャが着てくれて良かったわ」


 みんなに祝福して貰って僕もラーチャも幸せだ。


 教会の祭壇には勇者エリックの似顔絵が掘られた

大きなレリーフが飾られている。


 きっとどこかで見てくれているよね。

 

 エリック、今までありがとう。


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