1-14 スフィーア最後の日 その1 ブランカ隊の奇襲
おっぱい大きめ。スタイル良し。美人度・・・・82点!そして黒髪。
「はい合格ちゃん。なんか着せて連れてってちょうだいね」
捕虜にした全裸の女性達を選別中の私の名前はブランカ・アブロ。
魔王軍の下級尉官ちゃんよ。
つやつやの黒髪と二重まぶたのぱっちりお目々に長いマツゲが自慢の21才。
自分で言うのも何だけど美人度93点よん。
「あなたが最後ね。はい失格。殺して良いわ」
泣きわめく全裸の金髪女性は兵士二人につかまれ連れ出されていった。
にやにや笑っている兵士は殺す前に犯すだろうな。
あるいは殺した後犯すのか。
まあどっちでもいい。
それくらいの楽しみがないと戦争なんてやってられないものね。
私は部下に優しい上司ちゃんなのだ。
見逃すわよん。
失格者は殺すけど合格者は本国に連れ帰り誰かの子供を産んで貰う。
もちろん誰かの妻としてだ。市民権も与えるし待遇は悪くないハズよん。
侵攻が開始されてわずか二日でこの都市を制圧した。
簡単すぎてあくびがでたわよん。
この国、スフィーアの住民達は半数以上が魔法を使えると聞いていたので
それなりに気合いを入れて乗り込んだのに残念ちゃん。
「ブランカ隊長、以上で選別は終了です」
「はいお疲れちゃん。あなたも休んでいいわよん」
私は休む前に今日の日報書かなきゃ。
日時:○月×日
天候:晴れ
場所:スフィーア国ノースタウン
記録者:ブランカ・アブロ下級尉官
街の中心部にある役所とおぼしき建物にこもる残存勢力を一掃。
男はその場で殺害。生きている女は拉致監禁。
ただし結婚出産が可能とおぼしき年齢の女性に限定される。
その他女性はその場で殺害。
子供は女子を残し男子は殺害。
集められた子供を含む女性を選別。
合格者を本国に移送する準備に入る。
失格者は正しい手続きで処分した。
以上。
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見張り塔にいる二人の兵士のうち一人が密林の一部を指さした。
「なんだあれは。人か?」
もう一人が指さされた方向を凝視する。
「うん?どこだ?な・・・・おい!」
最初に気がついた兵士が倒れる。首が吹き飛んでいた。
呆然と首なし死体を見つめるもう一人の兵士に、
短いマントを羽織る見慣れない軍服を着た男が話しかけた。
「あのさー、ちょっとさー、聞きたいことがあるんだけどさー」
「うわ!お、お前、どっから来た!」
見張り塔は高さ10mはある。
階段を登って来れば入り口は一つしかないのでわかるはずだが、
その男は突然姿を現した。
「とりあえずさー、ちょっとさー、落ち着こうか」
兵士は慌てて剣を構えた。
「あー、もう。ちょっと話を聞きたいだけだって。さ。」
「妙なしゃべり方しやがって!なにしに来やがった!」
「君、人の話聞かないタイプ?出世しないよ?」
男が右手の手のひらを兵士に向けると兵士の剣が床に落ちた。
掴んでいた両手首と共に。
「わ、うわああああ!手があああ俺の手があああああ!」
「うるさいのさー。まったくもう。さ。ついでに足も貰っておこう」
両手足をもがれた兵士はひとしきり叫んだあと静かになった。
「貴様・・・こんなことしてタダですむと思うなよ!」
「タダですむと思ってるさー。
で、この町の規模や守備隊の戦力等教えて貰えるかなー。
教えてくれたら手足元に戻すさー」
「ほ、本当か?」
兵士は男の質問に素直に答え始めた。
ひとしきり質問が終わると男は礼を言った。
「ありがとさー。じゃ、死んでね」
手のひらを広げ兵士の頭に向けると兵士の頭はぐちゃりとつぶれた。
「あ、手足くっつけとかなきゃ。さ。って、できないんだけどね」
死体の廻りにいい加減に手足を置き男は姿を消した。
「ブランカ隊長。偵察任務終了、ただいま戻りましたさー」
「はいはい、レオン軍曹ご苦労ちゃん。報告よろしくねん」
ひとしきり報告を聞いたブランカは簡単な地図を見ながら指示を出す。
「作戦いるの?これ。各個撃破でいいと思うんだけど」
「一応必要ですさー」
「この街道が南へつながる唯一の道ね。
ここは押さえましょ。二人行って。誰も通しちゃ駄目よん。
北の塔はそろそろばれる頃だからさっさ行きましょう。
ここはレオン軍曹、三人連れて行って。
中央に役場とか守備隊の基地があるみたいだから
残りの者は左右に展開して生き残りをここに追い込んでね。
それでは張り切って行くのよん!」
交代要員が見張り塔の上で二つの首無し死体を発見した。
すぐさま詰め所に報告に向かう。
詰め所の隊長は死体を下ろし状況を見聞するように指示を出す。
「物取りか?怨恨か?はて。まあ見聞報告が届くまでは待つとしよう」
この判断の遅さが致命的となった。
突然巨大な岩石が詰め所の入り口を破壊した。
飛び散った瓦礫が中の人々を吹き飛ばす。
頭から血を流した隊長は見慣れぬ軍服を着た男を見つける。
「な、なんだお前は!」
男は答える代わりに手のひらを隊長に向けた。
隊長はとっさに土壁を生成、男が射出した岩塊は土壁に阻まれた。
「ほう、少しはやるようだな」
さらに巨大な岩塊が土壁を吹き飛ばす。
土煙が収まる頃には隊長以下数名の兵士は裏口から逃げたようだ。
気がついた住民達が逃げ出し始めた。
通りはこのまま南に行けば役場方面につながっているはず。
追い込むのは簡単そうだ。
街のあちこちで爆発音や建物が倒壊する音と住民達の叫び声が聞こえる。
立ち上る土煙を見ると左右に展開した部隊がどこまで進んだかが確認できた。
魔法が使える住民達は応戦し始めた。
土塊、風刃、水刃等、どれも当たれば一発で人を殺せる強力な魔法だ。
が、侵略者達はそれらをたやすく防ぎ、魔法を放った住民達を屠っていく。
侵略者達は総勢20名足らず。一人一人が強力でも戦線に隙間が出来る。
その隙間を縫うように生き残った住民達は役所がある中央を目指した。
あらかた中央部に人を集めたところで夜になった。
街の出口さえ固めておけば逃げられないだろう。
「だいたい片づいたわねん。南の二人はちょっと待って貰うわよん
交代要員出すから順番に休んでねん。一人も街から出しちゃいやん、よん。
後は明日やりましょー」