3-21 勇者の新しい仲間達 その2 ギルバート
ダレスも勇者のパーティに登録しなきゃ。
俺、ダレス、シェリー、エドそれに
老師の五人で雑談していると
ギルバートが近寄ってきた。
「おいおい、いつの間に『常に優しい狼』が復活したんだ?」
エドが答える。
「そんなわけないさ。
今ダレスをエリックに紹介してたところ」
ダレスをギルバートに紹介した。
「そうか、剛力の持ち主か。腐ったトカゲ肉には注意しろよ」
「はい?まあトカゲは好きなので注意します」
もともと剛力はアケミのポジションだもんな。
適切なアドヴァイスだ。
俺はギルバートが持っている魔道ライフルに目をやる。
「ギルバートはライフル使ってるんだ」
「ああ、殿下に与えられた物だしな。
自分で言うのもなんだけどだいぶ慣れてきたよ」
「頼もしいね。銃に関してなにかリクエストが
あったらドワーフに伝えておくよ」
「ありがとう。ところでエリック、相談なんだが」
「なんざんしょ?」
「俺は銃と共に剣も持ち歩きたい。
接近戦では剣の方が速い気がするんだ」
「うん」
「だが銃と一緒にロングソードを腰にぶら下げると
重くてね。どちらかに専念したほうが良いとは解ってるんだが」
『おいエリック』
『なんだい、えーちゃん?』
『ドワーフに軽めの日本刀でも作って貰ったらどうだ?』
『おお、いいね』
「ギルバート、ロングソードよりは軽くて
レイピアよりは刃渡りのある剣があったらどう?
使ってみる気ある?」
「想像付かないな。現物はあるのかい?」
「いやない。ドワーフに頼んで試作品作って貰うよ」
ギルバートとまた会う約束をして練兵場を後にした。
「じゃあダレスは明日一緒に城に行こう。
健康診断もやると思うから綺麗なパンツはいてこいよ」
「わかった。新しいパンツはいて行くよ!」
皆と別れて俺はドワーフの所に向かう。
簡単な絵を描いて日本刀のリクエストをした。
構造はえーちゃんが詳しかったのでアドヴァイスを受けながら
分解図も描いて添える。
「わかたあるよ。すこし時間欲しいネ」
「もちろん。よろしくお願いね!」
次の日城に行き殿下にダレスを紹介する。
そこで今度は殿下から相談を受けた。
「ギルバートの事なんだが」
「はい、昨日練兵場で会いましたよ」
「そうか。相談というのはギルバートを
勇者のパーティに入れてもらえないだろうか?」
「え、ええ。本人さえ良ければ是非。
理由を聞いてもいいですか?」
「ウーファから帰ってきた後ギルバートは
とりつかれたように訓練に精をを出した、のはいいのだが。
元々彼が預かっていた部隊は剣士の部隊だ。
銃を強制したところで皆プライドがあるからな。
部下とは上手くいかず彼は部隊長を辞して今一人なんだ」
「そうだったんですか。
そう言えば昨日も一人で訓練してたみたいですね」
「まだ本人には打診してないができればよろしく頼む」
「解りました。本人が了承したら加わって貰いますね」
ダレスと二人で殿下の執務室を出る。
ダレスは書類にいろいろ記入して健康診断を受けてきた。
「お帰りダレス。どうだった」
「全裸になって肛門まで調べられちゃった」
「だよな。それが普通だよな」
「そうだ、パーティメンバーも増えてきたし
皆が一緒に生活できる借家でも探そうかな。
殿下に相談してみよっと」
再び殿下の執務室を訪ねたが会議に出てるとのことで
慌ただしかった。
「忙しいときにすいません殿下」
「いやいい。そう言うことなら大使館の並びに
空き家があるかどうか総務に掛け合ってくれ。
私の名前を出していいぞ。
というか私も一緒に住みたいよ」
「殿下は立派な部屋が王城にあるじゃないですか」
「合宿みたいな雰囲気で皆で生活するのにあこがれが
あったりするのだ」
「なんとなく解ります」
「それに勇者のパーティと雑魚寝ならばセキュリティも万全だしな」
「討伐軍との連係を図るため泊まりがけで会議、
という名目でいらっしゃればよろしいかと」
殿下は一度机に戻りサラサラと何かを書いて
サインを入れた。
「これを総務に持って行ってくれ。
すまんがもう行かねば。よろしく頼んだぞ」
殿下はお付きの役人達と会議に行ってしまった。
ダレスが聞いてくる。
「それなんの書類なの?」
「どれどれ。要約すると
『私と勇者のパーティのために空き家を探せ』だな」
「殿下、一緒に住む気なのかな」
「たまに泊まりに来るだけだろうね。
どれ、総務にかけあってみよう」
~~セシリアとアリア~~
私はアリアを連れて教会に行った。
教会でも大賢者サミュエルは神格化された扱いである。
その一番弟子のアリアがやってきた事により
中央教会内はちょっとした騒ぎになった。
中には大賢者様に一目だけでもお会いしたいとお願いする
司祭様までいたがすべてアリアが却下した。
晩年の時間を静かに過ごさせてあげて欲しいと言われたら
皆引き下がるほかなかった。
事情を話ししばらくは教会で生活することを
了承して貰ったのだが、前述の理由で私も見たことがない
一番豪華なゲストルームに案内されてしまった。
その部屋を見たアリアが困った顔をしている。
「ついこの間までサミュエル様の世話をしながら
山小屋で生活してたんです。
こんな豪華な部屋は落ち着かないし
私一人じゃ寂しいです」
「じゃあ私が使ってた部屋に来る?お望み通り質素よ」
「はい、是非!」
そこで協会側からちゃちゃが入る。
やはり当代の賢者様を当人の希望とは言え普通の扱いにするには
教会のメンツが立たない。
せめて護衛を付けさせて欲しいと言ってきたのだ。
「じゃあカミーラさんをお願い」
カミーラはスフィーア亡命政府に所属してるけど
まだ教会のシスターとしても活動を続けている。
出会った頃は知らなかったけど教会の要人警護もやっている
と言うことは聞いている。
教会は了承してくれた。
「私が使ってた部屋にベッドを3っつ用意してください」
一応私も聖女様なので二部屋続きの広い部屋に住まわせて貰っていた。
三人でも充分生活できる。
「カミーラさんってシスターさんなんですか?」
「そう。ウーファにいた頃同室だったの。
今日は忙しそうだからまた改めて紹介するわね」