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第八話 親 そのいち

誤字脱字等指摘頂けると喜びます。お試しで23時に投稿してみました。

ちょいちょい推敲してますが、あとから見ると恥ずか死ぬ間違えがあったり…。

アグネウスにはマーガレットという母親がいる。彼女は毎日彼の面倒をみている。いわゆる専業主婦であると考えれるが。


(男親はいないのだろうか…)


彼の父親というものは見たことがなかった。前世の知識を持ち込んでいる彼からすれば、彼という存在がある以上、マーガレットの他にもう一人の親が存在するはずだ。


(亡くなったとか、失踪したとか?)


ここが異世界であれば、


(行為をしなくても生殖できる?)


母親の腹部から生理現象として胎児が排出される、という可能性もある。


(そういえばオーラを生成する器官があるとかって言ってたな…)


連想するのは先日の出来事。魔法を習いたがったアグネウスだが、母親から諭されて諦めざるを得なかったのである。


(前世ではそんな器官があるなんて聞いたことはないし…『気』とか『オーラ』という概念は確かにあったけど…)


マーガレットの口ぶりはまるで、その存在が確かに認められている、というものだった。


(生体構成がそもそも全く違うとか、前世からの医学の進歩が飛躍的…とか?)


彼の妄想はとどこおるばかりであった。




ーーーーーーーーーー




ガチャリ、


いつものようにアグが、マーガレットの読み聞かせを受けていたある日。今まで彼女しか開けたことがなかったドアの、開く音がした。


「進捗はどうかね。」

「す、ストレイ卿!」


マーガレットが慌てて立ち上がりお辞儀をした相手は、小太りで中年の男性であった。


(この人が俺の父親なのか?)


金属が溶けそうなほど熱い眼差しを男性へと向けるアグ。果たしてその期待は。


「ふむ…よく育っているじゃないか。乳母程度のお前が良くやりおる。」

「…ありがたき幸せ。」

(まるで大昔の殿様みたいな物言いだな…)


あまりにも偉そうな男性の態度に眉をひそめるアグ。そして彼の発言。


(やっぱりマーガレットは俺の母親じゃなくて乳母なのか…?)


しかし、その事実に不思議と衝撃は受けなかった。


(それでも、俺にとってマーガレットは確かに母親だからな。)


思考に区切りをつけるアグ。続いて気になるのは彼の本当の母親。


(まさか、この父親の股からスポッ、なんてことはないよな…)


もし前世とは異なる世界なら、子供を生むのは父親の務め、という可能性もある。

自分を産んでくれたかもしれないとは言え、その醜い様相に心の中で苦言を漏らす。

豚のようにふくよかな体、怪しげな光を放つ指輪たち、首から下がる無数の鎖、三重に垂れ下がる顎、その存在をこればかりと主張する大きな鼻、逆に小さな耳。


(そうだったら泣くかも…)


『醜い』という言葉がピタリと当てはまる人物だった。

だが、その不安は男性の次の一言で払拭される。


「我が家の末っ子とは言え、腹を痛めた我が子なのだから様子を見ておきたいと、コイツの母親が言ってな。」

「世間体ですか」

「まあそういうことだ。」


男性の思惑を見事当ててみせるマーガレット。全く嬉しそうではないが。


(やっぱり、実の母が生みの親か…)


その言葉に安堵するも、自分の存在がぞんざいに扱われているように感じたアグ。


(俺ってばもしかして、文字通り要らない子?)


「やはり処分するとなると、色々と面倒だからな。」


その言葉が発された瞬間から、アグの腕に何か熱いものが、体をまとわりつくように触れた。


「あづううううい!」


あまりの熱さに声をあげる前世は大学生のアグネウス君一歳と数ヶ月。







「え…?あっ、あっ!ごめんなさい!?」

(慌てるマーガレットの声も可愛いなあ…って、え?)

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