第二十九話 選択授業
今月分は書ききった。あとは任せた…ぞ(ガクッ
昨日の投稿から一時間の間に200ものアクセスがあったそうな。
いつもありがとうございますm(_ _)m
数ヶ月後。
学校に通い始めてから半年経ち、授業の選択を行う日がとうとう訪れた。
「うーん…」
宿屋は一室、一枚の紙の前で唸るアグ。
彼はこれまでに受けた授業を思い返し、悩んでいた。
もっとも、寝ることが多かったせいで、覚えている授業は数えるほどしかないが。
「国語…は別にいいし、数学も興味ない。家庭科なんて論外。魔法は当然選ぶとして…」
アグは頭を抱えて悩みに悩む。
「地理と歴史…どうするか…旅に出るなら一見選択したほうが良さそうに見えるけど…。」
ここまで彼が深刻になるのは理由がある。
前世では義務教育の一貫で、それらの科目を学んでいたアグ。
いろいろな国の軌跡や特徴を知れて面白くはあったのだが、そのせいかどうしても先入観を持ってしまい、行ったこともないのに国の印象を決めつけて差別してしまうことが多々あった。
(ああいうのはきっと良くないからなぁ)
国の政治や歴史が悪いからといって、必ずしもそこに住む人々が悪人であるとは限らない。
アグはそのことを転生して、マーガレットに出会ってから大きく実感していた。
それに、彼にとっては重要なことが他にもある。
「よし、魔法だけにしておこう!」
ついに心を決め、紙に印刷されたリストの中の、魔法と書かれた欄にチェックを入れる。
「これで一時間授業で済むぞ!」
魔法は地道な練習で上達するに至るので、学園では毎日魔法の授業が組まれている。
反面、魔力を消費しすぎると身体に悪い影響が出ることから、1日に1コマしか入っていない。
そういうわけでアグが受ける授業は毎日一時間のみとなる。
本当の狙いはそこにあった。
この世界で電気は普及していない。日が暮れた後の光源はロウソクのようなもののみ
「ふふふ…。」
薄暗い部屋の中、机の上に置かれた照明から放たれる光を、受け取るアグは犯罪者のような面構えをしていた。
ーーーーーーーーーー
「じゃあ回収するぞ。」
ダン先生が列ごとに纏められた用紙を受け取っていく。
教室の端から端まで移動し終わると、教壇へ戻って一枚一枚に目を通す。
「うん?」
ピタッ、と、ある紙の所で手が止まる。
先生は教室の一角、アグの方をみて言う。
「アグネウス、あとで職員室に来てくれ。」
「は、はぃぃ?」
不備に覚えのないアグは首を傾ける。
「ちょっと気になるところがあってな。放課後、よろしく。」
「わかりました。」
不安になりながらも了承の念を示す。
「あの平民またなんかやったのか?」
「どうせ魔法だろ。」
「まあそうだろうな。」
クラスでのアグの評価はそんなものだった。
「失礼します。」
「おう、アグか。こっちだこっち」
職員室へと入ったアグはすぐ、手を振るダン先生を見つけ、そちらに向かう。
「なんでしょう。」
「芸のないやつだな、まあいい。お前、選択授業のやつは本当にあれでいいのか?」
「あれとは?」
先生のアバウトすぎる質問に要領を得ることができなかった彼は首を傾げながら問い返す。
「朝回収したやつだよ。魔法にしかチェックがついてなかったが、他に興味を持った授業とかあるんじゃあないか?」
「え?別に科目がひとつの人なんてたくさんいるでしょう?」
「はあ!?いねえよ!」
「ええ!?」
アグのような面倒くさがりは他にいないらしい。
「なんで魔法だけにしようと思ったんだ?」
ダン先生は片耳から落ちたメガネを元の位置に戻しながら言う。
「まあいろいろあるんですけど、一番大きいのは面倒くさいからですかね。」
「面倒くさいってお前…」
先生にすら呆れられる彼。
それなりの理由はあるのだが、話すのと、その後のことを考えると先の回答が最良の選択に思えたのである。
「せっかくこの学校に入れたんだから、もっと選ばないと勿体無いぞ?」
アーノルド王国立学校は、教育の質、研究の成果などから世界でも名高い教育機関だ。
肩書を気にする御曹司ならともかく、そんな最高の環境を活かそうとしない平民のアグを、ダンは理解し損じていた。
「言わないと駄目ですか?」
辛そうな顔を作ってダンに懇願するアグはさすが演技派マーガレットの義息子だ。
迫真の演技にたじろぐダン先生。
「そ、そうだよな。なんか済まない…」
(よしっ!)
アグは心の中でガッツポーズ作る。
「…なにか先生に協力できることがあれば遠慮せずに言えよ。」
「ご厚意感謝致します。」
失礼します、と礼儀正しくお辞儀して退室するアグネウス。
そんな彼をダンは複雑そうな顔で見送った。




