第二十八話 生成魔法入門 そのに
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「生成魔法習得の第一段階は鉱石…石の錬成でしゅ。」
「先生、それは錬成魔法に分類されるのではないでしょうか。」
一人の生徒が手を上げて疑問を投げかける。
アイリーン先生は頷いてこう答える。
「ええ、物質同士の結合でしゅから、そちらに分類されましゅ。が、生成魔法の感覚を掴むには持ってこいの魔法でしゅ。」
先生は修練場の細かい土を幾分か宙に浮かすと、一箇所にまとめて圧縮を始める。
「水のときはくっつけるだけでしたのでありませんでしたが、鉱石を生成する場合、粒同士がこすれることにより熱が発生しましゅ。」
土は暗い赤色の光を発し始める。
生徒達から驚きの声があがる。
「熱を受けた石や砂の粒は、溶けてそれぞれが繋がっていきましゅ。」
光が赤色を通り越し、橙色になると鉱石は眩い光線を発しながらも形を纏まったものへと変えていく。
「しゅるとこのように一つになり、冷やすと石になるわけでしゅ。」
「「「おー!」」」
橙色の光が収まった後に見えてきたのはアグの拳大程度ある石だった。
その様子を確認したアイリーン先生は額の汗を拭きながら一息つく。
そして出来上がった石を一心に見つめる生徒たちの方を向いて付け加えた。
「もちろん熱が発生しゅるということは気温も上がるわけで、ひたすら作業に没頭していると操作者が焦げ死にましゅ。そしてみなしゃんは魔法初心者ということで暑さを防ぐ魔法は習得していましぇん。でしゅから、対象物との距離を充分にとって、実践してみてくだしゃい。」
素材はここの土でいいでしゅから、と言いながら自分の真下を指差す先生。
(いろいろな点で大丈夫なのかそれ…)
アグは小言を呟きながらも少量の砂をオーラで持ち上げ、圧力をかけていく。いつもの魔法に目がないというやつである。
纏めた砂はしばらくすると暗い赤色に染まり始める。
しかし彼はそこで作業を中断してしまう。
「ぜー、ぜー、」
荒く息を吐き出すアグ。
他の生徒たちも同様だが、アグのように溶け始めの段階までたどり着けた生徒は数えるほどしかいないように見える。
「これ、さっきの比じゃないぞ。」
隣のテオは呼吸を整えながらそう言葉を漏らす。
周りからも非難めいた声が聞こえる。
そんな言葉の矢の中でも平然として佇む低身長のアイリーン先生。
「これでもまだマシな方でしゅ。」
凛として答える彼女はまるで…。
その日の授業後のクラスで、あるアンケートが成された。
『アイリーン先生をどう思いますか?』
全員が統一してこう主張した。
『あれは鬼だ。』
と。




