第二十七話 生成魔法入門 そのいち
いつもありがとうございます(*´ω`*)
「今日は物質浮遊魔法から一歩先に進みたいと思いましゅ。」
「おーいアグ、新しい魔法だってよ。」
ピクッ
アグの耳がかすかに動く。
「今までは物を動かしゅのみでしたが。」
アイリーン先生の周りの景色が歪み始める。魔力を高めているようだ。
「今日からは物を作り出す魔法も、お教えしましゅ。」
言い終えると、先生は両腕を広げ、目を瞑る。
歪む部分は広がっていき、丸い球体のような形になった。
その円は先生の掌へ向かって徐々に小さくなっていき、やがて無くなるが彼女の手に何かが残される。
「水だ…」
「ご明察でしゅ。」
「!!」
アグの脳は完全に復活した。
(魔法魔法魔法魔法まほうまほうまほう…)
いや、壊れたままだった。
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生成魔法。
物や現象をオーラや魔力により作り出す魔法である。
火を起こす、水を生み出す、といった魔法はここに分類される。
一方で、すでに存在する物質を魔力やオーラで細工することにより新たなもの、鉱石を合成するなどの現象を生じさせる魔法は錬金魔法という。
アイリーン先生が実演したものは生成魔法に分類される。
空気をオーラで覆い、その中に含まれる水分を凝縮させることで水の生成を行う。
「簡単そうに聞こえるかもしれましぇんが、この魔法を習得するには並々ならぬ努力が必要でしゅ。」
ただ空気を圧縮させるだけでは水を作り出せない。
水以外の空気は球を縮小させる段階で抜いていかなければ成功しない、うんぬん。
「まあ百聞は一見にしかじゅ、でしゅ。実際にやってみてくだしゃい。」
覚えのある言葉の並びに、アグは一瞬心の中で驚きの声を漏らすが、そういうこともあるよなと無理やり納得して作業に移る。彼は魔法に目がない。
(空気中の水分だけをこう…ぎゅーっと…)
アグの掌に向かって球体が収縮していく。
そして…。
(…できるかっ!)
何も残らない。
「むずくね?」
隣のテオも眉をしかめている。
(そもそも空気中の水分ってどれだよ!?全部同じだわ!!材料は水蒸気か!?水滴か!?まさか水素と酸素くっつけろって言うんじゃないよな!?死ぬわ!!)
アグは彼を無視し、心の中でブツブツと愚痴りながら何度も挑戦する。
(この世界に原子の概念ってか存在ってあるのか!?というか俺らが飲んでる水ってH2Oなのか!?)
ついには関係のないことにまで妄想は膨れ上がる。
それに気づいたアグは頭を冷し、今度は冷静かつ単純に考える。
(とりあえず、先生の言葉を鵜呑みにして水…水滴かな?集めてみようか。)
目を閉じて再び集中し始める。
空気中に飛んでいる水分を集めてくっつけるイメージ。
同時に、窒素的ないらない気体は球体の外に排出する。
(みず…みず…みず…ハァァァァイッ!)
目を大きく開けてその物質があるであろう自分の右手に視線を向ける。
そこには…。
(デスヨネー)
なにもない。
「いきなりできたら超がつくテンサイということになりましゅけど、いないみたいでしゅね。」
(くっ、分かってたけど悔しい。)
実のならない努力に膝をつくアグ。
「空気中から物質を生み出す生成魔法が使える人物は、優秀な魔法師が集まるこの国の魔法軍でも数える程度しか居ましぇんし。今回は別の魔法を実習しましゅ。」
更なる驚愕の事実。
それは彼の燃えた心の火を消すに充分な風となる。
(俺の今までの努力って一体…)
崩れ落ちるアグネウスであった。




