第二十五話 授業 そのに
華やかさが足りない…女性の登場人物を増やそう!→サディストが持ってそうなメガネをかけた老婆。
駆け足で書いた感が半端じゃない…
あと数実でストック切れます。南無。
二日の休日を挟んで学校へ登校したアグネウス。
今日は充分に睡眠時間を取ったのでお目々ぱっちりだ。
「実技かぁ、どんなことするんだろう。」
自分の席に荷物をおいて独りごちる。
「魔力循環は欠かさないようにしてたけど、本を浮かせることくらいしかしてないしな…あれは魔法って言うのも怪しいし…」
物を浮かせることは魔法において基礎中の基礎。例え才能のない一般人だったとしても、ほとんどの人が再現できる現象のひとつらしい。
全く魔力のないアグの父は特別な例である。
「魔法はあまり使えないけど魔力量だけには自信あるんです!なんてことにならないよな…大丈夫かな…」
実は、魔力量が多いというだけならさして珍しいことではない。
問題は、その有り余る魔力を存分に扱える感性があるかどうかだ。
それを調べるには学校へ行くなどして魔法のいろはを学ばなければならない。
もし、そういった才能があるのなら、学校卒業後の将来は安定と言える。
国の軍や研究所がこぞって推薦状を送りつけてくるからだ。
また、受け入れた人々は給料の高さから、勝ち組なんて呼ばれたりする。
前世で言う高級公務員といったところか。
「まあ関係ないか。」
そう、関係ないはずだ。
彼は知らず知らずのうちに、自分にそのような価値があるかを測ろうとしていたらしい。
前世の癖というものはなかなか抜けない。
「だいぶ毒されてるっぽい。」
憂鬱な気持ちを抱えたまま、魔法修練場へと足を向ける。
ーーーーーーーーーー
「では始めましゅ。」
教壇に立たないアイリーン先生はさらに小さく感じた。
が、それは言葉にしないで心の中にしまっておく。
(生徒をひと捻りできるらしいからな…)
その気持ちは恐怖というよりは、公園で遊ぶ児童を見守る親のようなものだった。
そしてこの言葉も胸のうちにしまう。
この調子ならそのうち、ハートのインベントリが彼女へのラブでいっぱいになりそうだ。
冗談はともかく。
「まずは、魔力を流してもらったことのない人もいると思いましゅから、そこから始めましょうか。」
彼女はいつの間にか手に持っていた水晶を、修練場の真ん中におくと、生徒ひとりひとりの名前を呼んで、水晶に手を置かせる。
ところで、すでに魔力の感覚を知っている人に魔力を流すとどうなるか。
その答えは、なんら問題ない、だ。
あるとすれば、
(な、なんでしゅかこの量と質、それに流れの良しゃ!)
流した相手の魔力にまつわる情報が分かってしまうことだろうか。
(ありえないでしゅ…どうすればこんなことになるんでしゅか…)
アイリーンを思考の海へと沈めた原因はアグにあった。
(急に静かになったけど、どうしたんだろう?)
本人に自覚はないが。
「あなたは…」
「アグネウスです。」
「そう…アグネウスくんはどこでどうやってこの魔力を?」
「アグで結構です。いえ、特に特別なことはしてませんよ?」
「そんなはずないでしゅ!この年でこの魔力は明らかにおかしいでしゅ!それこそ人体改造みたいなことしないと…ハッ!まさかあなた敵国のスパイでしゅね!」
「だから何もしてませんって!みんなと同じように毎日魔力循環してただけですよ!魔法だって本しか持ち上げたことありませんし!」
「待って!あなた毎日魔力循環してたんでしゅか!?」
鬼のような形相でアグへとせまるアイリーン先生。そんなに怖くない。
だが、勢いに押されたアグは若干引きながらも答える。
「え、ええそうです。たまにすっぽかすこともありますけどほぼ毎日、10分くらいやってます。」
「毎日!?10分も!?あなたどんな神経してるんでしゅか!?」
「はいぃ!?」
10分って少ないほうじゃないのか?と自問した後は、何故馬鹿にされたのかいまいち要領を得ないため、彼女に説明を求める。
先生曰く、魔力循環は普通、一週間に1〜3回行う。一回で5分も循環させ続ける事が出来れば上出来らしい。
アグの行っている魔力の訓練ペースは、国の軍人とほぼ変わらないものらしい。
「馬鹿でしゅ…馬鹿がここにいましゅ…」
「先生、あんまりじゃないですか…俺そろそろ泣きますよ。」
「あなたはそれぐらい反省しないと周りに示しがつきましぇんよ…でしゅが、今までよく生きてましたね…そこは褒めましゅよ…」
「ええ…」
魔力による爆発は赤子に限った話ではないらしい。
魔力循環のしすぎでも人間爆弾の素となり得るそう。
(俺、ホントによく生きてたな…もしかしなくても今生分の運、全部使い果たしたんじゃないか…)
いろいろな意味で先が思いやられるアグだった。




