第二十二話 入学 そのいち
Dead ○r Alive 、好きです。
いいですよね、Brand N○w Lover。
…あれっ?
合格発表から一ヶ月後、学校へと初登校したアグ。
「さて、俺は何組かな。」
自分の所属するクラスを確認する。
「あったあった。」
ひと組約50人、それが10組ある。
アグの名前が乗っているグループには、3組と書かれていた。
学園は三年間基礎的な知識を享受すると卒業出来るが、より専門的なそれを学んだり、研究を行いたい場合は残ることができる。
その際の学費は本人持ちとなるが、論文の発表を行うなどして社会から一定以上の評価を得た生徒は、講師となって今度は教える側に回ることができ、それによる恩恵として学費が免除されるらしい。それどころか給料を貰えるそうだ。
教授に近い存在といえば分かりやすいだろう。
アグは取り敢えず三年間は通うことにしていたが、それ以降のことは終わってから考えよう、と決めていた。
騒がしい教室の前で立ち止まるアグ。
深呼吸すると覚悟を決めて引き戸を開ける。
ガラガラガラ。
教室内の生徒は先ほどとは一転、静まり返ってこちらを一斉に見る。
「平民かよ。」
彼の洋服から判断したのだろう。何処かからそんな声が聞こえたが、無視して自分の名前が掲げられた机へと向かう。
(関わると絶対面倒なことになる…)
椅子に座るとふぅ、と息をつく。
彼の机がいきなり強く叩かれる。
ドン!
完全に油断していた彼はその音でビクリと身を震わせる。
彼の前に立っていたのはいかにも貴族っぽい男の子であった。
「お前、貴族との接し方すら習わなかったのか?」
般若の形相をしたおかっぱの彼はアグに詰め寄る。
アグはその顔に声をあげて笑いそうになるが、なんとか堪えると貴族に謝る。
「申し訳ありません。小生田舎者でして、貴族様になにかご無礼を働いたならばご指摘いただけると幸いなのですが…」
マーガレット仕込みの会話術。
見かけとは大きく違って丁寧な口調でそう返すアグに、貴族の子息は一瞬大きく目を見開くが、直ぐにもとへ戻してこう言う。
「そうか、ならばこのアーノルド王国王子が直々に教えてやろう。」
今度はアグが目を開く番だった、どうやらおかっぱ頭は貴族どころか、この王国の息子らしい。
「いいか、貴族に出会ったらまず跪くんだ。そしてこう言え、『我等が主、貴族様、ご機嫌麗しゅう。』とな。」
「左様ですか。」
早くこの状況から脱却したいアグは、すぐにその言葉を実行する。
「我等が主、貴族様、ご機嫌麗しゅう。」
次の瞬間、教室中がドワッと、彼を嘲笑する音で満たされる。
「ぎゃははははは!」
「これは傑作だ!」
「いいぞ!もっとやれ!」
目の前の彼も腹を抱えて笑っている。
アグはキョトンとした顔をしてつくって言う。
「え?なにかおかしなことしました?」
王子は目尻に溜まった涙を指で拭きながら返す。
「だっておまえ、その挨拶は…」
「おーし、みんな席につけー」
言い終える前に先生が教室へ入ってきたことで、その話は中断されてしまう。
王子はまだニヤニヤしながらも自分の席へと戻っていく。
アグは首を傾げる演技をしてから、周りと同じように姿勢を改めるのであった。




