閑話 初めての外出
予告通り。アグが初めて外に出たときのお話です。
アグがマーガレットに魔力を流してもらった数日後。
突然訪れたアグの父親は、判断力がついたとの理由から、自宅近くまでの外出を彼に認めた。
「やったー!図書館だ!」
活動できる範囲が制限されているものの、アグにとってそれは長年の夢であった。
彼の自宅の横には図書館があり、その規模もかなりのもので、情報収集を行うにもってこいの場所だった。
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アグはここ数日間図書館へ入り浸っていた。
「なるほどねえ…」
図書館の蔵書は外へ持ち出すことを禁止されており、必ず施設内で用を済まさなければならない。そして、図書館は彼の獲物の山である。
その環境が、彼を本の虫にさせていた。
「うーん、疲れた」
長時間同じ姿勢で本を読みふけっていたが為に、疲労を感じた彼は気分転換として外へ出ることにした。
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「地球じゃないよなあ。」
喫茶店の一角で一息つくアグ。
窓の外の行き交う人々をみて、テーブルに頬杖をつきながら考える。
顔や体の付き方は西洋人に見えるが、よくよく観察するとそれほど顔に彫りはなく、体も人によって、という感じであった。
特に目を惹かれるのは、色とりどりの髪、首輪と安そうな衣服を身に着けただけの者、動物の耳や尻尾を生やした人物、そして極端に背の低い者たちなどであった。
「猫耳があると、人間みたいな耳ってないのかな。」
気になるなー、なんてぼやいていると、マーガレットがこちらに向かってくるのが見えた。
「アグ、そろそろ帰るわよ。」
「はーい」
お茶の会計を済ませ、一度図書館へ戻って机に積み上げたままの本を返却する。
それが終わるとマーガレットと並んで帰路につく。
といっても、家と図書館は目と鼻の先に位置するので、並ぶ必要はないが。
(明日からマーガレットの授業か…)
受験の為に必要な勉強は、指導経験のあるマーガレットが手伝ってくれるということで、明日から彼女がそれを教えてくれる。
教鞭をとるマーガレットを想像…できない。
(ちょっとイメージは難しいかな…。)
辛辣な性格は受け継がれていた。




