第十八話 宿
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ありがとうございます(*´ω`*)
最近急に忙しくなってきたので、予定より少し早めですが、今月の終わり頃から毎日更新ができなくなるかもです…無念
ショウとの別れを済ませたアグは、先程通った道を戻る。
「確かここらへんに…あった!」
彼が目指す先は『やすらぎの里』と書かれた看板の下がる建物。
ドアを開けるとカラン、とドアベルが鳴る。その音に気づいた建物の主が目の前に現れる。
「いらっしゃい。」
そう語りかけてきたのはエプロンをかけた、ふくよかな熟女。
(おばさん…じゃ失礼だよな…)
「お姉さん、一週間(この世界では六日間)ほど止まりたいのだけど、部屋に空きはあるかい?」
お姉さん、と呼ばれた熟女は、頬を赤に染めて手を扇ぐ。
「まあ!お世辞がうまいじゃない。そう呼ばれるのも魅力的だけど、アタシにはヘレンっていう名前があるからね。そっちで呼んで頂戴な。部屋は少しなら空いてるけど、要望はあるかしら?」
彼女はドアの目の前にあるカウンターへ彼を促しながら、建物の見取り図を取り出す。
部屋の内容や値段は要望により異なり、一番料金の高い部屋は既に空きがないようであった。
どうやらアグと同じように学校の受験に来た貴族や大臣の七光りが泊まっているらしい。
「うーん、なるべく面倒くさくない部屋がいいかな。」
「面倒くさくない部屋?」
彼の言うそれとはすなわち、そういった身元の人物と出会わないところに位置する部屋、というものであった。
(あいつらに問題起こすとロクなことないからな。)
どこで誰が聞いているか分からないため、アグは小声で遠回しにその旨を伝える。
「あっはっはっは、なるほど、面倒くさくない部屋ね!それならここがいいわ。」
「ふむふむ…いいね!そこにするよ!」
真っ黒い笑みを貼り付けた二人の様相は、ある種の取引をしているように見えただろう。
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「じゃあ、六日間で3000ノルドね。」
「…はい、これでお願いします」
ノルドとは、アーノルド王国で使用されている通貨である。アグはここへ来る前に換金所へより、セント共和国から持ち出したセントをノルドに交換していた。
アーノルド王国は豊かなので、ノルドの価値は日本円の感覚に似ていた。
なお、セントに換算するなら100ノルド=1セントである。
もちろん価値の変動はあるが、滅多に変わることはないらしい。
(言語は一つだけなのに、貨幣の種類は逆に多いんだな。)
内心で首を傾げつつ、要求された額のノルドを出す。
「1、2、3、丁度ね。飯がいるならあんたから見て右にある食堂で食べれるよ。お金は取るけどね。」
「それはありがたい!是非使うとするよ。」
部屋の鍵を渡されたアグは、カウンター横の階段を上る。上ったところを右に曲がり、途中で伸びる左の通路を進み、一番奥にある右側のドアを開ける。
椅子と机、ベッドがそれぞれ一つ置かれていた。洗面台は小さいものが一つ。お手洗いは通路の途中にそれらしき標識があった。湯浴みは公衆浴場を利用するのがこの世界の常識だ。
「ふう…」
ベッドに横たわると、旅の疲れが一気に訪れる。
(少し眠ろう…)
眠気に抗わず、瞼を閉じて身を委ねるアグであった。




