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第一話 転生 そのいち

そう考えながらしばらく目をつむっていたが、想像していた衝撃や音がこない。

それでも恐怖から目を開けられずにいた。


すると、何か細くて硬いものを鼻に入れられる感じがした。

しかしそれはすぐに引っ込み、代わりに体全体を浮遊感が訪れる。


(痛すぎて痛くないってことかな…そんで、今は絶賛はねられ中って?)


はねられて死ぬのって意外に遅いんだなあ、と場違いなほど呑気に考えていた彼だが、尻にムチで叩かれたような痛みが走り、思わず声を出してしまう。


おぎゃあああああああいってえええええ


思わぬところへの鋭い痛みに驚きつつも、自分の置かれた状況測るため、異様に重い目蓋をなんとか持ち上げる。

霞む視界に見えるのは、ほぼ成人しているはずの自分を覗く、大きな顔。


「=*@#〜:!!」


訳の分からない言葉がなぜか耳に残った。

彼はそこで意識を失った。




ーーーーーーーーーー




衝撃的なあの出来事から数ヶ月後、彼は周りを柵に囲まれた硬いベッドの上で、胡座をかいて考えていた。


(やっと眠気が収まったか…一体どうなってるんだ…)


彼はここ数ヶ月、起きて何かを口に添えられ、それを反射的に吸って飲み込み、眠気に耐えられずに眠り、また起きて吸って眠るという、まるで重度の病気を患った患者のような生活を送っていた。


(ここは病院か?なんか視界がぼやけてよく見えないけど)


実際、彼は自分が患者だと考えていた。


(生き延びちゃったかー、はあ…またあの怠惰な日々が始まるのか…)


暗い感情を押しのけるように背伸び…しようとして、自由に動かない腕を見る。


(あんだけの事故だもんなー骨折くらいするよな…うん?)


腕をなんとか顔に近づけてよく観察する。


(包帯してないし…なんだかふっくらしてる?)


まさか…と思いつつも、自分の体を確かめる。

ふっくらとしていたのは腕だけではない、足も腹もだ。

頭に手を触れる。眉にかからないくらい短かったはずの毛髪は以前よりさらに短く…というよりは量が少なく、基準にすると身体の八分の一どころか三分の一になりそうなくらい大きな頭、感じられないhis son。

そして、意識を失う前の赤ん坊のような泣き声。


(ま、まさか…俺、赤ん坊になってる?)


少し混乱しつつも、自分の記憶を確かめる。


(俺の名前は田中雄一たなかゆういち、生年月日は199*年12月12日、血液型はO型、年は19、しがない大学一年生…)


大学のことを考えたところで、休日にも関わらず大学へ行こうとした自分に悶えて、硬いベットの上を転げ回る。


(しかもそれが原因で死ぬって…)


死ぬ、その言葉で冷静に…顔から火を出しながら、再び考える。

そう、死んだはずだ。しかしどうやら彼は生きている、それも赤ん坊になっているようだ。つまり…


(つまり…記憶を保持しながら生まれ変わった…?)


そこまで考えたところでガチャリ、と物音がした。

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