表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/44

第十七話 アーノルド王国 そのに

23時からの一時間100アクセス達成!ありがとうございます!

「あーっ!」


賑やかな大通りを歩いていたアグは、突然立ち止まり大声をあげる。


「どうした?」


馬車を引いているため安易には立ち止まれない馬車の御者…名前はショウというらしい…が、歩きながら振り返る。


「そういえば俺、この国の言葉全く知らないや!」


うわーっ、と頭を抱える彼に、ショウは不思議な顔をしながら言う。


「何言ってんだ?」

「だからこの国の言葉を習ったことがないんだよ!図書館に辞書っあるのかな…いや、そもそも図書館あるのかな…」

「はいぃ?君、そんなことも知らないの?」

「え?」


大臣の子供って…、と呆れるショウ。そんな彼の良いところは。


「いいかい、アグ。この大陸に普及している言語は一つだけだ。」

「え?」


基本的なことでも律儀に教えてくれる人当たりの良さ、だ。


「当たり前だろ?二つや三つ違う言葉があるなんて、恐ろしいったらありゃしない。」


商人の敵だ…と、各国を渡り歩いて物を売買するショウは、想像して身震いする。


(まじか…)


アグは、その言葉を聞いて心底安堵する。

彼らが話す言語に名前がついていないのはそういう理由である。


「でも、『之、魔法也』って文章があったよ?」


マーガレットから魔法を教わったときに聞いたことを思い出して、ショウに問う。


「ん?あー、それは大昔に流行った文章の書き方らしいよ。僕らが使っている言語は昔から殆ど変わってないらしい。」

「でも、付け加えなければならないときだってあるでしょ?」

「造語ってこと?そういうのは専門の協会がつくるのさ。新しい単語ができたら、そこが世界に発表するのさ。」


二、三年前にもあったかな。と締めくくるショウ。


「ふーん」


違和感を感じながらも、アグは納得せざるをえなかった。




ーーーーーーーーーー




「おお…これが学校か…」


そびえ立つは、これまた石壁に囲われた大きな建物。


「そうだ。試験は明日。僕はもちろんついてこないからね。」

「もちろんだよ。ここまで良くしてくれてどうも有難う。本当に助かったよ。」


感謝の念を送るアグ。

ショウはへへっ、と自身の鼻を擦りながらそれに答える。


「君がなかなかにイイヤツだったからつい…ね。まさか大臣様の子息にこんな良くできた奴がいるとは思わなかったよ。」

「母親の教育が良かったからね。」


二人はその言葉で笑い合う。


「さて…僕も仕事があるからね。ここでお別れだ。宿の場所は分かるよな?」

「うん、さっき歩いてるときに見かけたからね。」

「そこがいい。間違っても路地裏の宿は使わないほうが身のためだだよ。」


かれに背を向けたショウだったが、ああ、と言葉を付け足す。


「何かあれば僕を頼っていいからね。できる限りの面倒は見てあげるからさ。メニマニ商会でショウって名前を出せばすぐ見つかると思うよ。」


それじゃあね、と手を振りながら遠ざかる彼に。


「お世話になりました!」


アグは頭を深く下げたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓こちらを押していただくと、『小説家になろう 勝手にランキング』様での当作品の順位が上がります。たぶん。
お時間があれば是非にお願い致します。
(お一人様一日につき一回限定)
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ