閑話 マーガレット そのいち
予告通り。マーガレット、というお話。
次回は本編に戻る予定。
アグを寝かせた私は、彼のことについて考えていた。
(手洗いうがいはいつもしているのだけど…なにか病気を持ってきちゃったのかしら…)
今まで、可愛すぎる彼に夢中だった私だが、冷静になって気づく。
(赤子としての理解力は規格外よね…)
生後数ヶ月の時点で既に意思疎通が取れていた気がする…しかも身振り手振りも交えていた。私に負けず劣らない演技派に思えた。
(オーラにも敏感だし…この子、天才かもしれないわ…)
そう考えながら、今も唸り声をあげる彼を見つめる。
(こんな家じゃなければ、自由に外を歩かせてあげられたのだけど…)
彼の才能をのばすには惜しい環境。
(もしこの子が私の実子だったら…)
それを想像しそうになって首を振る。
(そんな考え、あの娘に失礼だわ)
それに、
(そんなことしなくても、アグはちゃんと私の子供だからね)
アグは私が何度も乳母であることを伝えても、変わらず母さん、と呼び続けてくれていた。
私は目を細めてそんな愛おしい彼の頭を撫でる。
一方で、貴族に取り上げられたもう一人の我が子のことを思う。
(どうか…幸せに…)
叶うはずもない願いを、窓の外で爛々と輝く月にかけた。
アグネウスという名前ですが、一応、フランス語の"agneau"から取っています。
盛大なネタバレになりそう。




