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 拙い文章ですが、大目に見ていただけると幸いです!!

更新ペースは、週に一回以上できたらな~、と思って頑張ります(三日坊主)

 誤字や脱字には気を付けているつもりですが、あったらごめんなさい!((その際は教えていただけると嬉しいです!



 腰まで伸びた純白の髪を夜風になびかせている少女が暗闇の中に立っていた。


 髪の白さと相まって、まるでモノクロの世界のようであった。白いまつ毛に縁取られた瞳が開かれる――――


 モノクロの世界に二つの朱が灯る。


 開かれた瞳を、一瞬、ためらいで満たされた瞳が揺れたかのように見えたが、すぐに瞳からはためらいが失われた。


 決意を固めた真っ赤な瞳を悲しげに細めてから、モノクロの世界に朱を焼き付けていく。


 白い少女は、モノクロの世界をさらに朱に染めていく。赤く、紅く、朱く―――――



  朱に染められた世界には、たった二人しか存在していなかった。たった、二人しか・・・。



  ―――――――――――――――――――――――――――



 「ようこそ、第一魔術学園に。学生証を登録するために魔力の放出をお願いします」


 ふんわりと伸びた、金糸のように艶やかな髪を風になびかせ、学生証へと手を伸ばす。魔力回路が起動できる必要最低限の魔力のみを瞬間的に放出する。


 小鳥から放出された魔力はごくわずかで、目に見えない。


 同時に少女の髪がさらに輝き白く見えたが、そのことには誰も気付かなかった。


 「ありがとうございます。こちらがこの学園の学生証となりますので、常に携帯しておいてください。お名前は、――――――」


 受付の女性が起動された学生証を確認し始める。


 「―――――風間 小鳥かざまことり様でよろしいでしょうか?」


 女性は学生証に表示された名前を確認のため読み上げる。


 小鳥はそれを聞いてほんの少し口角を上げるがすぐにふわりと笑った。


 「はい、そうです!よろしくお願いします~。」


 女性は微笑み返すと、入学者名一覧から小鳥の名前を探し、チェックを付けた。


 「それでは、この学生証に今後の予定が記されていますのでご確認の上、行動してください。」

 「了解です~。」


 目を細めて、輝かんばかりの笑顔を浮かべ、小鳥は学生証を受け取った。


 受付の女性に笑顔で手を振ってから、学園の方へ顔を向ける。


 きっと、周りの人とは違う意味でドキドキしてる。大丈夫、大丈夫。


 後ろからはさっきの女性が次の入学者の応対を始めていた。


 小鳥は一回深呼吸をして、気を引き締めて門をくぐる。 


 その瞬間、意識がかき消されるような感覚に陥るが、学園内に入るとその感覚は嘘のように消えた。


 「ふむ。すばらしい結界だねぇ~。」


 先程の感覚は、結界の外側から内側に入るときの違和感だった。


 第一魔術学園には、特殊な結界が施されている。結界の内側の魔力は外側に漏れることが一切なく、外側の魔力は一切内側に干渉することができないようになっている。

 もはや、魔法に関しては世界を隔離していると考えても良いくらいであった。


 「ふひひ~。苦労して入学した甲斐があるねぇ~。」


 小鳥は顔を緩ませながら、先程受け取った学生証を再度起動する。


 魔力回路で動く学生証には起動スイッチがなく、個人の魔力を流し込むことで自動的に持ち主を識別し、起動される。

 個人特有の魔力の質により判断されているため、偽装はできないという優れものでもある。


 起動した学生証を確認する。


 まずは自身のプロフィールが表示される。続けて、お知らせ、校則、時間割・・・などなど複数の項目が表示されていく。その中から、『今日の流れ』という項目を見つけ開く。


 「えっと、まずはこの教室に行ってSHRをして、自己紹介?で、その後は入学式と・・・」


 内容を確認すると同時に、校舎の配置の確認も忘れずしておく。


 「う~ん。それにしても、めんどくさいねぇ~」


 正直に言うと、さぼりたいものだけど・・・。


 そんなことを考た時、目の前に一人の少女が通り過ぎていった。


 腰まで伸びた癖一つないまっすぐな髪は光の差し込むことのない闇夜を彷彿させるような黒色。穢れのない澄み切った雫を溢れさせてる瞳は鮮血のように真っ赤だった。


 黒髪赤目の少女・・・ね。


 小鳥は自然と口元が緩んでいた。


 「ね、今の子見た・・・?」

 「うん、見た見た」


 目の前の少女に目を奪われていたせいか、小鳥の後ろを歩いていた二人組の女の子たちの会話が聞こえるほどに距離が縮まっていた。


 「黒髪だったよね・・・」

 「しかも、赤目!!」

 「不吉だよね。同じクラスじゃないといいよね!」

 「ホントだよね。同じクラスだと思うと気味が悪い・・・。」


 少女は重苦しい気持ちで会話を続けていたが、今後の授業などの話に代わると、先程とは変わって楽しそうに話しを続けていた。


 ふーん。いじめられでもして、ぴーぴー泣いてたのかな~?


 小鳥は緩んでいた口元をさらに緩ませて、その場で踊りだしそうな勢いでスキップをして教室へと向かった。


 余裕そうにしている彼女だが、その後道に迷うことになるとは小鳥自身も想像していなかった・・・。









 第一魔術学園は家柄と成績の総合順位で、優秀な者順にS、A、B、Cの4クラスに振り分けられる。

 毎回の学科試験の成績により、クラスの振り分けが入れ替わったりもするが、それは滅多にないそうだ。



 「おい、お前ら。席につけ。」


 Sクラスの教室内に担任らしき男性が入ってくる。


 ぼさぼさの髪の毛はいつから切ってないのか判断ができないほど伸びており、顔の半分以上がそのぼさぼさ髪に覆われていて視認できない。服装は、薄汚れた白衣をよれよれのスーツの上にまとっていて、いかにも教師には見えない。


 その姿を見た生徒たちは、先程まで仲良く談笑していたとは思えないほどに言葉を失っていた。


 「え、まさか、この人が担任・・・?」

 「まさか・・・」

 「先生呼んできた方がいいんじゃない?」


 生徒たちは、不安に満ちた顔で教壇に立つ人物を眺めた。が、言われるがままに自身の席に着く。


 不信感に満ちた目を向けられた男性は、それを全く意にせず、黒板に名前を書いていく。


 “山田 太郎”


 「お前らSクラスの担任になった、山田 太郎だ。」


 男性はけだるさそうに、尚且つ手短に自己紹介を済ませると出席簿を開き始める。


 その手付きもめんどくさそうであった。


 「あー、んじゃあ、成績順で行くか、ふぁ~・・・。」


 山田 太郎、もといダメ教師はこらえきれなかったのか、欠伸をした。


 「んじゃぁ、一番最初は、鳳 春季おおとりはるき君で」


 山田に呼ばれ、一人の少女が凛とした声で「はい」と返事をし立ち上がった。


 金というよりは濃い黄色に近い髪を腰のあたりまで緩くカールさせている少女は、ダルそうな山田とは対照的に背筋をピンと伸ばし、気品を感じさせる勿忘草色の瞳をクラスメイトに向ける。


 春季が桜色の唇を開きかける瞬間―――――


 「おっと、すいません~。教室間違えてました~。あはは~!」


 突如開かれた教室の扉の先で苦笑いをしている小鳥がいた。


 急な来訪者にクラスメイト一同が戸惑う中、担任の山田だけは平然としていた。


 「えーっと、君、お名前は・・・?」


 山田は眠いのか、目を細めながら、小鳥に話を振る。それと同時に、自己紹介を始めようとしていた春季に座るように目で催促をした。


 春季は桜色の唇を噤んで、静かに着席する。


 「あ、私ですか~?えっと、ギリギリSクラスに入ることができました、風間 小鳥と申します~。」


 「・・・おー。んじゃ、さっさと席にすわれー。あとで呼びだしな。」


 小鳥は小走りで教室の中へ入り、席に着いた。小鳥が席に着いた後、山田はまた春季に自己紹介をするように促した。


 「私は、鳳 春季と申します。私のことをすでにご存じの方もいらっしゃるかとは思いますが、一学友として妹ともども、気楽に接していただければ、とても嬉しいです!」


 山田の簡潔かつけだるさのにじみ出る自己紹介や、どこかふわふわした小鳥の自己紹介とは全く違い、春季の自己紹介には、さわやかさが感じられる。

 自己紹介の間も絶やさずに微笑んでおり、人懐っこさを感じられる。


 ひや~。春季ちゃん、モテモテですな~・・・。


 によによと目を細めて笑う小鳥とは、対照的にクラスは浮足立っていた。春季はクラスメイトを見まわし微笑みかけていたが、小鳥と目が合った瞬間だけ、ほんのごく僅かだけ、微笑みを絶やし、敵意ともいえるような何かを向けた。小鳥だけはその瞬間を見逃さず、さらに目を細めて笑っていた。


 「え、あの方はもしかして、あの鳳家のご令嬢様?」

 「まさか、鳳家のご令嬢と勉学を共にできるとは!!」

 「ああ、以前お会いした時よりも美しさが増していますわ!!」

 クラスのざわめきは収まらない、それと対照的に、一人隠れるように身を縮こませている少女がいた。


 「はいはーい。静かにしろ―」

 その様子に呆れた山田が場を鎮める。


 「んじゃ、続けて二番目のやつ」

 「はい!俺は・・・・」


 山田の指示に従いその後も和やかな雰囲気で自己紹介が続けられていく。


 「次で自己紹介は最後な。」


 山田のその一言で身を縮こまらせていた少女が、ビクッとした。


 先程まで和やかだった雰囲気が一瞬で凍り付いたかのような錯覚に陥った。


 身を縮こまらせていた少女、先程見かけた黒髪赤目の少女がおどおどと立ち上がる。


 容赦なく注がれる冷ややかな目に、立ち上がった少女はさらに身を縮子ませる。


 力強く嚙み締められた桜色の唇を恐る恐る開き、


 「・・・・・お、鳳・・・、雨季・・・で、です。」


 今にも泣きだしそうな小さく震えた声で言った。





 「・・・・・黒髪赤目で、魔法も使えないくせにSクラスだって」


 誰かが小さくつぶやいた。その一言で、クラスの沈黙が一瞬で失われる。


 「ああ、優秀な姉のお荷物だっけ?」

 「家柄だけでも入れるのね」

 「魔法も使えないって・・・ここに何しに来てるの?」

 「黒髪であるだけで忌々しいのに・・・」

 「さらに赤目だよ・・・?」


 『最悪だよね』


 次々と紡がれる雨季への中傷はとどまることを知らないように思えたが―――


 「お黙りなさい!!」


 怒りをあらわにして立ち上がった少女は、軽蔑を宿した勿忘草の瞳をクラスメイト向ける。


 「私の妹を愚弄することは許しません。彼女を虐げることは、鳳家を虐げることと等しいと思ってくださって構いませんよ?」


 静かな怒りを向けられたクラスメイトは、それ以上何も言いださなかった。

 むしろ、何も言い出せなかった、といった方が正しかった。


 そのまま、クラスの雰囲気は最悪のままSHRは終了し、これから始まる入学式のため体育館へと重い足取りで移動を始めた。






 「これより第一魔術学園 入学式をはじめます。司会は、――――――――――」


 ・・・それにしても、黒髪赤目か。


 小鳥は、入学式が始まるや否や、考え事をしていた。


 髪の色は所有魔力量に応じて変化する。所有魔力量は一生涯を通して、変化することはないといわれているため、髪の色で魔力量を判断するのが一般的である。魔力量が多いほど明るい色に、逆に少ないほど暗い色になる。


 また、適応属性によっても髪の色が変わる。雷系統なら黄色、水系統なら青色、火系統なら、赤といった風に非常にわかりやすい。また、その色合いが濃いほど、適応力が高いとされている。


 つまり、所有魔力量が明暗を、適応属性によって色彩を決めているというわけである。


 よって、純粋な黒は、魔力がないといっても過言ではない。つまり、純粋な黒は、魔法使いとしては『死』を表すのだ。


 魔法使いに純粋な黒の髪が忌み嫌われるのはそうした理由がある。


 また、瞳の色は、魔力の色を表す。つまり、魔法を行使するときに構築される魔法陣の色になるのだ。


 基本的に、魔法陣の色によって魔法の質は左右されないが、赤目だけは特別なのである。


 赤目だけは、その赤き瞳のみに宿る固有魔法を使うことができる。


 赤目に宿る魔法はそれぞれ異なるもので、どんなものが宿っているかが想像がつかないことが多い。それ故に人々は赤目を恐れている。



 ・・・鳳 雨季かぁ。


 小鳥はこれから起こるであろうことを想像するとにやけそうになった。


 「それでは、これで入学式を終了します。」


 あ。全く話を聞いてなかった・・・。まぁ、いっか!


 退場のアナウンスを聞きながら、入学式の内容を一切聞いてなかったことを気にしないことにした。


 どうせ、気にするようなことなんでないしねぇ~。





 その後アナウンスに従い、教室に戻り、山田からの気だるげな終礼が行われた。



 すっかり下校ムードになった教室で、そそくさと荷物をまとめて帰ろうとする小鳥を呼び止めるものがいた。




 「そこの風間君?ちょっとお話があるんだー」


 それは山田先生であった。

 次回の更新も心待ちにしていただけると嬉しいです!

閲覧ありがとうございました!!

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