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第1章 見慣れぬ世界

「あれ…ここは……?」

私が目を覚ますとそこは森の中だった。それも見覚えのない場所だ。ゆっくりと立ち上がり辺りを見回してみる。木漏れ日の差し込む森の中…私はここに来たことはないのは確かだと思う。どうしてこんな場所にいるのだろうか。記憶が混濁しているのか何も思い出せそうにない。

思い出せるとしたら…

「アリサ…星月アリサ…」

なんとか名前は覚えている。完全に記憶喪失というわけでは無いようだ。どういう状況か理解はできないけれど、ここにいつまでも立っていても何も変わらない気がする。私は森の中を適当に歩き回ることにした。


暫く歩いている内にいくつか思い出したことがある。私は近所の公立高校に通う普通の女子高生。家族は両親と妹が一人の四人家族だ。駅の近くに建っているマンションに住んでいて周りは高いビルがいっぱい建っており車の通りも激しかった。

だけど…今私のいる森は鳥のさえずりや風にそよぐ葉っぱの音は聞こえるものの車の音や人の声は一切聞こえてこない。

誘拐されてしまったのか。でも、誘拐犯らしき人は近くには居ないし置き去りだとしても目的が全く分からない。正直分からないことだらけで混乱していたが森の中は空気が新鮮でただ歩いているだけでも心地良い。まあ何とかなるでしょ。私が楽観視している時だった。


ガサガサッ!

私の前の茂みが激しく動いて思わず私は足を止めた。何かいるの…?いや、こんなに広い森なんだから動物がいても何もおかしいことはない。ちょっと待ってよ…もし毒蛇とかだったら危ないんじゃないの。毒蛇だけじゃなく何か噛むような動物が出ても困るな。…うん、離れよう。私が茂みからそっと離れようとしたとき茂みから勢い良く何かが飛び出してきた。


それは、毒蛇でも動物園前の檻の中にいるような動物ではなかった。緑色の弾力のある塊。抽象的過ぎるがそれ以上私には言い表せない。生き物なのかも怪しいけどそれは私の目の前で左右にプルプルと揺れていた。どうしよう…あまり近付かない方がいいかもしれない。変な薬品とかでできたらそれこそ危ないし…。私がどうしようかと考え込んでいたとき、それはとてつもないスピードで私に突っ込んできた。


「えっ…ちょっ…わわっ」

後ずさりした私はバランスを崩して尻もちをついた。その直後、私の頭上スレスレを緑の物体が通り過ぎ

大きな衝突音が響いた。恐る恐る振り返ると先程の緑色の物体が木に張り付いておりぺたんと地面に転がった。彼(?)がぶつかった木は少しへこんでしまっていた。あんなのが当たっていたとしたら…。ぞくりと背筋が寒くなった。しかも、緑色の物体はまだ動いており再び私に狙いを定めているようだった。目は無いけどなんとなく気配で分かる。あんな速度で体当たりされたらまたよけられる自信なんてとても無い。私は恐怖で足が竦み動けない。そんな私に再び緑色の物体が突っ込んできた。


ガツンッ!!

再び森に衝撃音が響いた。だが、私の体には痛みも衝撃がいつまで経っても襲って来ない。恐る恐る目を開くと1人の男の子が背を向けて立っていた。さらりとした金髪の私より少し背の高そうな男の子で革のような物で作られた鎧を身に着けている。片手には鉄製の盾を持っていて先程の緑色の物体がへばりついている。どうやら先程の音は盾にぶつかった時の音のようだ。

緑色の物体が盾からぴょんと離れて再び戦闘態勢に入る。ま、まさか…まだ来るの…?

しかし、緑色の物体が再び私に牙を向くことはなかった。金髪の少年が素早くその物体に剣を振り落とし真っ二つにしてしまったからだ。二つに割れた物体は形を保てないのかすぐに液体に変わり地面に広がっていった。


…え?何?この生き物は…?それに剣って…あんなのゲームや漫画の物じゃないの?本物?

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