探索
「あ~。疲れた〜」
「もうすぐだよ」
俺達は、特別な薬草があるという洞窟を目指していた。
もうすでに、目的地は見えている。だが、問題は帰ることだ。また同じ道を引き返さないといけない……
そんな事を考えているうちに、俺達は洞窟に到着した。
「ここか」
「うん」
結構広そうな洞窟だ。あちらこちらから苔が生えている。。さらに、ここには魔物がいると言う。それのせいか、何か異様な雰囲気を漂わせている。
「さ、探索開始だ」
俺達は洞窟へと入っていった……
「……寒い」
アリーシャは震えながらそう言った。
「確かに寒いな……」
洞窟の中は少し湿っていて、とても寒い。そして、薄暗かった。明かり代わりのクリスタルが青白く光っている。それを頼りに俺達は前へ進む。今のところ道は1本だ。
「もうそろそろ着くわよ」
「おう」
その時俺は、ふと疑問に思った。なので、その疑問をアリーシャにぶつけてみる。
「なぁ、何でもうそろそろ着くってわかるんだ?」
「ああそれね。私、前に1回来たことがあるの」
「ほう……」
「腑に落ちないって感じね。どうしたの?」
「いや、ここまで一人でこれたんなら、どうして俺に助けなんて求めたのかな〜って思って」
「ここまでは魔物が出ないの。だから一人でも来れる。……そして、一人じゃなかった」
「え?」
「……ほら。ついたわよ」
アリーシャに言われ、辺りを見渡す。そこはとても広い円形になっており、明かり代わりのクリスタルが壁一面に張り付き、より一層青白く輝いている。その円の中心にお目当ての物があった。
「あれか」
アリーシャは、コクリと頷く。
「よし、ゲット。さ、帰ろ」
……その時だった。
俺が薬草を入手したと同時に、大地震が起こった。
「うお、やべ」
最初は驚いたが、地震はすぐに止まった。
「大丈夫か? 一体何だったんだ……。って、おいおいマジかよ」
帰ろうとして入り口を見ると、さっきの地震による影響か、道が塞がっていた。
「んー、どうしよう」
「……こっち」
そう言うと、アリーシャは歩き出した。俺は不思議に思いながらもついていく。
案内された場所は、入り口と真逆の方向だった。
するとアリーシャは、背中に担いでいた槍を取り出し、壁にはいったヒビを突いた。
「せい!」
意気込んで出した突きは、ヒビに命中した。
すると、周りの岩にもヒビが入り、壁が崩れ始める。
「うお、危な」
俺は一歩後ろへ下がった。
壁が崩れた後、そこに現れたのは大きな扉だった。
「この先に出口があるわ。でも、扉の向こうには魔物がいる。気おつけて」
「……わかった。行こう」
俺はしまっていた剣を背中に担ぎ、巨大な扉をくぐった――