表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Link  作者: しろがね
第1章 チュートリアル
1/6

プロローグ

「レベルアップ、っと。疲れた〜」

 俺の名前は黒井健人(くろいけんと)。パソコンとテレビが置いてある俺の部屋で、ゲームのレベリング中だ。時刻は夜の8時。学校から帰ってすぐさまゲームに飛びつき、この時間までぶっ続けでプレイしている。友達に誘われてこのゲームを始めたのだが、タイトルは初めて聞く名前だった。しかし、最高に面白い。もっと早くから始めていればよかった。

 このゲームの注目する点は、新システムの我流技(がりゅうぎ)というのだ。ゲーム自体は少し前から配信されていたらしいが、最近になって、新たにその我流技が追加された。ゲームを進めていくと、途中でイベントが発生する。それをクリアすると、習得できるらしい。だが、そう簡単にはいかない。決められたレベルに到達してないと、イベントが発生しない。友達はもうすでに、そのレベルに到達している。なので、俺も遅れを取り戻さないといけない。と、燃えているところだ。

「もっと強くならなきゃ……もう1回だ!」

「お兄ちゃん、ご飯だよ。さっき呼びにいってから10分も経ってる。ご飯完全に冷めちゃったよ」

「あ〜い、今行く〜」

 今からやろうとしていた時、俺の妹、(ゆう)からの呼び出しがあった。実は10分前にも声をかけられていたが、いつしかそれを忘れ、ゲームに没頭していた。今度は、忘れないうちにさっさと食べよう。そう思い、ダイニングへ向かう。


 テーブルの上に上がっていたのは、ご飯と味噌汁、そして――

「……魚か」

「お兄ちゃんはDHCが足りない。好き(きら)いしないで食べなさい」

「魚は嫌いじゃない、骨を取るのが(いや)なんだ」

「それ何回も聞いた。いいから食べなさい」

「……はい」

 そう言って、魚に手を伸ばす。

 魚自体は嫌いじゃない、むしろ美味(おい)しいと思う。だが、幼稚園の頃、魚の骨が喉に刺さり、嘔吐(おうと)しまくった記憶がある。それ以降、魚が嫌いになった。決して、不味(まず)いとかではない。

 俺は慎重に骨を取り除き、夕食を食べ終えた。

「さ、またやるか」

「ほどほどにね」

「おう」

「あ、ねぇ、お兄ちゃん」

「どうした?」

 何かと思い尋ねると、優は真剣な顔つきになった。

LINK(リンク)って知ってる?」

「聞いたことないな。それがどうかしたのか?」

「いや、何でもない。気にしないで」

「そうか」

 俺はそのまま、自分の部屋へと向かった。

「よし、続けるか……ん?」

 ゲームをやろうとマウスを握った時、隣に置いてあるスマホが光っていた。

「メールか、誰からだろう」

 確認してみる。すると送信者は、今プレイしているゲームの会社からだった。

「また広告かな」

 ゲーム会社からくるメールは、広告がほとんどだ。そう分かっていても、一応確認してみる。

「えーと、クローズドベータテストへのご案内。以下のURLより、ダウンロードしてください。……あれ? ベータテストなんかに応募したっけ? まぁいっか。でも、クリアしてないゲームがいっぱいあるんだよな〜。全部終わったらやってみるか」

 そう思い、メールを閉じようとした。しかし、俺の目が気になる文字で止まった。

「ゲーム名……LINK」

 どこかで聞き覚えのある名前――

「あ! そういえばさっき……」

 俺は部屋を出て、優に聞きに行った。

「なぁ、さっきLINKって言ってたよな」

「え? ああ、うん。言ったよ」

「その、LINKっていうゲーム。特別なゲームなのか?」

「もしかして、お兄ちゃんにも届いたの?」

「ああ」

「……そっか」

 優はソファに座る。そして、そのゲームについて話してくれた。

「最近さ、学校を休む人が増えてるの。先生は、風邪をひいて休みだ、って言ってるけど……実は違うの。」

「……どうして?」

「休み初めて、もう1ヶ月以上経つの。風邪ならもうとっくに治ってるはずでしょ? だから、(なに)かおかしい。そう思って先生に問い詰めたの。そしたら……」

「そしたら?」

「休んでいる生徒は、みんな眠ったままになっているらしい」

「え?」

 それを聞き、俺は自分のクラスのことを思い返す。

「そういえば、俺らのクラスも休んでる人がいたな。先生も風邪だ、とか言ってたけど……長い間その人の顔を見てない気がするな」

「お兄ちゃんのクラスもか……」

「それで、何か解決する方法があるのか?」

「それは分からない。でも、全員に共通する事があったの」

「共通する事?」

「うん。それはね、LINKをプレイしていた。という事」

「……」

「まぁ、考え過ぎかもしれないけどね」

「それは分からない。俺も明日先生に聞いて、情報を集めて見る」

「了解」

「それじゃ、風呂入って寝るか」

 こうして俺は風呂に入り、自分の部屋ヘ行く。時刻は21時半になろうとしている。今日はいつもより寝る時間が早い。さっきのこともあり、少し考えてから寝ることにした。だが、疲れていたせいか、ベットに入るなり眠ってしまった――

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ