タイムスリップ 《西暦2115年から過去へ》
初めて小説を書いてみる事にしました。
色々直しながら,書いてます。
《ピカッ…………ズドーーンッ!》
閃光の後に凄まじい轟音が響き渡る。
さらに遅れて衝撃波と熱波が襲ってきた。
ドンッ!
いきなり突き飛ばされて塹壕
に落ちた私は銃剣を地面に突き刺して耐える
のが精一杯だった。
息を吸うと熱気で喉に焼けるような
痛みを走ってまともに呼吸が出来ない。
《キーーーーーン》
酷い耳鳴りが聞こえる。
爆風も止んだようなのでゆっくり顔を
上げてみると、そこにはレジスタンス軍の
主力である”眼神様”こと私の愛する妻が
立っていた。
『”葵”良かった。生きて……』
ベチャッ。
葵は崩れるように倒れた。
俺はすぐに駆け寄って葵の体を抱えた。
『しっかりしろ!死ぬな!』
『……ゴポッ……さすがに……もう、
ダメかな……私』
『何で”巻き戻しの能力”を使わなかったんだ?!
お前なら避けられたはずだろ?!』
『……能力は……使った……けど……たった2秒じゃ
”晃”さんを押すぐらいしか……出来なかった……』
『馬鹿!お前はレジスタンス軍の最後の”眼神”だぞ!
俺なんかの為に死ぬな!』
『……眼神……じゃない……私は……晃さん……あなたの妻よ……』
葵の言葉の一つ一つが心に響いていく。
最愛の妻との最後の別れなのに、嗚咽しか出ない。
『葵……ぐすっ……うっ……ぐすっ』
『……あなた……泣くにはまだ早いわ……
まだ最後の作戦が残っているでしょ……』
そうだった。まだ未来が確定した訳じゃない。
俺は懐から短剣を取り出した。
『葵。必ずこんな未来、変えてやるからな』
短剣を構える。
『……晃さん……信じています』
俺は、愛する妻の心臓に短剣を突き刺した。
葵の命と引き換えに”巻き戻しの能力”が
開放されて俺は過去へと”タイムスリップ”した。
急に罪悪感が込み上げてきた。
胸が締め付けられて息が出来ない。
俺はなぜ妻を殺したのだろうか。
……違う!殺したんじゃない!
《 救うために、タイムスリップしたんだ 》
真っ暗の闇の底を彷徨っていた俺の意識が戻ってきた。
眩い太陽の光の中でゆっくりと目を開けていくと
そこは木々の生い茂る森林の中だった。
驚いた。空気が信じられないぐらい綺麗だ。
信じがたい事だが、ここの空気は汚染されていないらしい。
……だとすれば葵の予想通り、
俺は過去の地球へタイムスリップ出来た可能性は高い。
そんな事を悠長に考えていた俺は敵が居ることにも気付かず油断していた。
『フリーズ!』
突如背後から、銃を突きつけられた。
戦場で背後を取られるとは死を意味する。
『お前の負けだ!』
まさかタイムスリップ先に敵が待っているとは考えもしなかった。
様々な憶測が頭の中を埋め尽くしていく。
『フリーズ!聞こえないのか?!
ルール通り手を頭の後ろで組んでうつ伏せに寝ろ!』
後ろの女は怒りの声をあげた。
まずい状況だ。しかしその場で即射殺されても
不思議ではないはずなのに、まだ発砲されていない。
妻の命を懸けてタイムスリープしたんだ。
こんな所で殺される訳にはいかない!
なら、どうする?振り向き様に銃を奪うか?
……いや、ダメだ。敵は1人だとは限らない。
ここは素直に従ってチャンスを待つべきだ。
『分かった。言う通りにする。頼むから殺さないでくれ』
俺は相手の指示通りに手を頭の後ろで組んでうつ伏せに寝た。
『ん?捕虜なんだから殺すはずないだろ?
捕虜は3点なのに殺したら1点になるじゃん』
つまり女の話の内容から推測するに俺がまだ殺されていない理由は、
捕虜として引き渡せば、より高額の賞金を得られるということか。
という事は簡単には殺せない理由が相手にはあるようだ。
まだチャンスは残されている。
『俺も抵抗する気は無い。素直に従うつもりだ』
女は俺に向けていた銃を降ろした。
『捕虜はその場で待機だからな』
足音が遠ざかっていく。
……なぜだ?なぜ拘束しない?
まさか俺が抵抗しないと言ったのを信じたということは無いだろう。
しかも連行せずに持ち場を離れるとは何を考えているのか理解出来ない。
すぐにでも走って遠くへ逃げるべきか?
しかし相手の余裕のある行動から考えるに、既に包囲されていて
逃げ場が無いという可能性のほうが高いのではないだろうか?
もし逃走して見つかった場合、その場で射殺されるだろう。
チャンスは一度きりだ。生き残る可能性が高い方法を考えろ。
俺は今まで戦場を生き残ってきた経験を元にある作戦を考えた。
奴は俺を捕虜として連行するはずだ。なら包囲網を抜けた後、
夜中の闇に紛れて逃走する方法が一番生き残る可能性が高い。
たとえ銃を持っていようとも、24時間警戒している訳にもいくまい。
必ず隙が生まれるはずだ。
しかも相手は女だ。1対1の状況ならば、まず負けはしないだろう。
俺は、応援を呼ばれない事を願って待機することにした。
【1時間後】
《ブウーーー!!!》
サイレンのような音が聞こえた。
まずいな……もし今のサイレンの音源が敵の基地ならば、
連行されても昼間の内に到着してしまう。
そんな事を考えていると、何者かが走って来る足音が聞こえてきた。
足音が徐々に近づいてき……《ドゴッ!》
俺は思いっきり蹴り上げられた腹を抱えて悶絶することになった。
『お前!さっきからルール無視する奴だな。女だからって舐めてんのか?
サイレンが鳴ったんだから基地に行け。捕虜のカウント始まるだろうが』
なにやら叫んでいる声の方を見上げると、
そこには迷彩服に身を包んだ黒髪ポニーテール
の少女が、旧世代の自動小銃"AK-47"を構えて俺を見下ろしていた。