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魔法 魔結晶

お待たせしてすいません


 敗北を認め、がっくりとうなだれるオドにかける言葉は、自分には無かった。

敗者が勝者から慰めの言葉をかけられたらみじめだし、キレて何かされたらたまらないし。

 俺は剣を鞘に納め、踵を返してエーリと立会人の魔術師の元へ。


 目を見開き、俺を茫然と眺めているエーリを無視して、立会人と対面する。


「まあ、俺が勝った訳ですけど、あの、ここの広場の修理代って・・・」


「大丈夫ですよ。オド伯爵は貴族で、貴方は名字持ちとはいえ、平民。

ここで貴方に修理代を折半しろだのと請求したら、貴族として生きていけません。

 そういうのはすさまじい速さで周りに広まりますので、オド伯爵もそこはわかって

おりますよ。なにより、彼は負けたのですから。安心してください。

 エーリ嬢にも二度と求婚はしないでしょう。もしなにかありましたら立会人を請け負ったこの、


                               ・・

エスケンス王国マードブル領主 セウス・マードブル侯爵に申しつけください」


 セウスと名乗った金髪のイケメン好青年は侯爵だった。侯爵は伯爵よりも地位が上だ。

しかも領主。なんでこんな所でこんな事やっているのかは分からないが、オドはセウス

の顔に泥を塗るようなまねは出来まい。



「しかし、いったいどうやって先ほどの大魔法を防いだのですか?壁≪ウォール≫を展開

したようには見えませんでしたし、避けたようにも・・・貴方が微動だにしないで立っていたのは

分かったのですが」


「・・・私も是非、聞きたいわ」


なぜか二人ともすごく厳しい顔をして俺に詰め寄ってきた。そんなにすごいのか?


「いや、ただ全力で体内魔力循環をやっただけですけど」


「「はっ?」」



・・・なぜか、こいつ頭大丈夫か?といった憐れみの表情を浮かべられる俺。



「だから、ありったけの体内魔力を、体全体に、一気に巡らせて、覆ってしまうんです。

体内魔力循環ってそんなに知られてないんですか?」


 俺がそう言うと、二人は沈黙してしまった。これはもしかしてまずい事を言ったのかもしれない。 


すると、まるで俺など居ないかの様にエーリとセウスは会話を始めた。


「ありえないわ。確かにそういう技術はあるけど、あんな威力を完全に防ぐなんて。

大体、体内魔力だけで超密度の壁を体全体に施せば一瞬で魔力切れでぶっ倒れるわ。

 一般の魔術師の10倍は魔力保有量のある私でもすぐに底をつく。

そもそも大魔法を防ぐ程の密度だったら手のひらサイズを一瞬だけ作れればいい方」


「純粋な体内魔力で、ですからね。地脈を使うなら事前に膨大な儀式と下準備がかかります。

どんな魔術師でもたった1日で出来るわけがない。

 それに、そんな事をするなら集めた魔力で大魔法を先制すればいい。わざわざ防御に使うなんて

リスクが大きすぎます。

 まあ、地脈から集めた膨大な魔力を体に取り込んだらその時点で吹き飛びますけど」


「じゃあ、一度体内魔力循環を行った後、それを壁≪ウォール≫などの防御系魔術に瞬時に

変換させた」


「無理ですね。あんな一瞬で魔力を変換させて顕現させるなど。身体全体ですよ?

魔法の発動プロセスは


 体内の魔力を手の平に集める⇒集めた魔力を手の平から出す⇒外に出た魔力の塊に顕現させたい

魔法をイメージを込める⇒魔法発動


 これをいくつか簡略化できてもあの一瞬でノーミスは無理です」



「そうよね。それに私も貴方もヨウイチが何かの魔法を使った瞬間も形跡も感知出来なかった」


「彼の装備には大魔法を防ぐような付与魔術は無いようですし、

超回復の治癒魔法、なわけ無いですね。それこそ死者蘇生が可能になってしまいます」


「これはヨウイチを調べるしかないわ。もしかしたら魔法の歴史が変わるかも」


「私も大いに興味をそそられます」


エーリとセウスがヨウイチの方に向き直ると、


そこには誰も居なかった。






 なにか嫌な予感がした俺は、彼らが議論している横を通り過ぎ、道具屋一品に向かっていた。

地面に膝を着いていたオドはしばらく議論しているエーリを切なそうに眺めた後、肩を落として

トボトボと去って行った。哀愁漂う背中で、なぜか俺の眼頭が熱くなった。


 道具屋一品に入ると、相変わらず店主はむすっとした顔で椅子に座り、三毛猫を乗せていた。


「お前か。バカ息子からの伝言だ。ムブラ村に行く者に、ガーウルフを始末したと、伝えるよう

伝言を託した、と言っていた」


「ああ、わざわざすいません。イスランさんが帰ってきたらお礼言わないと」


 そういえば村の有志を募って討伐するって言ってたな村長。少しでも早めに伝えた方が喜ぶか。

収穫祭まではまだ日にちあるからそれまでにムブラ村に行けばいいかと思ってた。


「ふん。で、何をしに来た?話をしに来たのではあるまい」


「ええ。実は、結晶を探してまして。あ、買うかはちょっと考えてるんですが。

どういった物か知っている人から色々聞こうと。もちろん情報を提供して頂けたら、

お礼はします」


「礼はうちの店をひいきにすればいい。というかそんなこと当たり前だ。

いちいち言わんでもいい。ちょっと待ってろ。魔結晶なら何個かある」


 結晶で通じてよかった。魔結晶って言うのか。

店主は手のひらほどの小箱を二つ持ってきた。銀色で、頑丈そうな錠前が付いている。

 それを木の机に置くと、椅子に座る店主。

無言で俺の顔を見て、顎で俺の前にある椅子を指す。座れって事か。

 失礼します、と言って座る俺を店主が黙ってうなずくと、懐から鍵の束を取りだした。

腕輪程の鉄の輪に数え切れないほどの大小さまざまな鍵がじゃらじゃらと着いている。

 その中から迷いもせず二つの小さな鍵を選び、錠前に差しこんで小箱を開け、

開けた小箱をこちらに向けてる。


「お前は魔結晶についてどれだけ知っている?魔術師でもないのに結晶が欲しいなど、

新米冒険者が言うのだからあまり知らないと見たが」


「すいません。ほとんど分からないです。楽に強力な魔法が発動出来る

物があればなにか役立つのではと思って。初級魔法しか使えないし、それもすごい苦手で」


「ふむ、剣士のくせに魔法が使えるのか。変わってるな。そういうことなら、お前にこれは

無用の長物だ」


 予想していた答えとはいえ、ちょっとショック。先ほどのオドが使った大魔法級とまでは

いかないが、強力な魔法を使ってみたかった。たとえば剣が通じない相手とか、空に逃げた

魔物を打ち落としたりとか、緊急時に役立つと思ったのだが。


 視線を店主から小箱に移す。小箱の中にある透明な丸い石は二つとも親指ぐらいの大きさだった。

一つは透明な水晶で、中心に水が入っていた。

 もう一つは白く濁った水晶で、雲のようにその濁りが水晶の中をゆったりと移動している。


「いいか、魔結晶は、火、水、風、土の属性を持つ石の事だ。地脈から漏れた魔力を吸収した

石が、それぞれの土地の特徴で変化すると、魔結晶が出来る。まあ、ごく稀に二つの属性を

持った石や、属性に染まらない石もあるが、ほとんどはこの四属性だ。

 魔結晶は、加工した時に出る削りカスや、結晶とは呼べない程に小さいものは

平民達が仕事で使ったりもする。しかし、お前の言う、魔法に使う魔結晶と呼べる程大きな

結晶はおいそれと出ない。使い道は主に魔法の研究や、国の正規軍の戦艦の動力等で、

 個人が魔法を発動させるために使うなどまずしない。中級魔法一回で消滅してしまう物だから

割に合わない。確かに、結晶は魔力を流すだけで発動するが、それほど大きく時間や手間が

省かれるわけではない。まあ、知っておいて損はない。水の入っているのは水結晶。

 水の都マトリョカが主な産地だ。大量に採れるから一番安価だ。

白く濁っているのは風結晶。これは霊峰でしか採れないから一番高いな」


 無愛想で口もあまりよくないが、結構世話好きなのか。懇切丁寧に教えてくれた。

それともただの説明好きか。

 自分には今のところ必要ないのはわかったが、一体どれぐらいのお値段か聞いてみたい。


「あの、ちなみにお値段は?」


「そこにあるのは二つとも平均的な大きさだ。水結晶は5000エス。

風結晶は12000エス」


 自分の有り金、398エス。


高けええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ。

遅くなって本当に申し訳ない

今後はあまり大きく間隔を開けないようにします

ウイルスは無事除去出来ましたが、もうこのパソコンは

おじいさんだから休ませてあげたら?と言われました

俺は苦楽を共にしたこいつと別れたくない!!


パソコン買う金無いだけ

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