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何も悪い事してないのに巻き込まれた3

お待たせしました。

 エーリの悪魔の誘惑を振り切り、悶々とする感情を押さえつけて就寝した。

そして、俺はオドの指定した場所へと重い足取りで向かう。

 噴水のある石畳の広場には、オドがすでに待っていた。


「逃げずによく来たな。君の事は少々調べさせてもらった。

つい最近冒険者になったばかりで、ここに来たのもつい2、3日前。

 どういった経緯で彼女と仲良くなったのかはしらんが、それよりずっと前から、私とエーリは

愛を少しずつ育んできた。それを邪魔されたのだ、私が怒るのも無理はあるまい」


 俺の姿を見るや、憤怒の形相でにらみつけ、まくしたてるおっさん、もとい、オド。

彼はシミ一つない真っ金キンなローブを身にまとい、自身の身長より10センチほど高い、

うねっている黒い木の杖をついている。予想通り接近戦は行わず、魔法の遠距離攻撃で一気に

決めるつもりなのだろう。


 オドはいかめしい顔をしながらゆっくりとこちらに歩み寄る。

エーリにエスケンス王国での決闘のルールを聞いたところ、ほぼなんでもありで、毒を盛ったり

、本人同士以外の加勢以外は決まり事が無いらしい。

  俺とオドの距離は6メートル。オドが魔法の発動をしていない今なら、余裕で対処出来る

だろう。しかし、どうしてもオドに言っておきたい事がある。


「オドさん。この際だからはっきり言いましょう。あなたはあの女に騙されてる、と思います」


その言葉にオドはビクッと体を震わせたが、


「ふん。そんな嘘で私は騙されない。ヨウイチ・サキとやら、どこの没落貴族か分からんが、

今ならまだ間に合うぞ。私はエスケンス王国オド・アキナウエル伯爵だ。魔法研究の第一人者

でもある。しかし君はただの冒険者。悪い事は言わん、降参しろ。彼女から手を引けば悪いよう

にはしない」


 偉そうに突き出たお腹を揺らしながらしゃべるオド。


だめだこのおっさん。聞く耳持たずとは正にこの事か。もしかしたら騙されていたのには薄々

気づいていたのかもしれないが、恋は盲目と言うし。


 さらにオドが何か言おうとした時、エーリが小走りで駆け寄ってきた。

それをオドは目ざとく発見し、目をキラキラさせて、慌てて薄くなった頭を一生懸命

手櫛でなでつけている。

 

 オドは本当にエーリに惚れているのだろう。無理は無いのかもしれない。

エーリは昨日の黒いローブではなく。町娘のような白のワンピースだった。

 昨日の彼女は蟲惑的な悩ましい色香を発していたが、今は長い豊かな黒髪を後ろで束ね、

健康的で清純な雰囲気が漂っている。しかし豊満な胸は隠さず、襟元から谷間が見える。

 真っ白な肌は走ってきたせいかほんのりと赤く、動悸を抑えるために手を胸に押しつけて、

息を荒げている。早朝から大通りで働いている男性たちは、全員彼女を見ていた。


 彼女は、そんな周りの視線を無視し、オドは視界にすら入れず、まっすぐ俺に駆け寄ってきて、

身体ごと胸に飛び込んできた。

 

 「ごめんなさい!!私のせいでこんな事になって・・・でも、勝って。

私のために!!(目に涙を浮かべた迫真の演技)」



「ウン、ボクガンバルヨー。キミノタメニー(超棒読み)」


 ああ、オドがすっごい表情してる。般若みたいになってる。

俺にだけ聞こえるように小声で、負けたらコロスとエーリはつぶやき、

そそくさと噴水の脇へと避難する。

 憎悪の念を向けてくるオドに、俺は不思議と怒りを覚えなかった。

むしろ、憐れみすら覚える。


「ふ、ふん。私がここで勝ち、誠心誠意接すれば、エーリは目を覚ます!!

いざ、尋常に勝負!!」


 黒い杖を片手で俺に向けて宣言するが、杖が重いのか、腕がぷるぷる震えている。

気は進まないが、剣を抜いて、両手で握り、下段に構える。


 おそらく立会人なのだろう、オドと同じ金色のローブを着た若い男が、エーリのそばで

こちらを見ていた。


 オドはプルプルとさせていた腕を降ろし、なにやら懐をごそごそとさせて、黒い石を取りだした。


それは手の平程の大きさで、真黒な色をした水晶だった。石の中心が時々、青い光で明滅

している。オドは俺の顔を見ると、ニヤッと笑った。なんだか嫌な予感がする。

 それを見たエーリが後ろから声をあげた。


「オド!!あなたって人は・・・魔法を使えない人に、いえ、使える人でもひとたまりも

ないわ!やめなさい今すぐに!!決闘に使うものではないわ」


えっ、あれそんなにやばいの?


「ふふ、もうおそいわ。私のありったけの魔力を事前に注ぎ込んである。

これで、エーリは私のものだあああああああああああああああああ」


 オドは叫びながら黒い石をこっちに投げつけてきた。俺の頭上に差しかかった時、

それは一瞬、目が眩むような光りを放つと、消滅した。

 不発?怪訝に思っていると、俺の体にすさまじい衝撃が走った。





 ヨウイチの居た場所に、野太い光りの柱が二度、降り注いだ。

遅れて体に衝撃を伴う程の轟音が鳴り響き、石畳の床は捲り上がり、土煙りがモクモクと舞っている。

 充分離れていたエーリも音の衝撃でよろける位だ。幸い、エーリも立会人も壁≪ウォール≫

の魔法で余波を防いだので被害はないが、辺りは騒然となっている。


 当たり前だ。早朝に特大の雷が二度も人に落ちたのだ。

土煙りでオドとヨウイチの姿が見えない。焦げ臭いが辺りに漂う。


「おいおい、いったいなんだってんだ?」


「決闘だってよ。でも魔術師がいきなり雷おとしやがった」


「それ決闘にならねえじゃねえか。相手は真黒焦げだな」


「どうせまた貴族同士のいざこざだろ。いい迷惑だ」


「おいおい、そんな言い方ないだろ。少なくともレンガ職人の俺に補修の仕事が

入ってくる」


「はは、違いねえや。ま、巻き込まれさえしなきゃどうでもいいわ」


 周りの住民は怪訝そうな顔をしながらも、各々の仕事に戻っていった。




 エーリは絶句していた。 まさか、オドがここまでやるなんて想像していなかった。

彼は大規模魔法研究のエリートだが、戦闘をやった経験はほとんどないはずだ。

 オドがもたもたと魔法の起動をしている隙に、ヨウイチは間合いを詰めて、殴るなり

すれば終わると思っていた。

 しかしオドは、純度が極めて高く、大きな雷結晶にあらかじめ魔力を込めて、起動準備時間ゼロ、

威力は天然の雷と同等、しかも二連続を容赦なく、魔法が使えない者に叩きこんだ。

 あれは熟練の魔術師が自身の魔力と、地脈の魔力を使い、風、水の二つの属性を自在に

操って初めて出来る大技だ。ましてや二連続、即座に発動できるのはあの雷結晶のおかげだろう。

 あの位の雷結晶は滅多に出るものではなく、いくらお金があっても手に入れるのは難しい。

オドの地位があってこそのものだろう。それにしたって、人一人のために一瞬で使い切って

しまった。他の魔術師がこの場にいたら卒倒してしまうだろう。

 横に立っていた立会人であろう魔術師は事前にしっていたのか、涼しい顔で平然としていた。


 我に返ったエーリは、未だに土埃で見えないヨウイチを助けるために駆け寄ろうとした。

それを察知してそばにいた魔術師が肩を掴み、エーリを制止した。


「いけません。まだ決着はついてないですよ」


「何を言ってるの。あんなの喰らって平気な奴なんていないわ!!

もしかしたらかろうじて生きているかもしれないわ。早く助けないと」


それでも肩を離そうとしない魔術師にいら立ち、股間を蹴り上げてやろうかと思った瞬間


 



剣をビュッと振る音がしたと同時に、舞っていた塵がフワッと横に流れ、人の影が見えた。


次第に視界が晴れて、オドの驚愕の表情と、


ヨウイチの後ろ姿がエーリの目に飛び込んできた。
















「ゲホッゲホ。あーやばかった。あとちょっと遅かったらどうなってた事か」


あの光りが消滅したあと、頭上付近に強力な力が急激に集まるのを感じ、とっさに体内魔力循環

で全体を覆い、抵抗した。幸いにもかすり傷一つなく、身に付けている外套の先っぽが

わずかに焦げている程度だった。やはり身体から離れ過ぎていると体内魔力循環の影響が

弱いらしい。なにせ強力な魔法を身に受けたのは今回が初めてだったので、

 どの程度対抗できるか分からなかった。



「な、な、なんであれを喰らっていきている!?」


 オドは額からダラダラと汗を流し、金魚のように口をパクパクさせている。


「で?まだやるんですか?」


 俺は喋りながらオドの元に歩いて行き、のど元に剣を突き付ける。


 オドは未練たらしく、俺の後ろで目をひんむいているエーリをちらちらと見て、

のど元の剣に視線を落とすと、


 私の負けだ と言って杖を落としてしまった。

するとエーリの隣にいた魔術師がこちらに聞こえるように俺の勝利宣言をした。






 終わった。一瞬死ぬかとも思ったが、無事だった。きゃっほー!!


パソコンがウイルスを貰いました

2日ほど知り合いに修理で出す事になりました

みなさんもエロサイトには気をつけてください

私は別にエッチな画像が見たかったわけじゃないんです

本当です

って言ってる間にもう仕事の時間

これサイバーパトロールの辛い所ね


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