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山羊亭

青銅貨一枚で1エス 黄銅貨1枚で20エス 銀貨一枚で100エス 金貨一枚で

1000エス 5エスあれば一日余裕で暮せます。 一般的には青銅貨を青貨、

黄銅貨は黄貨と略します。エスはエスケンス王国が発行している貨幣です。

他にも貨幣の設定はありますがこのくらいで。混乱しちゃいますよね、俺が。



 首都オズマンの中に入るには検問を受けなくてはならないが、身分証などは必要ない。

代わりに首を見せる。重犯罪者は例外なく首に髑髏の刺青を入れられる。

 刺青を入れられる程の犯罪者は大抵処刑されるのだが、ごく稀に脱走に成功する者もいるので必ず

確認するのだそうだ。それをパスすし、人頭税(首都に住む人は免除)を払えば中に入れるらしい。

 イスランは荷馬車と積み荷の分も払わなければいけないので俺とは別の列に並ぶため、ここでお別れだ。


「ヨウイチさん、大変お世話になりました。護衛依頼の報酬をお渡しします」

 黄貨1枚を、俺の差し出した手の平に丁寧に乗せるイスラン。少ない報酬だが、イスランには色んな

事を教えてもらった。無事に依頼を果たせてよかった。合格点を自分にあげていいはずだ。


「こちらこそ、色々教えていただいて感謝しています。また機会があったら是非」


「また逢うこともあるでしょう。ヨウイチさんに神の御加護がありますように」


 そういってイスランは荷馬車を移動させて、馬車専用の検問所へと向かっていった。

俺はそれを見送ると、小さな門の前に並んでいる人の最後尾につく。

 今は夕方なのでほとんどいないが、朝から昼間にかけては長蛇の列ができるらしい。

門は日が完全に落ちると閉まってしまい、明日の朝まで入ることも出ることも出来ない。

 これはどこの首都でも同じだそうだ。

 まだ日が落ちるまでは十分時間はありそうだ。前に並んでいる人たちは自分のような旅人ばかりで、

大した荷物は持っていないらしく、5分もかからずに自分の番になった。

 門の前には上半身、すね、頭をプレートの鎧で固めた兵士が二人。微動だにせず槍を持ったまま直立

不動でたたずんでいた。その真ん中、ちいさな門をふさぐように立っているメガネをかけた老人が分厚い帳簿らしき物を開いて立っていた。

 

「では次の者、首が見えるように服を手で下げて。武器は兵士に預けるように」


 脇の兵士に目配せをした。兵士は俺のすぐそばに来ると片手を差し出す。腰に下げている剣を剣帯ごと外して渡し、言われた通りに外套を脱ぎ、皮鎧の下に着ている服の襟を手で下げ、顎を上に向けた。

老人はちらっとだけ見て、すぐによろしいと言って帳簿に何か書き込み、老人は面倒くさそうに地面に置いたリュックを眺め始めた。きらりと老人の目が青白く発光した。

 

 あれが魔力感知の魔法か。強力な魔力や呪いのかかった物品を感知する知覚魔法の一種だそうだ。検問する時は必ず行うらしい。


「む、荷物を拝見します」


俺の了承を得る前に、老人はリュックに手を入れて布にくるまれたガーウルフの牙を取りだす


「ほう。久しぶりに見ましたな。ガーウルフの牙。ギルドの依頼を受けた物ではなさそうですな。

 高価な物を持ちこむには税がかかりますので、これは二つで2エス。人頭税も2エスで4エスです。

よろしいですかな?」


俺はうなずくと青貨4枚を取りだし、老人に手渡す。さらさらと帳簿に何か書くと


 「確かに。ようこそ、オズマンへ」


かなり棒読みだったが、初めての大都市なので気にならない。どうやら自分が最後なのか、老人

は門の隅に置いてあった椅子に座り、大きく背伸びをした。

 疲れている所悪いと思ったが、気になる事があったので背後から声をかけた。


「あの、休憩中申し訳ありません」


「ん?なにか?」


「先ほど、ギルドの依頼ではないとおっしゃってましたが、なぜそうだと分かったのですか?」


「ああ、それは、中のギルドで依頼を受けて持って来た物品なら、普通は一番初めにギルド依頼の物品

を持っていると告げるんです。でないと払わ無くていい税を払うはめになります。ギルドに依頼された

物は税が免除されますから。その場合、依頼書を見せてせてもらいますが」


「そうだったんですか。職務中失礼しました」


なるほど、そういう仕組みなのか。冒険者ギルドや商業ギルドなどが首都には必ずあるとイスランから

聞いたが、細かい仕組みやルールは実際に入らないと分からない。明日冒険者ギルドにいってみるか。

今はもう夕方だし、少し疲れた。今日はイスランお勧めの宿を探して早めに休むとしよう。


 そういえば冒険者ギルドの正式名称は探求者総合補助組織と言うらしいが、長ったらしく語呂が

悪いので皆冒険者ギルド、もしくは単にギルドと言うと聞かされた。看板すら冒険者ギルドと書かれているらしい。


 門をくぐると目の前は石畳の広場になっており、中央には大きな噴水がある。それを囲むように

質素な木のベンチが何個か置かれており、恋人同士や、子供たち、老夫婦が楽しそうに話しをしていた

。広場を中心に十字路に道が延びており、左と右は住宅街に続く道で、前の大きな道はメイン道路らしく、両脇には色々な店がズラリと並んでいる。それが400メートル程続いており、その向こう側にも

また広場があり、十字路に分かれている。そしてさらに奥のちょっと高くなっている場所に城が見えた

。今までムブラ村しか見た事がなかったので圧倒されてしまった。メイン道路からいくつも枝分かれ

した小道も見え、先の見えない裏路地が広がっていた。本当に広い。広場の看板を見なければ迷子に

なりそうだった。よし、まずはイスランさんに教えられた宿に行こう。

 山羊亭というらしい。メイン道路をまっすぐ進んで次の十字路を左に曲がり、左手前から3件目の

赤い屋根の建物、とイスランに教えられていた。歩いて3分ほどで着く距離らしいので迷うことは

ないはずだ。



「いらっしゃい。お泊りかい?」


 羊亭のドアを開けると、すぐ目の前のカウンターに40代位の女性が立っていた。

恰幅がよく、肝っ玉お母さんという言葉がよく似合いそうな人だ。


「ええ。部屋空いてますか?」


「空いてるわよ。料金は一人一日青貨4枚。食堂で朝、夕の食事付きだと6枚だよ。

どうする?」


「では食事付きで。とりあえず3日でおねがいします」


「はいよ。じゃあ18枚だね」


 そういって木の小皿を俺の前に置く。黄銅貨を一枚小皿に乗せて女将さん(おそらく)の前に返す。


「うん。じゃあ部屋は二階の右側一番奥だから。これがカギね。食堂は一回の右側。上の客室への階段

は左。食堂は夜までやっているけど、深夜にはだれもいなくなるからそれまでにすませて。

うちの食堂はさ、朝は一般の人にも食べて貰ってるから少し混むんだ。悪いけどその中に混じって

食べてもらうよ。メニューは日替わりで、酒は別料金。部屋のカギを食堂で働いてる娘に見せれば分かるから。あ、あと夜出かけてもいいけど、カウンターはうちの主人と変わるから、必ず声をかけて

いってね。その時鍵は置いていって」


「わかりました。さっそくですが夕飯を頂きたいのですが」


「はいよ。あっと、お釣りね。食堂空いている時は厨房のコックに直接鍵みせてもいいから」


 言葉通り、丸いテーブルが8つほど並んでいるけっこう広い食堂に入り、奥で野菜を切っていた

コックに見せると、鳥の香草焼きか豚の煮込みどちらがいいかと聞かれた。

 鳥をたのんだ俺は、小さいバーカウンターにあった水差しを取り、各自のテーブルに置いてある

木のコップに移し、席に着いた。まだ少し夕飯には早いらしく、給仕がいないためしょうがなかった。

 ぽつぽつと二階の客室や、外から帰ってきた他の客がテーブルに着くころ、俺の食事が運ばれてきた

。15、6才位の女将さんにそっくりの女の子がおぼんを抱えてこちらにやってきた。

明日はこの子に見せればいいんだな。お礼を言うとニコっと笑って他の客の注文を取りにいった。

 目の前に置かれたご飯はホカホカと湯気が立っていた。カリッと焼いてある鳥の皮がすごくうまそうで、スープも肉と野菜がたくさん入っており、量も多い。パンは真っ白で柔らかそうなパンだ。

 二日間程度とはいえ、硬いパンと味の薄いスープだけだったため、口の中のよだれがすごい。

さっそく食べる事にする。


「いただきまーす」




 すごくうまかった。感動した。イスランがおすすめだと言う理由がわかった。

部屋に入ると荷物のベットの脇に置き、外套と皮鎧、ブーツを脱いでベットに横になる。

森の硬いベットとは違い、綿がいっぱい入っているベットは最高に気持ちいい。


「明日はガーウルフの牙を売りにいって、ギルドに行ってみよう」


今日は久しぶりにゆっくり深く眠れそうだ。


続きはまた明日。

こんな適当な物語見てくれている人がいるみたい。

ありがとうございます。


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