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第54話「スーパーハニー LOVEフィニッシュ♡」

いつか陸斗のデザインした家が形作られたとき、その広告モデルをやりたい。


まだまだ小さな夢すぎて、このことは陸斗に話していなかった。



「鈴華、体調悪いのか?」


「え?」


「……なんかおかしい。違和感があるんだよ」



陸斗は強張った顔をして鈴華の両腕を掴み、まっすぐに見つめる。


あまりにまっすぐに見つめてくるものだから、鈴華は恥ずかしくなって顔をそらす。



「本当に何もないのか」


「ない、わけではないですが」


「なんでもいいから言って」



その言葉に鈴華は陸斗の肩に頬を寄せ、繋がった手にきゅっと力が加わる。

震えたその手を支えるように陸斗は手を握り返し、想いを込めて鈴華の返答を待っていた。


「あの……ですね。生理が、きていなくて……」


「生理……」



陸斗は驚きから顔を上げ、目を見開きながら鈴華の顔を見た。


頬を桃色に染め、柔和に微笑む鈴華は身体を起こすと、陸斗の両手を握りしめた。



「近々、病院に行きます。ついてきてくれますか?」


「……いや、今から行く」


「え、今って!」


「そんな大切な事、もったいぶることないだろう!」



陸斗は顔を真っ赤にしながら鈴華の手を引いて公園を去っていく。


そして産婦人科で診てもらい、診察を終えた鈴華は陸斗の待つ待合室へと向かった。


お互い何も言わず、病院を出て暑い日差しの中を歩いていく。


そして先ほどの公園に戻ると、またベンチに座り、お互いが向き合った。




「鈴華、答えはどうなんだ」


「……はい。二か月の赤ちゃんが、います」


「……!」



そんな言葉を言う鈴華の身体を陸斗は傷つけないようにふわっと抱きしめる。


鈴華のピンクブラウンのやわらかな髪を撫で、陸斗は鈴華の肩に顔を埋めた。


聞こえてくる嗚咽に鈴華は陸斗の背を撫でながらにこりと微笑んだ。


「陸斗と私の子供ですわよ。大切に、大切に育てたいですわね」


「……俺は父親になれるのか?」



陸斗には付きまとう不安があった。


子供に暴力を振るうそんな親になってしまわないか、いつだって不安があった。


その血は陸斗の中に流れている。


だがその不安以上に、子供も鈴華も幸せにしたいという気持ちが強かった。



「もう陸斗は一人じゃないんですよ。一緒に生きる。それが夫婦じゃないですか?」


「夫婦か。鈴華が俺のお嫁さん。子供も宿った。……あぁ、なんて幸せなんだ」



嬉しそうに陸斗は歯を見せて笑うと、鈴華を抱きしめ、頬ずりをした。


鈴華もまた、少しだけ泣きそうな顔をして、ほほえみを浮かべていた。



「陸斗。一緒に生きていきましょう」


「あぁ、ずっと一緒だ。愛してるよ、鈴華」


「私も、陸斗を愛していますわ!」



これまでの人生で築いた繋がり。


そしてこれから築かれていく繋がりを、一つ一つ大切にしていこう。


どんな出会いであろうと、それが陸斗にとっての繋がりとなる。



人に感情があるのは、喜び、哀しみ、苦しみ……それらの先にあるものを知るためだと思う。


何物にも変えがたい絆という名の繋がりが、宝となる。


人生の終止符を打つとき、その繋がりが生きた証となり、集大成となる。


一つ一つの繋がりを大切にして、その繋がりの中で陸斗たちは生きていく。



時に道を誤ったり、繋がりで受難することもあるだろう。


そんなとき、鈴華が傍にいてくれるなら、陸斗は何度だってやり直せる。


一人で抱えきれないことも鈴華となら一緒に運べるだろうから。


これからも陸斗は前に向かって進みながら、生きていく。


この繋がりを持って、陸斗は鈴華を愛していく。


寄り添い合える未来に向かって、ずっと――。



「了」


最後までありがとうございました(つ'ヮ'c)

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