第52話「ネバーエンディングラブ」
「俺が夢を見つけられたのも、今、未来たちと暮らせているのも、鈴華と出会えたからこそのことなんだ。俺は周りに支えられているのにも気づかず、一人で突っ走ってた。鈴華に出会ったことで、俺は変われたんだ」
真っ直ぐに陸斗の心の中に向かってきた鈴華。
どんなに苦しくとも、いつも笑顔で陸斗を励ましてくれた母の存在。
無邪気に、陸斗を慕い、寂しさを堪えていた妹の存在。
時に優しく、時に厳しく接してくれた親方。
陸斗を信じ、いつだって無条件の友達でいてくれた秀一。
陸斗に工藤と話すうえで間に入ってくれた詩織。
陸斗はずっと自分がキライで、愚かだと思っていた。
父のように暴力を振るうような人になるかもしれない。
だったら誰も好きにならない方が楽だ。
この身が恐ろしいと戒めていたところに、一人の可憐なお嬢様が現れる。
”あなたに一目惚れいたしましたわ!”
たった一言で、陸斗の世界を変えた愛すべきお嬢様。
陸斗にとって絶対唯一の存在となったのが鈴華だった。
たくさんの人に支えられ、決して一人ではないと教えてくれた。
これだけの繋がりの中で、陸斗は生きている。
悲観的でいた陸斗を、見捨てずに、支えてくれたことに感謝しきれない思いがある。
陸斗はまだまだ無知で、愚かな面もたくさんある。
それでも、支えられている実感を持てたのは、大きな一歩だ。
夢を持ち、前に進んでいくことが出来るのは支えてくれる鈴華の存在があってのこと。
決して無力ではない。
純粋で、陸斗のために涙を流してくれる鈴華こそ、大きな光であった。
「まだまだダメな俺だけど、鈴華には傍にいて欲しいって思うんだ。釣り合う、釣り合わないじゃないんだ。傍にいて欲しい。……ダメか?」
その言葉に鈴華は首を横に振り、しがみつくように陸斗の背に手を回した。
「私が一緒にいたいのです! 大好きですわ! 愛してますの、陸斗っ……!」
繋ぎに恋したお嬢様。
これまでの人生で築いた繋がり。
そしてこれから築かれていく繋がりを、一つ一つ大切にしていこう。
どんな出会いであろうと、それが陸斗にとっての繋がりとなる。
人に感情があるのは、喜び、哀しみ、苦しみを知るため。
それらの先にあるものを知るためだと思う。
何物にも変えがたい絆という名の繋がりが、宝となる。
人生の終止符を打つとき、その繋がりが生きた証となり、集大成となる。
一つ一つの繋がりを大切にして、その繋がりの中で陸斗は生きていく。
時に道を誤ったり、繋がりに苦悩することもあるだろう。
そんなとき、鈴華が傍にいてくれるなら、陸斗は何度だってやり直せる。
一人で抱えきれないことも、鈴華となら一緒に運べるだろうから。
”ありがとう”
こんな言葉一つでは足りないくらいだけど、それくらい心は満たされているんだ。
これからも陸斗は前に向かって進みながら、生きていく。
この繋がりを持って、陸斗は鈴華を愛していく。
鈴華と寄り添い合える未来に向かって、ずっと――。
そして鈴華もまた陸斗の指に指輪をはめる。
銀色に輝く指輪は何よりも美しく見えた。
「鈴華。俺と……結婚してください」
「……っはい!」
陸斗に飛びつくように抱きつく鈴華。
陸斗にとって最高の彼女。
世の中にはスーパーダーリンという言葉があるらしいが、それならば鈴華は間違いなくスーパーハニーだ。
完ぺきで愛らしく、強いけれど守りたくもある彼女。
そんな彼女といつか憧れの家族を作って、幸せに笑いながら生きていきたい。
陸斗は近いうちに現実になるであろう夢と一緒に、鈴華を抱きしめた。




