表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/29

ななしのよる 26

 ここがどこだかわからない。


 ただ、一歩、右足を前に出し、そして一歩、左足を前に出す。


 目の前は闇で、目を開いていてもつぶっていても、同じことのように思えた。


 道を、歩いているのだろうか。


 駅を後にし、無意識のうちにあの橋の方へと向かって行った。


 だけれど、今はもう、ここがどこなのか、自分がどこに向かって歩いているのか、わからなかった。


 ――また、一人になってしまった。


 全身の血が氷水こおりみずにでもなったかと思うほど、冷たかった。


 そこへ夜気が通り過ぎて行くのだから、しみるような寒気となって僕を襲った。


 それもどこか、遠い自分に起きているような、現実感の薄い感覚。


 ふと、あの子犬が頭の隅に現れ、抱きしめた時の熱を思い出した。


 その途端、心臓の下のあたりが刺されたように痛み、息を吸うことができなくなった。


 僕は胸を押さえ、その場にひざをついた。


 ――こんなのって、ひどいよ……。


 ひどいからといって、いったい誰に訴えればいいのか。


 誰にも届きはしない。


 寒さも、痛みも、感情も、ただこうやって食いしばるしかないんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ