ななしのよる 20
光が、僕達を照らし出した。
僕の頭の中で何やら騒がしい音が跳ね回っている。
いつから鳴っていたんだろう。
朦朧としていた頭に響く警告音は、射し込んでくる光によって呼び戻された僕の五感に、突然襲いかかってきた。
僕は逆らうように光の流れ来る方へと顔を向けた。
列車はゆっくりと光を強め、あっという間に圧倒的なまぶしさの中へと僕達を包み込んだ。
僕は慣れない明るさに目を細め、視界をさえぎり停車する物体を、どうすることもできなく見つめていた。
列車は完全に停止すると、ため息をつくかのように大きく息を吐き、扉を開放した。
窓や扉からは、まるでたそがれどきの稲穂の輝きにも似た、金色の光があふれ出ていた。
中の座席には何人かの乗客が座っていたのだけれど、その人達は黒くぼうっとかすんでいて、よくはわからなかった。
この列車が光の満ちあふれる所へと運んでくれるのだろうか。
この人が言っていたように、朝日の昇り来る場所へと運んで行ってくれるのだろうか。
僕は腕の中にいる子犬を抱きしめた。
小さなあたたかい体温と、手ににぎりしめた切符の感触が、僕を炙り焦がす。




