ななしのよる 2
まぼろしのような雑踏の中に、僕は立っている。
ここはどこなんだろう。
なぜこんな所にいるのかわからなかった。
僕の足の下には、幾何学的な模様を描く街路が広がっている。
明かりに照らし出され、この夜の街の、どこかへと流れていた。
もう一度視線を上げた僕の目に、はなやかな街のいろどりが踊った。
今日は何かのお祭だろうか。
通りゆく人達は、皆黒くにじんでいたのだけれど、家々の中からは楽しげな笑い声や、あたたかな食卓のかおりが、窓からあふれる光と共に運ばれて来た。
閉じられた窓を眺めていると、中からの談笑に混じって、どこからか ”シャンシャン” というはずんだ音色が聞こえてきた。
跳ねて来ては、散らばり、消える。
その音の生まれ来る場所を探し、耳でたどっていくと、向かいの街路沿いに小さな一団が並んでいた。
そこには数人の子供達が列をなし、肩を寄せ合っていた。
まだ小さな子もいれば、僕と同じくらいの子、僕より年齢が上だと思うような子もいた。
その子達は全員、白いポンチョのような服を頭からかぶっていて、その上に、さらに真っ白な外套を身にまとっていた。
そこからのぞかせる小さな腕が、銀色にきらめく大小様々な鈴を手にし、はずむ音色を夜に奏でていた。




