ななしのよる 15
線路を歩くのは、なぜだか楽しい。
子犬は相変わらず先を行き、せかすのだけれど、僕は疲れてしまった。
今までは僕の後ろをついてきたというのに、何をそんなに急いでいるんだろう。
辺りは真っ暗だったけれど、花の咲く線路は出来すぎていたし、子犬の案内もあって、迷うことはなかった。
そしてあそこに見える小さな光も、僕達を離さなかった。
近寄ってくる光はその身に、ガリガリに痩せた踏み切りとちっちゃな駅を包み、照らしていた。
光は目の前に来ても小さく見えた。
こんな所にも駅があるんだ。
線路を行けば、駅があるのは当然のことなのに、僕はそんなふうに考えていた。
駅は改札もなく駅員もいない、無人駅だった。
ただ待合の長椅子と、雨風をしのぐほどの囲いが、申し訳なさそうに小さくなっていた。
子犬は、ととと、と先を行き、待合場におさまった。
子犬の横には先客が一人いて、椅子に腰を下ろしていた。
あまりに静かだったので、最初いるのがわからなかったのだけれど、座っていた。
両手をひざの上に置いて、少し肩を落とし、うつむき加減で、その人はただしくそこにいた。




