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檻の中の君  作者: 二井星子
第1章 大罪人
20/47

20 幕開け②

 アリアにできることは、文字通り『味方を作る』ことだけだ。それ以上でも以下でもない。


 アリアはこの家から逃げ出すことができない。精神的な話ではなく、実際問題として逃げ出せば死ぬからだ。


 ダールマイアーの一族、黒紋を持つ者は、古の建国時からの強力な制約の魔法と約束の魔法によって、役目に縛り付けられている。


 制約の魔法により『黒紋を持つ者が伯爵位を継ぐ』『黒紋を持つ者は看守としてグリニオン監獄で一生を過ごす』『黒紋を持つ者は看守としてグリニオン監獄に入ったら、監獄より外に出ることはできない』『看守のいるグリニオン監獄に、他のダールマイアー一族の者が入るのを禁ずる』と定められ、さらに約束の魔法により『黒紋を持つ者はダールマイアーの役目から逃げることを禁ずる』と定められている。


 制約の魔法は文言通りに作用するが、約束の魔法は対象者の心に干渉し、作用する。破った時に起きる代償は同じだ。


 つまり、アリアは、ダールマイアーの家から逃げたいと思った時点で約束の魔法によって死ぬ。逃げ出すなどもってのほかだ。


 さらにアリアの状況を最悪にしているのが、『いかなる場合であろうと他家がダールマイアー伯爵家に干渉することを禁ずる』という古の建国時代からの王命だ。破れば死罪となる。


 だから、母親を外部の誰かにどうにかしてもらうことはできない。母親の追放を進言してもらえば、進言したその誰かは命を失ってしまう。


 黒紋を持つアリアはこの家から決して逃れられず、必ず看守にならなければならない。


 できることは限られ、自分が置かれた状況をどうにかするにも、あの日滝口で何があったのか、クラウスが生きているのか死んでいるのかを調べるにも、頼ることのできる誰か——味方を作るしかない。


 邸の者を味方にするのは不可能だ。味方にするどころか、まともに会話することすらできない。ならば、外部に味方を作るしかない。


 どうやって外部に味方を作るか。


 アリアは必死に考えを巡らせた。


 ダールマイアー伯爵家所有の伝書鳥を使って誰かと連絡を取ることはできない。

 伝書鳥は基本的に、決められた相手とのやり取りにしか使えない。別の誰かとやり取りするには、新たに飛行路を覚えさせる必要がある。

 ダールマイアー伯爵家にはグリニオン監獄とエントウィッスル侯爵家とのやり取り用の伝書鳥しかいない。


 伝書鳥以外で手紙を送るには、アリアを嫌悪する出入りの商人に預けるしか方法がない。はたしてアリアを嫌う商人が、その手紙をまともに扱うのかも、アリアの言う通りに手紙を届けてくれるのかもわからない上、母親に告げ口する危険性もある。


 最も可能性があるとしたら、全ての家門に配布されているという王城直通の通信の魔法が付与された懐中時計を使うことだ。


 ただし、アリアはそれがこの家のどこにあるのかを知らず、通信の魔法を発動させる方法も知らなかった。

 おまけに王城直通だということを知ってはいるが、具体的に誰に繋がるのかを知らない。繋がった先の誰かが、アリアの話をまともに聞いてくれる保証もない。


 しかし——他に方法がない。賭けてみるしかない。


 アリアは母親や使用人の目を盗み、それらしい部屋を探したが、なかなか見つからなかった。


 残るは母親の部屋のみになり、アリアは母親が入浴している隙に部屋に忍び込んだ。


 全ての引き出しを開け、とうとうそれを見つけた。


 ごちゃごちゃに物が詰め込まれた引き出しの奥にあったことから、母親がこの懐中時計を使用していないことがわかった。

 持ち出してもバレないだろうと判断して、こっそり持ち出す。


 そうして自室に持ち帰り、どうにか通信の魔法を発動させた結果、繋がった相手がルーシャンだったというわけだ。


 ルーシャンは当時二十歳ながらもすでに宰相補佐を務めていて、不在の宰相の代わりに通信に応じているのだと説明してくれた。


 アリアの予想に反し、ルーシャンは公平だった。


 この時すでにダールマイアーの『兄殺しの令嬢』として悪名が広く知れ渡っていたアリアに対し、嫌悪するでも恐怖するでもなく、普通の態度でアリアに応じた。


 ルーシャンが言うには、元々ダールマイアー伯爵家に対してアリアの事情聴取がしたいと申し入れていたらしいが、その申し入れをことごとく無視されていたらしい。


 そのくせダールマイアー伯爵家からはアリアに今すぐ罰を与えろという嘆願書が繰り返し届くから困っていたのだとも教えてくれた。


 アリアはルーシャンに全てを話した。


 クラウスを滝壺から突き落としたとされているが記憶がないこと、クラウスのことを思い出せないながらも大好きだったという感情だけは残っていること、二つの疑問のこと、母親から受けている仕打ちのこと。


 ルーシャンは時々相槌を打ちながら、アリアの話を最後まで真剣に聞いてくれた。そして、言ったのだ。

 「僕は、クラウス・ダールマイアーは生きていると思う」と。


 ルーシャンは、「これは本来国家機密だ。だが、君は知る権利がある」と前置きしてから、あることを語った。


 ノイラート国との国境を守っているのは、一見するとエントウィッスル侯爵家に見えるが、実際はそうではない。国境を守っているのはダールマイアーの一族であり、ダールマイアー伯爵家こそが国防の要であるのだと。


 意味がわからなかった。


 ダールマイアー伯爵家がノイラート国との国境を守る国防の要なのだと言われても、そんなことは一切教えられていない。


 困惑するアリアをよそに、ルーシャンが言葉を続ける。その内容にアリアは愕然とした。


 ダールマイアー伯爵家で、当代に黒紋を持つ者が看守と後継者の二名以外にもう一人、あるいは複数人いた場合、最も力が強い者を後継者とし、残りの者は死を持って防護結界を国境に展開させる。


 それがダールマイアーの隠された役目、死の役目なのだという。


 ダールマイアーの黒紋は左右どちらかの手に現れることが多く、平均で手首まであるが、それで百年は防護結界が保たれる。今は前回の防護結界の効力が切れそうになっているらしい。


 つまり——アリアかクラウスのどちらかが、役目として死ななければならなかったのだ。


 ルーシャンは、きっとアリアがダールマイアーの死の役目を背負った者だったのではないかと言った。

 クラウスはそのことを何らかの方法で知った。だから、アリアを助けるために自分を死んだことにしたのではないだろうか、と。


 ダールマイアー伯爵家に課せられた約束の魔法は『黒紋を持つ者はダールマイアーの役目から逃げることを禁ずる』だ。

 クラウスが『逃げる』という感情を持たなければ死んだふりをするのは十分に可能だ。ただ、それでも完全に逃れることはできないから、クラウスがいずれアリアの代わりに死の役目を果たそうと、今後死のうとする可能性もあるのではないか、とも言った。


 にわかには信じられない内容だった。

 けれど、これで、約束の魔法が『ダールマイアーの役目』と曖昧に表現している理由がわかる。

 ダールマイアーの役目は看守になることだけでなく、国防のために死ぬことも含まれているからだ。役目は一つではない。だから、具体的に表現せず『役目』とだけ表現した。


 ルーシャンは「そもそも僕も父も、ワイラー公爵家の者は皆、ダールマイアー伯爵家のあり方に疑問を持っている。あなたたちは皆に恐怖され、忌み嫌われるが、本来であれば建国戦争で最大の武功を挙げた建国の立役者であり最大の功労者、英雄の子孫。あなたたちダールマイアーがいなければ建国は成し得なかった。だというのに、なぜ『こんなこと』になっているのか常々疑問だった。君の話を聞いて、ますます疑問が湧いた」と言った。


 なぜ、このガルデモス帝国で、ダールマイアー伯爵家だけが古の建国時から制約の魔法と約束の魔法で縛られているのか。


 なぜ、監獄に入る看守が伯爵を兼任しなければならないのか。


 なぜ、ダールマイアーのみの特例の非道な法が存在するのか。


 なぜ、英雄として讃えられてもいいくらいの武功を挙げたにも関わらず、領地を与えられることなく辺境の監獄で一生を過ごさなければならないのか。


 なぜ、これほどまでに恐怖され、忌み嫌われているのか。


 それに、グリニオン監獄は並の監獄では手に負えない大罪人が収監されるとされているが、はたしてそんな大罪人が今の世に何人いるのだろうか。


 建国当初ならまだ話はわかる。その頃は魔法が使える罪人を抑え込む術がなかったし、血の気の多い者も少なくなかった。戦争直後で捕虜も大勢いた。


 しかし、今は魔法を使える罪人を抑え込む術がある。

 建国から五百年が経ち、法も整備され、国内情勢は一見すると落ち着いている。


 ガルデモス帝国は、北方を人跡未踏の急峻な山脈、西方を大型で人喰いの海洋生物が巣食う海域、南方を底の見えない深い谷と毒霧に覆われた深い森、東方を航行する船が突如消息を断つ激しい潮流の不帰の海域に囲まれた、容易に攻め込めない国だ。

 建国戦争以来、小競り合いはあれど目立った争いはなく、他国から侵略を受けていない。


 直接的な侵略の危機がない今では、血の気の多い者の方が少ない。

 『エントウィッスル侯爵家のあれ』のような事件が起きることは数十年に一度あるかないかだ。


 深く考えれば考えるほど、そもそもダールマイアーの一族がここまでしてグリニオン監獄を維持する理由がないように思える。


 指摘されて初めて、アリアは何かがおかしいと気付いた。

 当然だと思っていた全てが異常なことなのだと、ようやく気付くことができた。



 そこから、アリアとルーシャンのやり取りは続いた。


 懐中時計を持ち出したことを母親に気付かれたらアリアがどんな罰を受けるかわからないからと、ルーシャンはアリア宛にこっそり伝書鳥を送り、通信の魔法がかけられたルーシャンとのやり取り専用のブローチを送ってくれた。

 ルーシャンとのやり取りはそのブローチを介して行った。


 ルーシャンはアリアに、王命があるために表立って助けることはできないが力になることはできると、アリアを助ける方法を探り、クラウスが生きているのか死んでいるのか、もし生きているのであればどこにいるのかを探し出すことを約束してくれた。


 そうして紹介されたのが、ルーシャンとは旧知の仲だという、テディとラースとオーレリアだ。


 当時、テディは十八歳で、ラースとオーレリアはルーシャンと同じ二十歳だった。

 その時にはすでにテディはバルバーニー商会の流通部門を統括する立場にあった。ラースはこの時はまだスカンラン職人連合の代表ではなかったものの、スカンランの職人たちと共に新聞社を立ち上げ、独自の情報網を確立して国内の情報を熟知していた。オーレリアはこの時にはすでにガルデモス帝国史の研究家の第一人者として名が知れた存在だった。


 ルーシャンがなぜこの三人を紹介したのかは、初めて全員で通信した時にすぐにわかった。ルーシャンがアリアに対して普通の態度だった理由もわかった。


 初めて全員で通信した際、テディもラースもオーレリアも、アリアに対して普通の態度を取った。

 それどころか、面倒見の良いラースとオーレリアに至っては妹のように接してきた。


 一気に三人もの人間が自分に対してまともな態度を取ってきたことにアリアは動揺して、なぜダールマイアーの自分を恐れないのかと問いかけた。

 黒紋が怖くないのか、と。


 その問いに、ラースが「君のそれは魔力染みだろう。この国では黒紋と呼んでいるが。発現しているのが君たちダールマイアーしかいないから黒紋で通るんだろう」とあっけらかんと答えたのだ。


 まりょくじみ。


 聞いたことのない言葉だった。


 聞けば、魔法が使える者は誰しも自身の内側に目に見えない『器』と呼ばれる魔力を溜めるための器官がある。


 あまりにも強い魔力を持つ者は『器』に溜める魔力が膨大であるために、『器』に収まりきらなかった魔力が体の一部に染み出してしまうのだという。


 それが『魔力染み』と呼ばれる。


 魔力染みは使える魔法によって色が異なる。

 アリアの結界の魔法の魔力染みの色は『黒』だ。だから、左手が黒く染まったようになっている。


 これが黒紋の正体だ。


 魔力は人体に影響を及ぼす。

 器に収まって魔力染みができない程度の魔力であれば、何ら問題はない。

 しかし、魔力染みができるくらいともなると、何らかの影響が出る。


 この影響は使える魔法により決まっていて、大概が悪影響なのだという。

 だから、魔力の持ち主である本人はともかく、他人が魔力染みに直接触れるとその悪影響を受けてしまう。アリアの場合はそれが『死』だ。


 影響は他にもあり、『魔力作用』と呼ばれる現象が魔力の持ち主に起きる場合がある。


 これも使える魔法によって決まっていて、アリアの場合は『感情と身体反応が切り離されてしまう』という魔力作用が起きる可能性があり、よほど意識して無理やりに反応しなければ、無の状態から変化させることができない。


 つまり、大笑いしたくとも、よほど頑張らなければ無表情のままぴくりとも表情を動かせないということだ。

 優しく話したくとも、よほど頑張らなければ淡々と感情のこもらない話し方をしてしまうということだ。

 当時のアリアは魔力作用の影響を受けていなかったが、徐々にその影響を受けていくことになる。


 さらに、皆は防護結界のことも教えてくれた。


 防護結界は『魔力爆発』と呼ばれる現象で、魔力の器を持つ人間の死と魔力の消滅が符合しないために起きる。


 通常であれば魔力は、魔力の器を持つ人間が亡くなった後、徐々に消滅していく。

 魔力染みができない程度の魔力の器ならなんら問題はない。


 だが、魔力染みができるくらいの膨大な魔力を持つ場合、魔力の器を持つ人間が亡くなると、留まる器を失くした膨大な魔力が一気に拡散してしまう。

 そして、拡散する際に元々収まっていた魔力の器を持つ人間の体を塵にしてしまう。


 魔力爆発で拡散した魔力は大概が悪影響を及ぼす。


 ダールマイアーの場合、拡散した魔力が空間を形成し、外側からその空間の内側には入れず、空間の内側から外側に出ることもできない。空間の内側にいる生き物は、全て極度の脱力状態に陥り、一歩も動けなくなるというものらしい。


 解除するには、自然に消滅するのを待つか、同じ魔力を持つ者が解除するしかない。


 これらは、他国——ノイラート国やリンガイル国では身分を問わず大人から子供まで誰もが知る常識なのだという。


 そんなことは知らなかった。


 命を奪う黒紋は得体の知れない現象だとばかり思っていた。だからこそ呪いだの不吉の象徴だのなんだのと言われて忌み嫌われているのだと。


 しかしその実態は、明確な原因があった。


 ただ単に、ガルデモス帝国で魔法についての知識が普及していないために、異端の力を人々が恐れていただけだった。


 ルーシャンがテディとラースとオーレリアを紹介したのは、それらを知っているためにアリアに偏見を持たず、彼らが確実にアリアの力になれるからだろう。


 さらに、彼ら四人は口を揃えて、問題なのはアリアの——ダールマイアーの魔力染みの色が『黒』であることなのだと言った。


 なぜなら、魔力染みが『黒』の魔法を持つ一族はこの世界にたった一つしか存在しないからだ。


 魔力染みが『黒』の一族——リンガイル国の、王族だ。


 魔法国家、リンガイル国。

 海の向こうのその国は、魔法の研究が盛んに行われている国であること以外には知られていなかった。


 魔法の研究が禁じられている上、閉じられた国であるガルデモス帝国では、リンガイル国の情報は全く聞こえてこない。


 彼ら四人が言うには、リンガイル国の王族が持つという『支配の魔法』は詳細が秘されており、わかっていることといえばその支配の魔法をもって国を守っていることと、支配の魔法による統制が厳しすぎるあまりに国外に逃げる者も少なくないということ、その血筋を守ることにひどく固執していること、魔力染みの色が黒であることくらいなのだという。


 アリアは困惑した。


 意味がわからなかった。なぜ、ダールマイアーがリンガイル国の王族と同じ魔力染みを持つのだろう。


 それに、ダールマイアーの魔法は『結界の魔法』のはずだ。支配の魔法ではない。


 でも、言われてみれば確かに、ダールマイアーの魔法は結界の魔法にしては疑問を感じるような事象を巻き起こす。


 考えれば考えるほど、これが支配の魔法ではないと言い切れず、また結界の魔法だと言い切ることもできない。


 そもそも、魔法についての知識が普及していないガルデモス帝国で、一体誰が『ダールマイアーの魔法は結界の魔法だ』などと言い出したのだろう。その誰かは、はたして本当に信用に足る人物なのか。


 建国の英雄と讃えられてもいいくらいの功績を残したにもかかわらず誰からも恐れられ忌み嫌われ、定められた役目から決して逃れられない一族。

 余剰は国防のために死ななければならず、制約の魔法と約束の魔法で縛られて管理される一族。

 リンガイル国の王族と同じ魔力染みの色を持つ一族。


 一気にきな臭くなってきた。


 彼ら四人は話を続け、アリアにさらに衝撃的なことを告げた。


 もしも、ダールマイアーが何らかの原因で分たれたリンガイル王家の傍系で、それがリンガイル国に知られた場合、ダールマイアーの血族に起きうる出来事は『リンガイル国に取り込まれる』か『存在を消される』の二つに一つ。


 露骨に言えば、『連れ去られる』か『皆殺し』かのどちらかだ。


 だが、恐らく『皆殺し』になる可能性が高い。


 ダールマイアーの血族には異なる魔法を持つ血族が紛れている可能性が高いからだ。

 そのために、血筋を重んじるリンガイル王家にダールマイアーの血筋を混ぜるわけにはいかず、かといってそのまま生かすにはダールマイアーは秘された魔法について知りすぎている。


 運良く『連れ去られる』の方に転んだ場合でも、生涯の幽閉は免れない。まともな扱いを受ける保証もない。


 さらに言えば、ガルデモス帝国がダールマイアーの魔法をどの程度知っているかによって、この国の運命が決まる。


 詳細に知っていた場合、この国は終わる。


 リンガイル国が、自国の王族の秘された魔法について知る国を放置するわけがない。確実に滅ぼしにかかる。


 アリアには、この力があれば容易に国を落とせることが身をもってわかる。


 リンガイル国の王族がアリアより強い力を持っているとしたら、アリアの想像以上にこの国は容易く終焉を迎える。

 多くの兵はいらない。たった一人いればいい。この力を持つ者が一人いれば、皇帝の首が取れる。


 恐ろしさに身が震えた。


(この国は、何なのだろう)


 震える手を握り締める。答えの出ない疑問が頭を駆け巡る。


(私は、ダールマイアーは、何なのだろう)

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