002 会合
6月3日23:54
ユキカゲとアンジェがアンドロを捕らえた。それと同時刻、施設の近くの森で狙撃銃を構えている少女がいた。彼女はターニャ。作戦開始前からアンジェとマリアの援護のためにスタンバイしていた。
彼女が覗くスコープの先にはヘリポートがある。そこに数人の男女がいた。その中に一人ヘルメットを被っている男を確認した。男は立ち止まると引き返して施設に戻って行った。男がいなくなると残った人達がヘリに乗り込もうとする。
それを確認した瞬間、ターニャは狙撃した。弾丸はヘリのプロペラの根元に命中しヘリが飛べなくなった。驚いた人達が慌ててヘリから出る。そこに次々と足を撃ち抜いて動きを封じた。
一方、アンジェはアンドロに何度も質問するがアンドロは一向に答えない。
「は、ははは、そんなことか。私にも分からん。」(英語)
「へぇ。取引相手なのに分からないんだ?」(英語)
「奴は名前すら教えん用心深さだ。私に分かっているのは・・・」(英語)
アンドロが答えようとした瞬間、ユキカゲは殺気を感じた。とっさに後ろを向くとヘルメットを被った男が右手に拳銃を構えていた。男が発砲すると同時にユキカゲがアンドロの前に立ち弾丸を真っ二つに切った。
「あんたが例の武器商人?」(英語)
「・・・お前、日本人か?」(日本語)
(!?)
男の問にユキカゲは動揺した。日本語で質問してきたのだ。日本語が分からないアンジェは二人の会話が分からず?を浮かべていた。
「こんなところで日本人に会うとは神様も面白いことをしてくれる。」(日本語)
「・・・こっちも驚いたわ。まさか、武器商人が日本人なんて思いもしなかったわ。」(日本語)
「ユキカゲ、英語で会話しなさい。」(英語)
アンジェがアンドロの腕を後ろに回して固めながらユキカゲに話す。すると、男は懐から何かのスイッチを取り出した。
「なんだそれ?」(英語)
「起爆スイッチだ。」(日本語)
「!?」
「なに?」(英語)
ユキカゲが驚く。日本語なのでアンジェは男が持っている物が何か分からなかった。しかし、ユキカゲの反応を見てヤバい物だと判断した。その時だった。男はスイッチを躊躇いなく押した。その時瞬間、どこかで爆発音がした。
「あんた、何がしたいの!?」(英語)
「こうすればジャッカルの仲間がここにくるぜ。」(英語)
「あんたが爆発させたくせに。」(英語)
「問題はここに部外者、しかも敵がいること。爆発はお前らの仕業と思うさ。」(英語)
男の言う通り、各地でテロリスト達が爆発で大慌てしていた。その中の一人がある部屋に入る。そこには拉致したと思われる少女がいた。
「くそっ!政府め!この女がどうなってもいいのか!?」(ロシア語)
「そこは問題ないよ。」(英語)
すると、拘束されていた少女がいきなり男の後ろに回り首を絞めて気絶させた。少女は男を気絶させると一瞬で別人に変わった。
(こちらマリア。この爆発は何?作戦に爆弾は使用しないはずよね?)(英語)
少女が誰かに連絡した。少女達は耳小骨に設置された特殊な通信機を通して連絡することができる。このため周りに気付かれずに連絡が可能だ。
(分かるわけないでしょ。)(英語)
すると、マリアの後ろからリンがやってきた。リンも同じように連絡する。すると、アンジェから連絡がきた。
(連絡遅れて悪かったわ。今、目の前にいる武器商人が爆発させた。今からアンドロを連れて離脱するから先に戻って。)(英語)
(援護は?)(英語)
(いらない。あなた達は残党をお願い。)(英語)
(了解。)(英語)
マリアとリンが連絡を切ると互いの顔を見て頷き施設の制圧に向かった。
アンジェが連絡を切ると懐から拳銃を取り出し男に向かって発砲した。弾丸は男の胸に命中したが男は倒れない。
(ご丁寧に防弾チョッキを着てるわね。)(英語)
拳銃が無駄だと判断するとすぐにアンドロを引っ張って離れた。それと同時にユキカゲが刀を構えて男に切りかかる。男も拳銃で受け止め左フックで応戦する。ユキカゲは左フックを避け左腕を斬ろうと刀を振り下ろす。しかし、男の腕を切ることが出来なかった。男は普通に刀を腕で受け止めたのだ。
(こいつ。まさか・・・)(日本語)
ユキカゲは刀と腕がぶつかった瞬間に聞こえた金属音にある仮説を立てた。その隙にアンドロを連れたアンジェが扉に向かう。その時、銃声と共に男の左肘から弾丸が発射された。弾丸はアンドロの頭に命中しアンドロは即死した。
「!?」
「そんな・・・」(英語)
アンジェとユキカゲが驚いていると男が回し蹴りでユキカゲを壁まで飛ばすと窓を破って逃走しようとした。
「待て!」(英語)
アンジェが拳銃を向けて叫ぶ。男に拳銃が効かないと分かっていてもアンジェは拳銃を男に向ける。
「あんた何者?」(英語)
「そうだなぁ。お前らで勝手に渾名を付けられても嫌だからダラクと呼んでくれ。」(英語)
「ダラク?」(英語)
ダラクはそう言って去って行った。その直後にユキカゲが刀を振るがもうそこにダラクの姿はなかった。
「く、くそー!」(日本語)
深夜を過ぎた森の中でユキカゲの叫びだけが響いていた。