フレッシュゾンビ
「さて、これで仲間が全員見つかったし、お別れか?」
「そうですね。あんまり大所帯で過ごすのも、連携の面ではやりにくいでしょうし」
チックはそう言って立ち上がる
「えーっ、もうお別れ?」
テットが不満をそのまま口にするが、利点がないためそのまま別れた方が良いだろう
「もし、会う事があればまたよろしくね」
会って自己紹介しかしてないライカとミレにとってはそこまで思い入れはないようだ
「私に会うのは不可能よ!」
アクアはそう言って胸を張るが、意味が分からんので皆スルーした
「また」
トトが口数少なく別れを告げる
「ありがとな!」
ツェナーが握りこぶしを作ってウィンクする
「じゃあな」
ノロイが後ろを向いて歩くのを先頭に、我達もそれに続く
木のウロに入り、今度は離れ離れにならないようにきちんと続く
次の階はまた墓場だった
「ヘェイ、ボーイアンドガールズ。俺様と勝負をして勝てたら次の階の階段を開いてやる」
墓石の上にやけに元気なゾンビが偉そうに腕を組んで提案してきた
「あんただれ?」
アクアが率直に聞く。こういう時にアクアが居ると助かる気がする
「俺様か? 俺様はフレッシュゾンビ! ゾンビ界のニューヒーローだ!」
ゾンビは両手を空へ向けると、背後からワーッとゾンビたちの拍手が起こる
「……ちなみに、勝負方法は?」
「勝負と言ったら一つだけだろ? タイマンだ!」
ゾンビがパチンと指を鳴らすと、リングがせりあがってくる。コーナーには頭蓋骨が飾ってあり、ロープの代わりに腸のようなもので繋いであるので悪趣味だ
「倒せば勝ちか?」
「そうだ! 10秒間立ち上がれないか、殺せば勝ちだ」
ゾンビはニヤリとしたところを見ると、自信があるみたいだ
「こっちは、そうだな。マオでいいだろ」
「はっ、そんな嬢ちゃんが俺様の相手をするのか?」
ゾンビが笑うと、観客と化したゾンビたちも一斉に笑う
「まあ、いいだろう。きな」
ゾンビはロープをくぐると、リングにのぼる。我もそれに続いて上った




