封印されし魔物
殿さまは皆を見回して、改めて話し出す
「まずは、紹介をしよう。こやつはアヤメと言って隠密の頭だ」
そう紹介されてアヤメはぺこりと頭を下げる
「どうみても子供にしか見えないが?」
「変化の術です。正体は明かしませんよ?」
正体と言われ、我も少し魔力を探ってみる。・・・少なくとも人間ではなさそうだ
「そして、そっちが知ってると思うがキールで、侍大将だ」
「おう、こう見えても偉いんだぞ」
強いのは分かるが、偉いのは分からないな
「そして、私がクラマの城主で、アカツトキツナだ」
「長い名前だな」
覚えにくいが、まあ、呼ぶこともあるまい。殿様とだけ覚えておこう
「それで、これからの話とは?」
「そう急かすな。今、食事を用意させよう」
殿さまがそういうと、アヤメがサッと姿を消した
食事が運ばれてくる間、キールから青いオーガの討伐状況の細かい話をしながら過ごした
食事が運ばれてくる
「なんだ、この白い粒は?」
ノロイはお椀に入っている白い粒を指でつまむと、あっさり潰れた
「これは米というもので、我が街の特産物だ」
ミレも知っていたのか、うなづいている
「じゃあ、この棒はなんだ?」
「それは箸と言って、こう使うんだ」
キールは実践して見せてくれる
「この変な臭いのする水は?」
「みそ汁と言って、みそで作られた飲み物だ」
「じゃあ、この開かれているのは?」
「それは魚だ。海で獲れたものを乾燥させてある」
我もさっそく箸で食べようとするが、うまく動かせないな
ノロイは器用なのか、上手に使っている。ミレは使ったことがあるみたいだ
ライカは、諦めて手で食っている。アクアは犬みたいに顔で食っているな・・・
「で、話の続きといこうか」
食事も終わり、片付け始めた
「腕を見込んで、この地に封印されている複数の魔物を退治してもらいたい」
「続きは私が」
アヤメはそう言うと、この付近の地図を取り出す。地図には五方陣の様に点が打ってある
「城を中心に、5カ所に魔物、妖怪が封印されています。その封印が、大分弱まってきているため、再び封印するか、いっそのこと退治するかと話していたところでした」
「その調査を俺がしていたんだ」
キールは、5カ所の封印を見て回っていたらしい
「封印されている者は、どれも青いオーガ並みか、それ以上の強さだと聞いている」
「そこで、青いオーガを討伐できたお主たちに、キールを手伝ってもらいたいのだ」
「俺達は、別に金にも困っていないぞ?」
ノロイは、やる気が無いところを見せる
「用意できるものは何でも用意しよう」
世界征服を目的にしているノロイに殿様が用意できるとは思えないが
「いいだろう、受けてやる」
ノロイはニヤリとした。ミレはため息をついている。アクアは「面白そう!」と目をキラキラさせている
「それで、どこから行く?」
ノロイはキールを見た




