討伐報酬
我は青いオーガの肌に左手で触れる
「フレイム・サークル」
極狭い範囲を高熱にする
しかし、青いオーガは熱さも感じないのか特に動きに変化はない
我は次に右手で青いオーガのまだ燃えている肌に触れる
「アイス・サークル」
すると、バキッとひび割れる音がして青いオーガの皮膚が砕けた
「もう再生してる!」
ミレが指摘したとおり再生しはじめたので、再生が終わる前に攻撃する
「ウィンド・ドリル」
左手に風のドリルをまとわせて皮膚の内側にねじ込む。青いオーガの内臓をかき混ぜた感触を受けて手を引き抜くと、ブシャッと赤い血が溢れる
「フレイム・ジャベリン」
我はうずくまった青いオーガの目に、炎の槍を突き刺す
「ぐぎゃあああ!」
青いオーガは目を押さえて叫ぶ
「俺にもやらせろ」
キールは刀に魔力を込めていたのか、圧縮された魔力の気配がする刀を構えていた
我は無言で自分の首を親指でピッと掻っ切るようにジェスチャーすると、キールにも伝わったようで、青いオーガの首に向かって斬る
鞘を使って速度を上げた刀は、青いオーガの強固な皮膚も、まるで抵抗が無かったかのように切り裂いて振りぬいた
しばらくして、青いオーガの首は落ち、首から血が噴き出した。ここはダンジョンでは無いので、死体は消えないようだ
「これを討伐の印として、殿様に献上するか。お前たちも来い」
青いオーガはこの辺のボスで、被害が甚大だっただけに討伐者には報酬が出るようだ
別に報酬目当てでは無いが、どうせクラマへは行くからついていく
街に着くと、長屋が多く、活気があった
「ここは、鍛冶でも有名よ」
ミレがそう言うと、ライカが反応した
「じゃあ、ドラゴンの素材を加工してもらおうっと!」
そう言ってライカは鍛冶屋へ突っ込んでいった
「あー、そこのオヤジは腕は確かだが、値段もバカ高いぞ」
キールはライカの背中にそう声をかけるが、聞こえていなさそうだ
「先に城に行ってるからな」
聞こえていなくても、目的地は分かっているはずなので先に城へ行く
城では独特の服を着た人がいっぱいいた
「城に居るのはみんな侍だ。刀を差しやすいように着物を着ているんだ」
見ると、侍は大小2本の刀を差している
侍たちにうさんくさい目で見られるが、キールのおかげか、からまれること自体は無かった。それとも、キールが持っているオーガの首に気を取られているのだろうか
キールは城の門番に青いオーガの討伐報告をする。しばらくすると、偉そうな髭をした大臣が出てきたようだ
「ご苦労であった。下がってよいぞ」
「報酬は?」
キールがそう言うと、チッと舌打ちして皮袋を投げてくる
「それが報酬だ」
報酬が妥当かどうかは分からないが、もともと我達は気にしない。しかし、キールは違ったようだ
「これが討伐報酬だと? 少なすぎないか?」
「これでも奮発したのだ。嫌なら城主に直訴してくれ」
「ああ、直接話をしよう」
まさか、そう言われると思わなかった大臣は目を白黒させる
「待て、分かった、おい」
大臣は横に居た側人に声をかけると、追加で皮袋を渡してきた
「本当に、これ以上は無いぞ」
大臣はそう言って去っていく
「あいつ、何も言わなかったらガメてたな」




