借金返済
「ダンジョンマスターがダンジョンから離れますと、ダンジョンが維持できません」
「それなら、マスターを誰かに譲るわ!」
そう言ってアクアは我達の方を見る
「パス」
「私も」
「同じく」
「我も」
ビルは最初から魔力が無いので対象外だ
「そんな・・・」
アクアは念願の外を見てがっくりと膝をつく
「しょうがないわね、私がやるわ」
最初にダンジョンマスターを拒否していたエリザが手を挙げた
「いいの?」
アクアはそういいつつ、コアはすでにエリザに渡している
「飽きたら、壊してでも出ていくから大丈夫よ」
そう言ってエリザはダンジョンに入っていった
その後、50階層という凶悪なダンジョンが出来上がるのだが、それは別の話だ
「さて、ビルの娘の所へ行くぞ」
我達はビルの借金を返しに向かった
高級な店に着き、ビルの借金を払うと言う
「金貨10枚ですねぇ」
奥から、金歯に宝石じゃらじゃらの指輪やネックレスをしたオヤジが出てきた
「金貨1枚だろ?」
「今日の利子で上がったんですねぇ」
「そんなのずるいわよ!」
「ずるいと言われても、それが私の仕事なんですねぇ」
オヤジは葉巻と取り出すと、火をつける
「金を払えないなら帰ってもらいたいですねぇ」
「そんな・・・」
ビルは、もう娘が帰ってこないことに気づいた
「なら、足りないかもしれないが、このマジックアイテムを渡そう」
「それは・・・」
ビルは何かを言いかけたが、やめた
「ほぉ、マジックアイテムですか。効果によりますねぇ」
「何でも3つの願いが叶うぞ。実証済みだ」
嘘はついていないが、本当の事でもない
「まあ、試しにつけてみるですねぇ」
オヤジはネックレスとつける
「サービスだ、マオ、魔力を注いでやれ」
「分かった。たっぷり注いでやろう」
我はネックレスに魔力を注ぎ込む。すると、煙が出てきて大男が現れた
「何でも3つの願いを叶えてやろう」
「おぉ、本当だったんですねぇ。ならば、娘を返してやるですねぇ」
オヤジは元を取ったと思ったのか、カレンを返してくれた
「カレン!」
「お父さん!」
「再開は後にして、さっさと帰るぞ」
我達は店を後にした。しばらくして、オヤジを含む店の店員がほとんど死んだみたいだ
「私は、なんとお礼を言ったらいいか・・・。最終的に、せっかくのアイテムまで使わせてしまって」
ビルは申し訳なさそうに言うが、あれは別に絶対欲しいアイテムではない
「いや、使い道があってよかったよ」
ノロイも気が晴れたのか、うれしそうだ
「今はお金がありませんが、今度会うときは、ぜひおもてなしさせてください!」
カレンはそう言うと、頭をできる限り下げる
「楽しみにしている」
我達は、こうしてオンデの村を後にした
 




