水中コース
「またトロールか」
この階層にはトロールしか居ないのか、トロール以外生きれないのか知らないが、トロールにしか会わない
「アイス・フリーズ」
足を凍らせてさっさと通り過ぎる
「そろそろ次の階段があるはずだ」
「グランド・スピア」
床一面を針の山のようにして複数のトロールを一気に足止めすると、次の階段を探した
「あった・・のか?」
大きな魚の口の中に階段があるような、降りたくない階段があった
「これ、入ったら食べられるとかじゃないわよね?」
「もしくは、降りたら口が閉まって戻ってこられないとか?」
「どっちにしろ碌なことはなさそうね」
ノロイがオート・マトンで調べたところ、閉じることも食われることも無かった
我達は、魚の口に入ると、階段を下りていく
ダンジョンの4階は一面が水だった
「これを示唆していただけ?」
すると、水面に波が立ち、モンスターが現れる
「ようこそおいでくださいました!」
出てきたのは人魚だった
「どういう意味だ?」
「ここ百年ほど誰も来ないので、暇だったんです。殺す前に遊びましょう!」
「何をして遊ぶのだ?」
我もただ狩るだけでは面白くないと思うので、人魚の話に乗ってみる
「宝探しなんてどうかしら?」
「お主に有利ではないか?」
「ランダムポップの宝箱があるの。黄色い豪華な宝箱なんだけど、30分経つと出現位置が変わるのよ」
「それは面白そうだ」
「水中では呼吸できないんだけど?」
ミレはそう言うが、我は魔法で何とでもなる
「なら、私を食べる? 人魚の肉を食べた人は、水中で呼吸が出来るようになるわ」
「・・・焼いてもいい?」
「いいわよ」
人魚は自分の脇腹の肉を削ると、ミレに渡した。人魚の傷はブクブクと周りの肉が盛り上がって再生した
「くんくん・・普通に魚の匂いね」
ミレは恐る恐る一口齧る
「あ、おいしい。白身みたい」
ミレがゴクリと飲み込むと、体にウロコが生え、わきにエラが出来てきた
「く、苦しい!」
「早く水に入りなさいよ、エラ呼吸になったんだから」
人魚は簡単にそう言うが、ミレはずりずりとほふく前進をして水に落ちる
「ふぅ、苦しかった。ところで、これって戻るのよね?」
「え? 戻らないわよ?」
「それを先に言ってよ」
「それこそ、先に聞いてよ、よ」
それを聞いて人魚の肉を食べたいものは居なくなった、と思ったのだが
「あ、私も食べる。もぐもぐ」
エリザが人魚の肉を食うと、上半身が犬で下半身が魚っていう珍妙な生き物になった
「大丈夫よ、神の力で戻してあげるから。見た目だけは」
「それならよかった・・・のかな?」
不安だったので、結局他に誰も食べる者はいなかった




