オンデの村
ライカはミレから地図を借りると、1点を指さした
「ここにダンジョンがあるわ」
「あら、エリンの洞窟ね」
「知ってるの?」
「冒険者が帰ってこないことで有名じゃない」
「そうなの?まあ、マオが居るなら大丈夫でしょう」
「ふあーぁ、俺は洞窟の前で待ってていいか?」
「いいわけ無いでしょ! ピンチになったらマオちゃんの解放してもらわないと困るんだから」
「解放ってなーに?」
エリザが可愛く小首をかしげる
「マオは、ノロイの呪いによって魔力を封じられているのよ。だから、ピンチになったら解放してもらうの」
「へー、でも、私も大抵のモンスターなら倒せるわよ?」
「そういえば、職業巫女って何ができるの?」
「えっとね、精霊を召喚したり、巫力を使ってオーバーソウルしたり」
「オーバーソウルはだめよ! せめて憑依にしときなさい」
「はーい」
「それじゃあ向かおうかしら」
「ねぇ、ねぇ、さっそく召喚してもいい?」
「何を召喚するの?」
「バイコーンよ」
「ああ、ユニコーンの逆のやつね」
「荷車部分は、魔法で作りましょう。マオ、よろしく」
「ストーン・チャリオット」
我は土で戦車を作る。戦車と言っても馬が引く方の戦車だ
「巫女が不浄なのっていいの?」
「いいのよ。私が神だから」
バイコーンを戦車につなげると、馬の数倍の速さで駆けていく
「歩くより断然早いわね」
「これなら、数時間もあれば着きそうだな」
「途中で村に寄ってね。食料が何もないわ」
「それは大変だ、ノロイ、村へいくのだ」
「はいはい、俺が運転手なんだな」
我達が村に着くと、ぎょっとした目で見られたが、エリザがバイコーンを送還すると、ほっとした顔になって迎え入れてくれた
「オンデの村へようこそ。宿は一軒しかありませんが、食堂は二軒あります。高級な店と庶民の店です。だいたい、冒険者は高級な店を利用されます」
「なぜだ?」
「食堂は料理しているのがおばさんで、高級な店は、給仕するのが美少女だからです」
「……なるほどな。俺はどっちでもいいが」
「あなたのパーティは美人が多いですね」
「……誰の事だ?」
「はっはっは、またまたー。とりあえず、ごゆっくりどうぞ」
「とりあえず、宿が一軒しかないからそこにするとして、ミレとライカとエリザは食料の買い出しに行ってくれ。俺とマオはとりあえず、先に高級な店で情報を集めてくる」
我達が高級な店に行くと、丁度追い出された冒険者が居た
「まってくれ、金は用意する。だから、入れてくれ!」
「ダメに決まってんだろ。金を用意してから来い」
「そんな! うぅ、カレン……」
「どうしたのだ?」
「ここで働いている給仕は、私の娘なんです。私が借金をしたばっかりに……」
「ふむ。無理やりでないなら仕方あるまい。我が奢ってやるからちょっと話をしようではないか」
「……高いですけど、いいのでしょうか?」
「クエストで稼いだからな!」
「見かけによらず、強いんですね。それでは、よろしくお願いします」
「マオ、自分の金で払えよ」
「それくらい、分かっている」
こうして、店の中へ入っていった
 




