ウラルのうどん
「ここがウラルの街です」
ミレがそう言って案内する。街と言ってもすごく小さいし、建物もほとんど2階以上が無い
「なんか田舎って感じだな」
ノロイが正直な気持ちを口にする。
「ま、まあ、のどかなのはいいんじゃない?」
ライカがフォローっぽい事を口にする
「我は、うどんがうまいならそれでよい」
「じゃあ、裏メニューのあるうどん屋さんに案内するわね」
「うどんの裏メニューって何だ?」
「それは、カニうどんよ!」
「えぇ、私は足が多いのは虫みたいだから嫌よ!」
ライカは顔の前でバッテンを作って拒否する
「なんで?うまいぞ?」
ノロイはカニを食べたことがあるらしく、おいしいらしい
「我は初めてだから、食ってから判断する」
「そうするといいわ、私も久しぶりだから、楽しみだわ」
ライカ以外が乗り気で店に向かう
「へい、いらっしゃい」
「マスター、カニカニでお願い!」
「はいよ!いくつだい?」
「3つ。あとは、月見うどんが1つ」
我達はカニうどんで、ライカだけが月見うどんだ
「へい、おまち!」
カニ1匹まるまる入った高そうなうどんだ
「これ1杯で小銀貨1枚よ!」
「値段はどうでもいい、うまければよいのだ」
「どうでもよくないが、カイト様さまで金はある」
「やっぱり、美味しそうに見えないわね!月見が一番よ!」
「いや、カニうどんが1番でさぁ」
店のおっちゃんがそういう。その割に、裏メニューでしか出さないみたいだが
「なんで日持ちがしなさそうなカニを裏メニューに?」
「カニと間違えてクモを食った奴が居てなぁ」
「それは、ありえないわね!」
普通の人なら絶対に間違わないだろう。まあ、理由はどうでもいい
「いただきます!」
我はカニをウィンド・ナイフで風でつくったノコギリ状の刃が高速に上下するナイフを作った。それを使ってカニの殻を削いでいく
「それ、便利だな。俺の身もむいてくれ」
「よいが、足1本貰うぞ」
「足りなかったら追加するからいいぞ」
そうとう儲かったらしいノロイが太っ腹だ。我はノロイの分の殻も削いでいく
「私もお願いしていいかしら?1本あげるわ」
「よし、ついでだからやってやろう」
ここまできたら、やってやる!
「ウィンド・ナイフ・クィンティプル」
我は5指全てにナイフをつけると、さくさくとカニ殻を削いでいった
「へぇ、便利ね。料理にも使えそう」
「魔力をアホみたいに使うから、普通の魔法使いでは1分も持たんぞ?」
「それをカニに使うのか・・・」
削ぎ終わったカニ足を1本ずつもらって返す
「うむ、うまい!」
これでまずかったら足を返すところだったが、2本増えて良かった
「そんなにおいしいの?」
ライカがジーっとみるので、少しだけ分けた
「あ、意外。おいしい」
「もうやらんぞ」
「マオのケチ!ノロイ、私にも頂戴!」
「俺は、カニの甲羅に酒を入れて、みそと一緒に飲むのがうまいな。足はあんまり要らんからいいぞ」
ノロイはそういって足を1本ライカにあげた
「おいしい!ノロイ、ありがとう!」
まるで、親子の様だな。ミレは無言で夢中になって食っていた
 




